働き方

シニア人材に向き合うことは次世代型企業へ進化するチャンス

投稿日:2015年8月6日 / by

キャリア=財産と捉えることから逆算する

ダメダメ姿勢はシニアを宝の持ち腐れにする

ダメダメ姿勢はシニアを宝の持ち腐れにする

ここまで見てきたようにシニアは、その活用の仕方次第で、いかようにでも輝ける。後進にそのまま技術を継承することが企業にとって重要であれば、身体が動き続ける限り、その人材の雇用を継続すればいい。そのままでは残ってもらうことが厳しい人には、新たなテーマを与え、主体的に動いてもらう道を用意する。

シニア人材には、なによりも若者にはない経験がある。凝り固まった知識や考えであっても、使いようはある。キャリア=財産と捉えれば、シニアほど価値のある人材はいない。気力や体力は確かに衰えているかもしれない。だが、それは勤務形態の調整などでいかにようでもフォローできる。もはや、シニア人材を「お荷物」、と考える時点で、思考停止であり、企業として危ういといっていい。

ユーエスエス・與良剛社長が行ったベテラン社員への提案に、別の企業の社長は「私にはそんな発想はできない」と驚いたという。社員には業務を与えるのが経営の責務と考えていたからだ。企業は社員に仕事を与えるところ--。これからの時代、もはやそうした発想自体が、自社の首を絞めることにもつながりかねない。社員が自ら提案し、新しい事業を生み出していく。そうしたスタイルでなければ、人口減少時代に、吸引力のある魅力的なサービスや製品など生みだせない。

固定観念をなくすことが最初の一歩

企業はいま、自律型社員を求めている。言われたことだけをする社員からは、付加価値のあるサービスや製品が生まれないからだ。ぶら下がり型社員が、突然変異で自律型になれるはずはないが、それでも企業側がこれまでのスタイルを一変するだけで、潜在的に備わっていたものとして顕在化することは十分にあり得るだろう。

そうしたことは若者が適しているのかもしれないが、もしかするとベテランの方がいいのかもしれない…。チャレンジは若者に適している。そうした固定観念に捉われていては、何も解決しない何も生まれない。シニア人材の問題に真っ向向き合うことは、企業がまさに、これまでの働き方を根本から見直すことそのものであり、企業自身が、新しい働き方へ適合する次世代型へ進化する大きなチャンスともいえる。そして、その先には、真の成熟社会の姿があるハズだ。(了)

◇バックナンバー
第五回:定年後にうろたえないための準備とタイミングとは
第四回:定年シニアの可能性は社外にあり
第三回:次世代のシニア活用は、下山から小山への“登山”
第二回:シニア社員の定年以降をどう考えるのか…
第一回:シニア人材をスムースに活用する妙案はあるのか

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