働き方

働き方用語の正しい読み方【公的職業訓練(ハロートレーニング)】

投稿日:2016年11月30日 / by

職業訓練を最小コストで受講できる不安定時代の“神制度”

ビジネスパーソンにとって、なんとも世知辛い世の中になっている。正社員という安定が揺らぎ、給与は横ばい。なにかが忍び寄っている気配がするものの、それが明るい未来とは到底思えない…。とにかく、入り込んだトンネルの出口が見えないのだから、全体に気持ちが沈みがちになるのも無理はない。

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下ばかり見ていても当然プラスはない。顔を上げ、しっかりと目を見開けば、未来につながる拠り所も視界に入ってくる。公的な職業訓練は、こうした不安定時代にはとりわけ抜群の機能を発揮するシステムだ。なにせ、失業中の求職者が、就職に必要な職業スキルや知識を無料で習得できるのだ。

失業した。働きたいのにキャリアが少ない。障害がある…。そうしたことをハンデに感じている人々が、公的職業訓練を受ければ、スキルが磨かれ、強みが生まれ、自信もつき、再就職へ大きく前進できる。訓練できる分野も、建設・製造系、IT系、事務系、サービス系、介護系、デザイン、理美容系など豊富だ。ここへ通うことをきっかけに、興味のあった職業へのステップとすることも十分可能だろう。

至れり尽くせりといえる公的職業訓練。年間受講者は約30万に上るが、日本の労働力人口は6600万人。あまりにも少ないのが実状だ。事実、厚労省の調査では、その認知度は3割強。つまり、国民の7割弱は知らないことになる。いままさに、働き方改革を推進し、一億総活躍社会の実現を目指す政府にとっても看過できない状況といえる。そこで、テコ入れのために実施されたのが、公的職業訓練の愛称とキャッチフレーズの募集だ。

愛称・ハロートレーニング誕生の背景

「職業訓練」という響きでは、厳しさや辛さが前面に出てしまう。そうしたことも浸透しない要因として、2016年6月から7月にかけ、愛称・キャッチフレーズを一般公募。計2,857件の中から選ばれたのが、「ハロートレーニング」の愛称と「急がば学べ」のキャッチフレーズだ。2016年11月30日に発表された。

左から俳人の神野紗希、橋本厚労副大臣、秋元氏、学習院大学教授・今野浩一郎氏

左から俳人の神野紗希、橋本厚労副大臣、秋元氏、学習院大学教授・今野浩一郎氏

公的職業訓練と密接な関係にある公共職安定所の愛称がハローワークであることから、「ハロー」関連のネーミングの応募が多く、筋トレのようにしっかりと筋肉を身につける意味合いなどから「トレーニング」がフィットし、最終決定となった。選定委員を務めた作詞家の秋元康氏は「ハローは新たな出会い意味する希望の言葉。知識やスキルは簡単には手に入らないが、トレーニングで鍛えた筋肉のように着実に楽しく身につけて欲しいということで、このネーミングに決定した」と説明した。

キャッチフレーズの「急がば学べ」については、「新たな職業やスキルにチャレンジするには、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、『急がば学べ』。焦らず、前向きにということです」(秋元氏)と解説した。不安な状態にあると、人はつい後ろ向きになりがちだが、ハローと明るくチャレンジし、トレーニングする感覚でスキルや知識を身に着けようーー。愛称とキャッチフレーズに込められた思いが社会全体に浸透すれば、いまはダメでも再起し、活躍できる人が着実に増えるハズだ。

厚労省公開資料より

厚労省公開資料より

公的職業訓練は、あまり知られていないが実は、在職中の人も受講できる。「このままでは自分は自社だけでしか通用しない人材になる」。そんな危機感がある人。また、さらなるスキルアップ・キャリアップを考えるビジネスパーソンにも有用なのだ。

いまがどんなに安定していても、数年後はどうなるか分からない世の中。そんな時に頼りになるのは、自分自身。知識やスキルだ。トレーニング費用が最小限で抑えられる公的職業訓練は、現状打開の最初の一歩として、うってつけといえるだろう。急いては事をし損じる。就職活動よりも、まずは学べ、だ。

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