働き方

報酬アップのための転職が無意味なワケ

投稿日:2016年8月22日 / by 瓦版編集部

変人安田の境目コラム

人材の値崩れが発生する理由

商品の仕様を決定し、販売価格を決め、マーケットに並べる。それが新商品誕生の瞬間である。そして同時に、値崩れの始まる瞬間でもある。マーケットに認知され、価格が決定した瞬間に、真似をする人間が必ず現れるからだ。

gainmoney

同じ商品を、より安く作る。その繰り返しによって商品は溢れ、価格は下がっていく。もちろん、真似することが不可能な技術や、特許に守られた商品も存在する。だが長い目で見れば類似品は必ず出て来るわけで、永遠に値下がりしない商品など存在しない。全ての商品は、誕生した瞬間に値崩れが始まる。そう考えておくべきなのだ。

では値崩れを防ぐにはどうすればいいのか。その答えは「変化」しかない。まだない技術、まだない付加価値を編み出し、商品に違いを加え続けるのである。ものづくりをしている会社であれば当たり前の努力と言えよう。だがその努力は全ての仕事に不可欠なのである。商品が値崩れしていくように、仕事もまた値崩れしていく。

会社から見れば、人を雇うことは、商品を買うことと同じだからである。同じ商品が増えれば、その価格は下落していく。同様に、同じ仕事をする人が増えれば、その報酬も下落していく。仕事内容が同じであれば、より安い給料で働く人が選ばれるのは当然のことだ。つまり、同じ仕事をやり続けていくと、報酬は下がり続けるということである。

値崩れしないためにすべきこととは

考えてみれば当たり前のことなのだが、日本ではこの事実を受け止めている人間がとても少ない。それは年功序列という不思議な慣習が、未だに労働者の価値観として残っているからである。同じ仕事を長期間やり続ければ、少しずつ給料は増えていく。そう信じている労働者は多い。だがそんな構造は、とっくに崩壊しているのである。どんなに頑張って働いても、昨日と同じ仕事を、昨日と同じやり方でやっている限り、報酬は下がり続けていく。まずはその事実をきちんと受け止めるべきだろう。

ブラックだと会社を罵ってみたところで、報酬が上がることなどあり得ない。それは会社の問題ではなく、社会構造の問題だからである。同じ商品、同じ仕事は、時間とともに値下がりしていく。これはもう、誰にも止めようのない流れなのだ。だから報酬を増やしたいのであれば、転職して勤務先を変えるのではなく、自分自身の仕事のやり方を変えるしかない。頭を使い、スキルを磨き、昨日よりも短い時間で、昨日よりも大きな成果を上げる。その結果、報酬は増えていくのだ。

重要なのは日々の仕事に、ほんの少しの変化を加え続けることである。確かに仕事はパターン化することによって速くなる。正確さも、効率もアップする。だが必ず限界が来る。その限界を超えるためには、パターンの一部を変化させるしかない。もちろん、全ての変化が好結果に繋がるとは限らない。変化と失敗を繰り返し、少しずつ仕事のやり方を進化させるのだ。新商品を出さないメーカーは、いつか必ず潰れてしまう。新商品としての自分を作り続けるのだ。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について