企業風土

ブラック企業と紙一重。入って後悔しないためのグレー企業の見分け方

投稿日:2016年10月12日 / by

なんかイメージと違うんだけど、と思ったら

会社員という道を選択した人にとっては、企業の良しあしが人生の幸福に直結するといっても過言ではない。入った企業がブラックだったらお先真っ暗。入社前には十分吟味したはずなのに…。安心してください。ある程度は分かりますから。大規模調査で浮き彫りなった結果と併せ、グレー企業の見分け方のポイントを大公開する。

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危ない企業に共通する特長とは

メディアに頻繁に露出し、人気企業ランキングでも上位にランクイン。難関をくぐり抜け、辿り着いた会社が、実は真っ黒け。長時間労働、パワハラ横行、リストラバンバン。こんなはずでは…。実は、危ない企業には、ほぼ共通する特長がある。最も明確なのが、「価格競争型」であるという点だ。

新刊「さらば価格競争」を手に価格競争型社会のリスクを解説する坂本教授

新刊「さらば価格競争」を手に価格競争型社会のリスクを解説する坂本教授

その理由はシンプルだ。「他社より安いを売り物ににした価格競争型企業は常に相見積もり・競争見積もりにさらされ、喧嘩ビジネスに追い散りやすい。加えて受注不安が常態化し経営が不安定になる。これでは社員をはじめとした人の幸せの実現は困難だ」。こう解説するのは、法大大学院政策創造研究科教授の坂本光司氏。

出会率2割弱のホワイト濃厚企業の4つの特長

実は中小企業においては、同教授らの調査でなんと81%がこの価格競争型であることが判明している。下請けが多いことなどもあるが、それにしても驚きの割合だ。一体どうすれば、2割弱の非価格競争型企業に巡り合えるというのか。同社が実施した約1000社へのアンケート調査などとすり合せながら見極めのチェックポイントを探ってみよう。

<ニッチ市場を攻めている>

激しい競争が価格競争につながることを考えれば、当然の帰結といえるだろう。大企業や他社が狙わない、狙ってもうまみがなさそう、そんな市場にあえて飛び込んでいる企業は、有望だ。坂本教授らがピックアップしている企業では例えば、ビニール傘でも究極を目指すホワイトローズやペン先から軸を使う人に合わせたオンリーワンの万年筆を作製する万年筆博士がある。ニッチというよりも、確立された市場の中で、より細かいところを攻める。そうした企業には、将来性がありそうだ。

<市場を創造している>

ニッチとは観点が違うが、こちらも競争から離れる意味で重要なポイントだ。お茶屋のしもきた茶苑大山は、ノウハウを熟知する同社だからこそのかき氷で、支持を集めている。単なるかき氷を提供をする企業は数あれど、お茶文化まで伝えることができるのは同社ゆえ。自社の強みを最大限に活かす方向に経営のかじをきるという発想自体が、景気に左右されない安定経営につながるだけに、こうしたスタイルの企業ならまず安泰といっていいだろう。

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<感動を提供している>

ロジカルに数字を突き詰めるのは、多くの企業が得意とするところかもしれない。逆にいえば、エモーショナルな部分は無駄とさえ思われているかもしれない。だが、ロジカルにはロジカルで返されることを忘れてはいけない。それを上回るのが感動なのだ。1週間かかるところを3日で仕上げる。1万個からの受注が常識のところを100個からの小ロットで対応する。普通のやり方で不可能な加工を独自システム実現する…。そうした、先方の期待をいい意味で裏切り、うならせる対応ができる企業は、そもそも価格競争のラインには乗らない。

<社会貢献に取り組んでいる>

ひところ、大企業を中心にメセナなどがもてはやされたが、昨今はもっと直接的に社会に役立つことに取り組んでいる企業も増えている。そもそも、企業活動は社会貢献と連動していなければ、単なる金儲けになりかねない。だからこそ、そうした意識をしっかりと持ち、企業経営をしている企業は景気にも左右されないし、社員を不幸にすることなど考えもしない。パン・アキモトは、賞味期限3年の「パンの缶詰」で備蓄と国際貢献を実現している。本業と社会貢献を両立する典型といえるビジネスモデルといえるだろう。

◇まとめ

ブラック企業を見極めるのはそれほど難しくはないだろう。長時間労働が常態化し、ワンマン経営で、離職率が3割以上…。表向きにはわからなくとも今ならネットを検索すれば何らかのほころびには到達できる。だが、ブラック予備軍となると、どの企業にもなんらかの要素はあり、その見極めは困難だ。上記4つは、ホワイト企業予備軍の数ある項目の中でも代表的なチェックポイント。共通するのは、経営を儲け軸でなく、需要軸で捉えている点だ。どんなものが必要とされているか、あったら喜ばれるのか。視点が常に消費者寄りでライバル企業に向いていないことが、自ずと価格競争と無縁でいられる秘訣だろう。会社員を選択する人は、その知名度や人気で企業選びがち。だが、それは価格競争企業が、売るために安易に安売りに走るのと同様に浅はかであることを肝に銘じておく必要がある。安泰企業がどんどん消えていく中で、せめてその選球眼だけでも磨き上げておかないと、会社員という働き方に未来はない…。

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