企業風土

アマゾンはブラック企業なのか【瓦の目】

投稿日:2015年8月21日 / by

ブラック企業の正しい判定法

amazon7アマゾンが超ブラック企業--。そんな記事がニューヨークタイムズ(NYT)に掲載され、ちょっとした騒動になっている。過酷な労働環境であることを暴露した紙面に対し、同社CEOのジェフ・ペゾス氏は怒りの反論。記事の内容は事実かもしれないが、こうしたことで企業をブラック判定するのは非常にナンセンスといえるだろう。

会社という組織の中には、従順なものいれば、批判的なものいる。その中間の人間もいる。これはどんなに職場が居心地が良くても避けられない法則の様のものだ。むしろそれが健全な姿といえる。どの社員も経営者に従順な会社は、ハッキリ言って気持ちが悪い。企業は、思想集団ではなく営利集団なのだから。

その意味では、今回の騒動はNYTが一部の批判的な社員の意見を集めただけのものなのかもしれない。社員がメディアにぶちまけるほど、職場の不満が蓄積している危機的状況ともとれるが、こうした声がどの程度の割合かは定かでない。これがアマゾンの多数派であるなら、「クロ」という判定もできるだろう。しかし、本当にそうなら、すでに大きなほころびが出ているハズで、アマゾンは急速に崩壊へ向かうことになる。現状を見る限り、とてもそうは思えない。

メガ企業は不満の声も増幅されやすい

とはいえ、ペゾス氏が厳格な経営者であることは確かなのだろう。だからこそ、意見を言いづらく、裸の王様になりやすいとはいえる。ましてや、ガリバー企業のトップだ。本人がいくら、「イエスマンになるな」と部下に注意をしたとしてもかえって逆効果で、悪いことがその耳に入りづらい状況が強まるだけだろう。

そうなると従業員のストレスは膨らむ一方で、不満のはけ口さえもなくなってしまう。どこかに不満の吹き溜まりができあがる。限界を超えれば、その矛先は自ずと外へ向かう。影響力のあるメディアはその格好の場だ。その意味では、今回の騒動は、非常に遠まわしだが、結果的に厳格な経営者の耳へ批判の声が届く貴重な機会になったといえる。実際に、内容に首をかしげた同氏は、「あってはならない」と事実確認の上、徹底改善を宣言している。

本来、労働環境は最善であるべきだ。経営者もそうした部分には配慮しているハズである。だが、企業が巨大化すれば、次第に目は行き届かなくなり、社員の声も聞こえなくなる。一般に一人の人間が対処できる人数は150人といわれることからも、メガ企業のトップが、末端まで把握することは不可能に近い。組織づくりを綿密に練り上げてもだ。今回の騒動は、社会的影響力のあるメガ企業の宿命ともいえる、自浄作用の一環に過ぎない。もしもブラック判定するとすれば、そのタイミングはこの後だ。

 

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