企業風土

5年間しっかりと社会人経験を積めるキャリア制社員とは?

投稿日:2014年6月20日 / by

タマノイ酢株式会社 篠原氏 諸井氏

tamanoi-interviewタマノイ酢株式会社という会社をご存知だろうか?体の健康について敏感な人ならピンと来る会社名だろう。「はちみつ黒酢ダイエット」などのヒット商品を取り扱っている会社である。
タマノイ酢ではとてもユニークな雇用制度がある。その名も「キャリア制社員」という雇用制度である。

キャリア制社員とは?

「キャリア正社員」ではなく「キャリア制社員」という名の制度。簡単に説明すると、入社してから5年間、社会人としてのキャリアをしっかりと積めるというものである。

コースは?

いろいろな経験を総合的に積むことができる「総合コース」
営業や企画などのマーケティング業務全般を執り行う「マーケティングコース」
最新技術の生産工場における品質管理やオペレーション業務を行う「生産技術・管理コース」
と3つ準備されている。


どのコースも行う仕事は正社員と変わらず、学びの場という形式的なものではなく、戦力としてバリバリ働くといった内容になっている。
中には、リーダーとして現場を任され、人に指示・指導する立場となるキャリア制社員もいるという。タマノイ酢では「若手最前線」という言葉を前面に押し出しており、若手にいろいろなことを経験させ、成長を促している。若手の対象にはもちろんキャリア制社員も含まれており、通常の社員同様の仕事を任せているのだ。

キャリア制社員は、毎年20名ほど募集しており、その採用人数は正社員よりも多い。応募は3月のギリギリ一杯まで受け付けている。

キャリア制社員にはいろいろな想いや志しを持った人が集まってきている

キャリア制社員を選んで入社してくれる人の志望理由はさまざまだ。教職を目指して大学を出たが、教壇に立つ前に一度社会人を経験しておきたいという人。芸術やデザイン・アートの分野で活躍したいとは考えているが、社会を知らないままそちらの世界に飛び込むのが不安だという人。将来的に起業を考えている人。他にもいろいろな理由を持って応募してくる人がいる。
もちろん、夢一杯にあふれている人ばかりが集まるわけではない。自分の将来を模索しており、5年間社会を経験する間に、自分がやりたいこと、進みたい道を探したいという人もこの制度には集まってくる。

キャリア制社員になるためにはどんな条件があるのだろうか?その条件について諸井氏に伺った。

「キャリア制社員には、厳格な年齢制限はありません。しかし、社会人として一番最初の会社としてタマノイ酢を選んでくれる人を募集しています。中途で入る人はいません。大学の博士課程を終えてから、キャリア制社員になった方はいらっしゃいます」

キャリア制社員制度は、夢を持つ若者へのステップアップという意味合いだけでなく、社会の波にもまれる期間を経験する場としてもしっかりと機能している。
この制度のよいところはそれだけではない。

“自分が何をしたいか見つからない。”タマノイ酢ではそんな悩める新社会人に向けての、新たな選択肢を与えてくれている。
まずは社会人という経験をしてみて、社会の仕組みと自分の適性を知ることからはじめられるのは大きなメリットである。

キャリア制社員は5年間しか働くことができない

kurozu-dietキャリア制社員の契約期間は最長5年間、1年ごとに更新できるとはいうが、できる限り5年間はしっかり働いていって欲しいと考えている。その一方で5年経ったら必ずタマノイ酢から巣立っていくというのが条件である。優秀な人材であっても、その後もタマノイ酢で働きたいと思っても5年がリミットである。
「5年経ったら、契約満了で皆タマノイ酢を卒業します。それ以上会社に残してしまっては、5年という区切りをつけた意味がなくなってしまうんです」

しかし、たった5年間という短い期間で社員を手放すとなると、タマノイ酢側のメリットはなんだろうか?

「5年のサイクルで新しい風が会社にやってきます。常に人のめぐりをよくしていくことで、その業務に携わったリーダー自身も成長していくんです。タマノイ酢のスローガンとして『社員一人一人の成長と自立』というものが掲げられています。ダイバーシティに富んだ人と接すれば、人それぞれ考え方や個性が違うので、そういった幅広い価値観や創造性に触れることに意味があるんです。」

タマノイ酢では中途採用や派遣社員を雇っていない。生え抜きの社員が築き上げている会社である。だからといって、その会社の風土として昔から存在しているやり方に頼っていては、新しいものを生み出すことはできない。
人間は十人十色である。考えていることも持っている能力も人それぞれ違っている。タマノイ酢ではキャリア制社員を導入していることが、社員と会社にとっての学びになっているという。いろいろな人と一緒に働いていくからこそ、そこにイノベーションが生まれるのだ。

タマノイ酢では、キャリア制社員にも惜しむことなく、仕事のやり方や知識について教え、社会人として徹底的に鍛え上げている。5年という限られた期間しか一緒に働くことがない仲間に関しても一切手抜きはない。普通の企業であれば、なかなかできないことである。
しかし、タマノイ酢ではこの制度に確実なメリットを見出している。教えは学びを生み、一度かかわった人とのつながりが消えることはない。それがわかっているからこそ、タマノイ酢ではキャリア制社員を募集し続けられるのだ。

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