働き方

意外に知らない高校就活の実態

投稿日:2015年10月8日 / by

“全入時代”の中で起こりつつある新たな波

jobdraftlogo2採用戦線が過渡期を迎える中、高校生の就活にも新たな波が起こりつつある。人材紹介会社の(株)ジンジブ(東京都港区)が、高校就活支援メディア「JOBドラフト」(https://www.job-draft.com/)を立ち上げたのだ。閉塞的な高校就活の実態に迫りながら、その意義や可能性を探る--。

高校生の就職率は、2割にも満たない。半数以上は大学へ進学し、2割以上が専修学校に進む。それでも人数ベースでみると、大卒の5割になり、19万人前後(2015年7月時点)で推移している。ところが、就活シーンにおいては、さまざまなサービスがあふれる大卒向けとは大きく異なり、非常に閉塞的なのが実状だ。

高校就活に横たわる課題とは

jinjibu2大きな課題は、1人一社制の慣習にある。大学生が複数の企業にエントリーし、就職先を吟味できるのとは大きな違いだ。十分に社会経験のない高校生への配慮からとはいえ、情報化が進む社会の中で、本当に行きたい会社を見極めるにはあまりに時代錯誤で閉塞的といわざるをえない。

「高校生の就活の現状は非常に限定的で、情報が不足している。これではあまりに不自由です。一方で、(高卒に)立派な経営者が多いことからも分かるように、高卒で優秀な人材が育つ事例も少なくない。加えて、企業の高卒採用のニーズがここへきて上昇傾向にある。そこで、高校生の就活を変革する一歩として立ち上げたのが、高校生のための新卒求人サイト『JOBドラフト』です」と同社草場勇介社長は説明する。

閉塞感に風穴明ける新サービスも登場

jobdraftlogo1これまでの高校就活は、進路指導の先生を通して行われ、生徒は1社ずつ面接して就職を決める。学校と企業の信頼関係が構築されており、内定率が高いメリットはあるものの、学生が本当にやりがいや仕事内容にフィットしているかはどうしても二の次になりがちだ。もちろん、企業訪問などの機会もあるが、十分に内容を理解できるとは言い難い。

JOBドラフトは、こうした閉塞した高卒就活の構造に情報提供メディアとして入ることで進路指導担当や高校生が企業を決める選択材料を豊富に提示。求人情報や社員の声などを掲載することで、企業研究などに役立ててもらう。さらに入社前の受け入れ研修、入社時初期研修などの教育支援プログラム提供も予定し、高校生が社会人として巣立つ前の育成面もフォローする。

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中・高・大の入社三年の離職率は「7・5・3」といわれ、高校生は5割にもなる。大学生と比較すると、2年目、3年目こそ大差はないものの、入社1年目での離職率は約20%におよび、際立って高くなっている。このことは、高卒就活の閉塞性と無関係とはいえず、それが仕事や社会への失望感にまでつながるとすれば、あまりに不幸だ。同社のサービスが、そうした状況を打破し、定着率向上に寄与し、さらには高校からのキャリア教育の浸透へもつながることが期待される。

 

 

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