インタビュー

人工知能(AI)&グローバル時代に武装すべき10のワークスキル(前編)

投稿日:2016年1月7日 / by

これからの時代に必要となる資質

ソーシャル・デザイン 代表理事 長沼博之氏

インタビュー1回目では、2025年までに大きく変貌するビジネスモデルの外枠とそれに順応するための心の準備の必要性を記した。2回目では、具体的に次世代のビジネスパーソンが磨くべき10のワークスキルの内、5つについてみていく。次世代のビジネスモデルの中で、長沼氏がキーとするのは、「AI(人工知能)」と「グローバル」。この2つは、変化の中で、脅威にも武器にもなり得る要素だけに、その対応力を磨くことは、新しい社会を強靭に生きぬく上でも重要となる。

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技術が発達し、国境がなくなる時代に重要な5大スキル

次世代のビジネスモデルが浸透する社会では、様々な場面で人工知能が活用され、ネットワークを活用したグローバルな働き方が当たり前になっている。そこでは、これまではさほど重要でなかったスキルが、大きな意味を持つことになる。

1 機会発見能力

「最先端の動き、トレンドを常に追いながら、各業界の一歩先、二歩先をみつめ、新たな事業チャンス、ビジネスモデルを発見・構築していく力」(長沼氏)。これまでも新規事業担当者には求められていたスキルだが、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等を軸に、異業種をまたがった案件がスタンダードとなる中、より洗練されたスキルとして必要とされる。

2 高次から仮説を立てる力

「社会が勢いよく変化、進化する中、同じ次元からは高度な問題解決はできないことを知り、より高く精緻なレイヤーから、問いや仮説を立てる能力」(長沼氏)。これまでの問題解決は、過去の事例などを検証しながら、演繹的に導くことも可能だったが、そうした次元を超えた問題においては、全く別の視点からのアプローチし、読み解く力が必要となる。アインシュタインが言ったように、難度の高い問題は同次元からは解決できないのだ。

3 概念生成能力

「文脈から新たな意味を生成し、そこから誰もが共感でき流通可能な概念およびメタファーを提示する力」(長沼氏)。文脈を読み解くのは人工知能でも可能だが、そこから更に共感を生み出すことは人間でなければ難しい領域だ。これまではそれほど重視されていなかったが、AI普及時代には、概念の発明、創造性の研磨は極めて重要になってくる。

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4 理論構築力

「概念と概念の新たな関係性を発見し、理論、体系を生み出す力。これには戦略構築力および図表等で分かりやすく表現する力も含む」(長沼氏)。シェアリングエコノミー、データ駆動型社会が実現する中で、異業種とのコラボがスタンダードになる。その際、異なる2つの概念を組み合わせることで新たな価値を生み出す力が重要になる。これまでは一部の人しか必要としてなかった能力だが、今後は一躍、イノベーションを生み出すことにおいても重要なスキルとなる。

5 新規適応志向

「自らから持っているものを容易に手放す勇気を持ち、新たな事態に柔軟に適応していく力」(長沼氏)。イノベーションが続々と誕生する新時代には、既成概念は邪魔物になることも多い。例え、その世界の常識であったとしても、時として、それを白紙にして考える場面も出てくるだろう。そうした決断をし、さらに新たな可能性へ突き進む適応力がなければ、革新など生みだせない。

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今回、10のうち、5つのワークスキルをピックアップした。いまも必要とされるスキルもあり、真新しさは感じないかもしれない。しかし、これまでは、後回しにされていたようなスキルが、これからは一転して、必要不可欠なスキルとなる事実は、見逃せない。つまり、これまでは付加価値を与える最後の部分だったものが、今後は当たり前となり、それこそが、ライバルに対する武器となるということだ。さらにいえば、その敵は、ロボットであり、グローバル人材だ。気を抜けば取って代わられるという意味では、決して侮れない。最終回となるインタビュー3回目では、残りの5つのワークスキルをみていく。


【プロフィール】長沼博之

一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事。イノベーションリサーチャー/経営コンサルタント。Social Design Newsファウンダー。近未来の社会やビジネスモデル、働き方、メイカーズ革命やクラウドソーシング等についてテレビや雑誌からの取材多数(http://social-design-net.com/works)著書に「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」「ビジネスモデル2025」がある。


bm202501<ビジネスモデル2025>

仕事とワークスタイルの未来を体系的に提唱した「ワーク・デザインこれからの<働き方の設計図>」。同書が示した働き方は、どんな社会の中でより機能していくのか。未来のビジネスモデルに焦点をあてた本作は、未来のビジネスシーンを鮮明にすることで、新しい働き方をどう活かし、どんな心構えでいればよいかを明快にする。価値観の転換は、いつの時代も受け入れがたいものだが、同書ではごく自然に受け入れられるよう豊富な事例と哲学的視点で未来のビジネスシーンを解き明かしている。

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