企業風土

社内で料理教室を開催する意外な目的とは

投稿日:2016年11月17日 / by

独身男性のための家事上達講座かと思いきや…

社内勉強会といえばスキルアップ目的が相場だ。直接的な能力アップでなくとも、マナー研修やメイク研修などもあったりする。資格取得の通信講座を運営する(株)フォーサイトが先ごろ実施したのは、料理教室。女性活躍を推進する動きが社会的に広がる中、男性社員にも家事のスキルを身につけてもらおうという狙いかと思いきや、その理由は意外なものだった…。

美人講師の解説を真剣に聞きながら実践する男性社員

美人講師の解説を真剣に聞きながら実践する男性社員

美しい女性講師の前で、真剣に話に耳を傾ける男性社員。包丁の使い方といった基本から、美味しく料理するコツなどを3つのグループに分かれ、それぞれ料理のイロハを学んだ。

同社は、そのほとんどが男性社員。独身男性はもちろん、既婚者も、家事サポートためのスキル習得につながり、開催自体は有意義なものだが、その目的が少々ユニークだ。

「弊社では2年以上前から、食材・場所を会社が提供し、社員同士でランチをつくりあう制度を実施しています。福利厚生としての意味合いに加え、部署を超えたチームで料理を行うことで社内コミュニケーションの活性化につながります。その制度のさらなる充実のために社内料理教室の開催となりました」と同社広報課の千葉勇吾氏は経緯を説明する。

社員満足度はなんと9割以上

目的は社内コミュニケーション。ならば、コミュニケーションスキルの上達講座でもよさそうだが、そうでないところが同社の独自の社風ゆえだ。「弊社は仕事をするだけが職場ではない、という新しい働き方を実践しています。ワークとライフ、そのどちらも充実させることで従業員の人生を豊かにしたいと考えています」と千葉氏。いい意味の公私混同が、社員の士気を上げる。それが実証されているからこそ、同社では料理教室が社内活性化に有効というワケだ。

実際、参加した全社員31人に同社が行ったアンケートでは、料理教室の満足度は94%。料理を一緒にすることがコミュニケーション活性化につながるかについても、94%が「はい」と回答している。その感想としては「普段コミュニケーションをとらない人と交流がとれた」、「全く興味がなかった料理に興味が持てた」など、ポジティブな声が並んだ。

チーム一丸でつくった料理は見るからにおいしそうだ

チーム一丸でつくった料理は見るからにおいしそうだ。ちなみにハンバーグはロコモコ丼に使いました

イキイキとした職場づくりに重要なこととは

社員が所属企業から気持ちが離れる理由の多くは、人間関係にある。気の合う仲間がいない、そもそもコミュニケーション自体がない、などコミュニケーション不全が居心地を悪くし、やがてモチベーションを低下させ、最悪の場合、心まで病んでしまう…。悲しいことだが、実はこうした悲劇はちょっとした工夫で改善される。同社のランチ制度もその一つ。重要なことは、形だけでなくしっかりと文化として根付かせることだ。

同社の独特文化の中心にいる山田浩司代表の想いには、その全てが詰まっている。「よく、会社の人間とは表面的な付き合いしかしないという方がいます。しかし、人生で最も多くの時間を費やす会社において友達がいないというのは悲しい人生だと思います。弊社では、たくさんのイベントを実施したり、いろいろな部署の方とランチできるようにしています。会社で親友ができれば、話も理解できるので仕事も円滑になり、より充実した人生が送れるはずです」。

昨今、取り組みが加速している働き方改革では、待遇や長時間労働の是正ばかりがクローズアップされがちだ。だが、それだけではイキイキとした職場は育まれない。なにより重要なのは、そこで働く人の気持ちだ。自然と会話が生まれ、相談や助言があふれれば、職場は快適な空間となり、創造性にあふれ、チーム力も自ずと強固になる。同社が目指す理想の職場づくりのプロセスには、常に働く上で大事なことの本質がしっかりと組み込まれている。働き方改革がうまくいかない企業にとってはまさに、目からうろこの事例といえるだろう。

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