働き方

希望退職を断られ、不条理を感じます

投稿日:2015年9月17日 / by

~仕事・働き方のエキスパートがズバリお応えします~

<質問>

「不条理な人事に気持ちの整理ができない」

希望退職の募集があり、応募しましたが断られました。どうやら会社側は有望な人材は引き留めているようです。ダメな社員が割増金をもらって退職するのに、まじめに会社に貢献してきた人間が危機的な会社に残される。いくら有望な人材といわれても、不条理に思います。これからやっていく上で、どう気持ちを整理すればいいのか分かりません。(38歳男性)

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【回答】

「自分と会社の関係整理が必要」

確かに会社の側からすれば、有望な人材は引き留めて、そうでない人材は辞めてもらいたいと考えるのが妥当であり、合理的な判断と言えるでしょう。そして、会社組織に所属し続ける限り、その不条理が解消されることはないと考えてください。今度は質問者であるあなたが希望退職を募ったり、部下に退職を促したり、もしくは数年後、今度はあなたが退職を促される立場に追いやられたりすることもないとは言えません。

これからの時代、これまでのようにキャリアの主体性が会社の側にあると、質問者であるあなたは何度も会社都合による不条理に晒されることでしょう。あなたはキャリアの主体性を会社から自分に引っ張り戻さなくてはいけません。現在の経営環境下において、企業は従来のように社員を丸抱えして、そのキャリア≒人生を保証することはできないのです。そして企業と社員の関係はますます変わっていくでしょう。ですからあなたは、自分と会社との関係を整理しておく必要があるのです。

あなたのキャリア  >  あなたの会社があなたに提示するキャリア

あなたの会社の存続 >  あなたのキャリア

このように個人と会社のキャリアのズレを受けて、企業は人事施策を大幅に転換せざるを得なくなるでしょうし、実際このような施策を講じている企業は確実に増えています。具体的な人事施策は、①兼業奨励、②休暇奨励、③残業なし、④異動なし、⑤定年なし、です。⑤定年なし、は国策として定年退職年齢が引き上げられるという意味で、給与などは40歳で頭打ちという会社員もすでに一般化しつつあります。また業績が上がっていても、その一方でリストラを継続するというような企業経営も一般化するでしょう。

これからは自らのキャリアを自分軸で考え、“経営”することが強く求められる時代です。今の会社をご自分のキャリアにどう役立てるか、なるべく客観的に検討してみるのもお気持ちの整理に役立つのではないでしょうか。


新井健一<回答者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。最近は旺盛な執筆活動も行っており、人事のノウハウをまとめた『日系・外資系一流企業の元人事マンです。じつは入社時点であなたのキャリアパスはほぼ会社によって決められていますが、それでも幸せなビジネスライフの送り方を提案しましょう』を発売している。

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