働き方

中高生にも取り入れられるキャリア教育の意義

投稿日:2015年3月16日 / by

中学で行うキャリア教育の意義とは

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ファシリテーターの村上晴美氏の説明からスタート

天職への道は、キャリア教育にあり――。チームワーク向上とその促進を提案する「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会」は2015年3月、中高生を対象とした「キャリア教育プログラム」を実施。神奈川県下の中学校へ乗り込んだ同委員会にとっての新たな取り組みに同行し、その意義や可能性に迫った。

ビジネスパーソンに求められるチーム力を教えるプログラムを展開

キャリア教育は、早い段階から勤労観や職業観を育てることで、社会人・職業人としての自立を促すことを目的として実施される。文科省や経産省などの指導のもと、昨今実施が促され、小学校から取り入れられているところもある。

今回、同委員会が対象としたのは中学生。神奈川県の鎌倉女子大学中等部 を訪問し、プログラムを実施した。「近年は大学生だけでなく、中高生まで求められるようになったキャリア教育。しかし、多くは総合学習の時間で数時間の対応のみに終わっており、かつ商店街の職人や工場見学が主流。多くが就業するいわゆるサラリーマンの仕事を学ぶ機会が少ないのが現状であり、実行委員ではビジネスパーソンンに求められるチーム力を教えるプログラムを組みました」(実行委員)。

与えられた課題は学校PRの動画撮影

そこで同校の中学生に課されたテーマは、動画作成。内容は、自分たちの学校のPRだ。時間の制約もあり、編集作業はなし。30秒ワンカットで、学校の良さを短編動画に凝縮するという、プロでも難しい課題が与えられた。

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各チームが校内に散らばり、撮影を開始

まず、ファシリテーターが学生に強調したのはチームの役割について。仕事の現場では、プロジェクトの目的に向かい、メンバーが役割分担される。それぞれが自分の役割をしっかり認識、やるべきことを理解し、的確に動くことでプロジェクトはスムースに進行する。逆に、そこが不十分だと、プロジェクトにズレが生じ、進行が滞り、最悪、失敗に終わる危険性もある。チームワークの向上を使命とする実行委員も、その点は力を込めた。

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台車を使うチームも現れるなど、“プロ並み”の発想も

役割分担の大切さを念頭に、1チーム5人の編成で撮影に飛び出した女子中生。事前にある程度の準備はしていたというが、タブレットのカメラでの撮影には四苦八苦。映るアングルや音声の拾い具合、距離感…など、実際に撮影をはじめてみて気付くことが次々発生し、思うように進まない。それでも、慣れてくると徐々にエンジンがかかり始め、急ピッチで撮影を進行。最終的には全チームがキッチリと制限時間内で“任務”を終えた。

授業とは違う体験でイキイキ動き回った学生

作品の出来栄えは、“一発勝負”にもかかわらずなかなかのレベルで、潜在力の高さを感じさせるものとなった。なによりも全員が楽しそうに取り組んでいるのが印象的だった。仕事というよりも作品作りに近いプログラムとなったが、実際に社会人になっても忘れて欲しくないスタンスだ。

今回のキャリア教育を計画した同中学の進路指導主任の工藤吉猛教諭は「女性の社会進出が当たり前になり、働き方が大きく変わっていく中で、生き抜く力の軸を築き上げて、社会に送り出したい」という想いがあったというが、終了後には「短い時間でしたが、得るものが非常に大きい体験になったと思います」と満足げに感想を語った。

撮った映像の最終チェックにも力が入る

撮った映像の最終チェックにも力が入る

動画撮影ということで、それぞれがプロデューサー、ディレクター、進行係などに役割を分担し、一つの目的に向かって動いたことは、部活や教室での役割分担とはまた違うものであり、今回の体験は、意識はしていなくとも将来のキャリアの疑似体験として、体のどこかに刻まれたはずだ。

キャリア教育が学生に与える意義

実行委員の椋田氏は「私が中高生のころは、世の中にどのような職業があるのか、何が必要になるのかも全くわかりませんでしたし、そうした授業もなかった。こうした機会があることは正直羨ましい。今回の経験で、各学生が自分が『何が得意で』、『何が好きか』が分かり、高校卒業までに自分の理想が明確になることにつながればいいなと、と思います」とプログラムを終え、感想を語った。

就職は、一般的に高校、もしくは大学を卒業後にする。その進路選択の際に、何らかのキャリアに関する経験や知識があれば、簡単にムードに流されず、あふれる情報に埋もれることもなく、自分の足で前へ進める可能性は高まる。キャリア教育をいつ始めるのが良く、どうあればいいのかという正解はない。それでも、こうした取り組みがより早い段階で実施され、増加していくほどに、若者の社会人への道が健全に整備されていくことにつながることは間違いないといえるだろう。

 

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