働き方

地方転職は本当に魅力的なのか…【瓦の目】

投稿日:2015年7月24日 / by

活発化する地方転職の動き

localworking人材の逆流へのアクションが活発になっている。「地方創生」の号令に反応した関連各所があちこちで動きを起こしている。地方自治体、クラウドソーシング、人材業界…知恵を絞り、技術を駆使し、日本の“難題”に立ち向かっている。果たして、人材の大移動は起こるのか…。

ある調査では、当の人材側はお金よりもやりがいを重視する傾向にあり、地方へのU・IターンもOKという声が少なくないという。それも管理職レベルの人材で、だ。こうなると、地方に“魅力”さえあれば、人材の東京からの大移動が起こり、東京一極集中が崩れることも十分ありそうだ。

例えば、過疎化した地域を、そこにある自然の恵みなどを有効活用し、観光地として復活させるというプロジェクトがあるとする。魅力もやりがいもありそうだ。都心で、大きなプロジェクトを成功させてきた実績のある人材なら、うまく成功させてくれそうな期待を抱ける--。だが、実際のところどうだろうか。おそらく難しいだろう。

ある程度形にするところまでは、スムースにいくかもしれない。自然の恵みを最大化し、魅力あるスポットに磨き上げ、PRもうまく行い、話題を集める。特産品を使ったメニューも開発し、総合的な収益モデルも構築する。まさに、都心で活用したノウハウを駆使し、地方を活性化へ導く。

これは例えば、都心の不人気店を再生させるのと同じで、確かに最初は効果があるだろう。だが、その後維持させるのが実は最も困難で、1年後には不採算店へ逆戻りというケースは決して珍しくない。なにが問題なのか…。注目を集め、集客の道筋をつくっても、そのものが内側から放つ魅力がなければ、一時的な人気で終わってしまうということだ。

やりがいだけでは難しい目に見えない壁

1店舗の再生でさえそれだけ困難ということは、エリアの再生となるとその比ではない。仕組みを確立するのは最低限として、その地域全体を巻き込み、継続的に魅力を高め続ける努力をしなければ、結果が出なくなったときにあっさりと萎んでしまう。これは、対象が地方企業でも、状況はさほど変わらないだろう。むしろ企業の場合、東京パワーをかえって実感することになるかもしれない。

いま、地方転職への追い風が吹きつけている。当事者である本人は、そこをしっかりと見据え、単なるやりがいにプラスして、その地に骨をうずめる覚悟を持たなければ、踏み出したとしても、厳しい結果しか待っていないだろう。いまの流れは、働き方を考える上では、最高にいいきっかけを与えてくれている。そう捉え、これまで悶々としていたなら、いまこそ考え抜いて、踏み出すか否かを決めればいい。

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