企業風土

会社が農園を持つ収穫以上の“収穫”とは

投稿日:2016年6月1日 / by 瓦版編集部

想像以上の相乗効果~社内コミュニケーションから婚活まで~

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社内コミュニケーションは、企業の活力を高める上で重要な要素だ。とはいえ、風通しを良くしたからといって、必ずしも意味のある会話が増えるわけではない。正社員エンジニアの人材派遣をする(株)VSNは、業務の特性上、社員間のつながりが物理的につくり辛い。だが、ある方法でそうした課題をうまくクリアしている。それは「農園の活用」だ。

なぜIT系企業が農園を運営するのか

ジャガイモ、サツマイモ、大根、ニンジン、きゅうり、なすび…。スーパーで売っている野菜ならほとんどが収穫できる農園。千葉近郊にある農園で野菜を育てるのは、会社員。といっても兼業農家ではない。全員が同じ派遣会社のメンバーだ。農園の名は「VSNファーム」。エンジニアの人材派遣をするVSNが、2011年から運営している。

どちらも爽やかだが、農園での飛び切りの笑顔が効果を象徴している

どちらも爽やかだが、馬場氏の農園での飛び切りの笑顔が効果を象徴している

「もともとは福利厚生目的でスタートしました。全員が正社員ですが、エンジニア派遣なので、事実上、職場は別々。そこで約3,000人の社員の共通のコミュニケーションの場として、自然に触れ、リフレッシュしつつ、クリエティブな感性を磨くことを目的にオープンしました」と同社経営イノベーション本部コミュニケーション・プロデューサーの荻原理央氏は農園開設の理由を説明する。

仕事柄、職場での社員はコンピューターに囲まれ、デジタル三昧。しかも、同僚とは、離れ離れ。ひとつのオフィスに集まって仕事をする環境のように横のつながりを強化するのは物理的に困難だ。そこで、社員コミュニケーションの拠点として浮上したのが農園。自然に囲まれ、育成・収穫というプロセスがあることでやりっ放しになりにくく、収穫の喜びや感動も分かち合える農園管理は、理系社員の社外活動にはうってつけ、というワケだ。

窯も常設し、各種イベントで大活躍している

窯も常設し、各種イベントで大活躍している

「農園での活動に参加するのは、あくまで各自の自由意思。数あるサークル活動の中のひとつですから。オープン当初は、若い社員が多いこともあって、なかなか参加者は増えませんでした。しかし、一度参加すると興味がわくようで、参加者はジワジワ増え、いまでは活発なサークルのひとつになっています」と開園当初から個人的に農園の管理を続ける経営イノベーション本部ビジネスプランニンググループ長の馬場秀樹氏は活動状況を明かす。

農園がもたらす様々な相乗効果

農園サークル部員のやり取りは、専ら社内SNSで行われる。離れて働く同僚とのやり取りに好都合だからだ。ありがちなスルーはほとんどなく、レスも早い。距離を感じない情報共有が出来ているという。こうした横のつながりを重視するのは、なにも農園管理のためだけではない。実は、同社のサービスクオリティにも密接に関連している。

「私どもはエンジニア派遣ではありますが、技術力の提供だけでなく、いろいろな企業に常駐することで得た知見を活かしたコンサルティング、そして提案した解決策の実行までも行うことで顧客企業の価値向上に貢献することを強みとしております。一致団結してサービスを進めていく際には、社内の横のつながりが大きな武器になります。ですので、農園も含めた社員間の関係強化には注力しています」と荻原氏。オフィス、常駐先、そしてサークルの活動拠点。この3つが有機的にリンクし、情報交流を促し、社員の帰属意識も高めるなど、まさに相乗効果で組織力強化にも貢献している。

野菜だけでなく嫁の収穫まで?

農作業にとどまらず婚活まで行われる。これぞ農園パワー?

農作業にとどまらず婚活まで行われる。これぞ農園パワー?

農園の役割はそれだけで終わらない。なんと、同所は、婚活にも活用されている。その名も「ハタコン」。男性社員が多く、しかもその多くが未婚者であることから、農園活性化の一環として2015年から行われている。最終ゴールまでいくカップルはまだ出ていないが、コンパでのカップルは複数成立しており、収穫の行方と併せ、同社でもその成り行きが注目されている。

新人研修にも活用されるなど、もはや農園の域を超え手フル活用されている

新人研修にも活用されるなど、もはや農園の域を超え、フル活用されている

社内コミュニケーションの活性化は、社員の定着にも重要な要素となる。それだけに、各企業が力を入れている分野ではある。業種や社風にもよるが、なにがベストかはあくまでも会社によりけり。そうした中で、植え付けから、育成、そして収穫、さらに調理というプロセスがある農園管理は、様々な展開が考えられ、楽しみ方が何通りもある。加えて、誰もが参加しやすく、栽培のプロセスでチーム力強化にもつながるなど、相乗効果も期待できる。社内活性化を課題とする企業にとって、農園という“ハードウェア”を活用した同社の取り組みは、確かなヒントを与えてくれる事例といえそうだ。


http://www.vsn.co.jp/

http://www.vsn.co.jp/

【会社概要】
会社名/商号 株式会社VSN (英文表記:VSN, Inc.)
設立 2004年2月10日
資本金 10億63百万円
売上高 193億79百万円(2015年12月期)
代表者 代表取締役社長  川崎 健一郎
従業員数 3,064名(2016年4月1日現在)
事業内容 IT・情報システム、メカトロニクス・エレクトロニクス、バイオ・ケミストリー分野におけるエンジニア派遣事業、開発請負、および有料職業紹介事業

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