企業風土

4時間正社員導入の真意とは

投稿日:2014年6月19日 / by 瓦版編集部

4時間勤務でも待遇は正社員 その狙いと実状

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(株)クロスカンパニー

入社時から4時間勤務で正社員――。アパレル企業の(株)クロスカンパニーが、いわゆる通常8時間勤務正社員の半分の労働時間で、正社員と同待遇の「4時間正社員制度」を導入して2014年8月で丸3年になる。長時間残業の真逆となる超時短な労働者にやさしい働き方。その狙いと実状について、運営責任者を直撃した。


4時間正社員の実状

4時間正社員の狙いや意義を語る張替氏

4時間正社員の狙いや意義を語る張替氏

4時間正社員で働く社員は現在29人。6時間正社員と合せると、148人が「短時間正社員」として同社で働いている。フルタイムから出産などを機に短時間に切り替え働いている社員を含めれば全部で237人が短時間勤務だ。「ほぼ見切り発車に近い状態」でスタートしたという他に例をみない4時間正社員。ふたを開けてみれば、予想以上の効果があった。

「やる前は4時間でどう業務を進められるか未知数な部分は確かにありましたが、結果として生産性は上がりました。4時間正社員で働く人は、経験も豊富でもともと能力のある人たちではあるので、期待はしていましたが、時間が限られていることでより計画性が高まり、業務の効率性を考える部分があるのかもしれません」と同社常務取締役管理本部長でCFOの張替勉氏は明かす。

バックヤードからも環境改善サポート

個人の能力以外の工夫も生産性向上に貢献した。短時間でもしっかり働けるよう、会社がバックヤードの部分で惜しみなく環境改善をサポート。納品時間を夕刻からオープン時に切り替えるなど、作業をより効率的かつスムースに進められるよう、現場の要望に耳を傾けながら、ボトルネックとなる環境を整備した。どうしても発生しがちなフルタイム正社員との微妙な温度差解消には、様々な会議において繰り返し既存社員に短時間の意義を伝達するなど、労を惜しまず、空気のよどみ発生に予防線を張った。

「短時間正社員は、当然ですが、閉店前に帰ってしまう。フルタイムの社員は、その後もしっかり働く。分かっていることでも、気持ち的なわだかまりのようなものはやはりできてしまう。しかし、“短時間正社員はあなた方の将来のロールモデルでもある”といって、納得してもらっています。短時間正社員は、主婦層が多く、20代前半が多い現場でいろいろと相談に乗ったりする役割も担っているようで、うまくバランスが取れている側面もあるんですね」(張替氏)。

人生経験豊富な短時間正社員は微妙な視線も受け流す余裕があるが、それでもフルタイム社員からの視線が気になることもある。時短とはいえ、社員と同待遇。つまり、能力とやる気があれば、昇進可能だ。6時間勤務の事例で、店長になった社員がいたそうだが、さすがに土日休みで時短とあって、当初はフルタイム社員に随分と気兼ねすることもあったという。

あえて4時間正社員導入を決めたワケ

そもそも、日本の職場ではママさん社員の時短勤務でさえ、まだまだ当人の精神面の負担が大きい状況にある。待遇が同じで時間だけが短い、という短時間正社員制度の円滑運用は、想定内とはいえ、困難を極めることは明らかだ。それでも同社が、あえて4時間正社員導入を決めた理由はどこにあるのか。

4時間正社員の狙いや意義を語る張替氏

4時間正社員の狙いや意義を語る張替氏

「弊社は創業以来、“全員正社員”を徹底しています。ここまで順調に成長してきましたが、それは全員が正社員、つまり、会社への高いロイヤリティを持って頑張ってきてくれたからだと思っています。かたやアパレル業界の非正規率は50%を超えています。それでは業界に未来はない。人は企業の調整弁ではありません。そうした中で、昔ある優秀な女性社員が寿退社しました。当時の我々の制度では引き止められませんでした。そこで、以降、似た状況の何人かの社員にヒアリングをすると、夫を家で迎えて働けるなら頑張れますという話が出てきた。そこでまず6時間勤務の制度を導入したんです」と張替氏は制度導入当時を振り返る。

もっとも、メインの対象がママさんで、女性を優遇。見方によっては、時代に合わせた形式的な取り組みにも見えるが、短時間正社員制度にCSR的な発想はゼロ。あくまで「女性が戦力として必要だから」その女性を最大限に生かせる環境を整えたに過ぎない。その結果が、4時間社員であり、6時間社員なのだ。

導入を始めたことで、日本の労働市場が内包する課題も浮き彫りになった。短時間正社員の募集を開始するとなんと、応募が殺到。約4か月で1000人もの応募が集まった。裏を返せば、働きたくても望みにあうワークスタイルがない人があふれているということだ。なんとももったいない事態に日本の労働市場は陥っていたのだ。

「ある程度の予想はしていましたが、それを上回る反響でした。その時、この制度にはまる労働者のニーズを改めて実感し、導入の成功を確信しました。課題も多いですが、今後は雇用創出という観点からも、この制度をずっと続けいていきたいですね」(張替氏)。

今後はさらなる浸透狙い男性育児休暇促進

crosscompny053年前、見切りでスタートした短時間正社員制度は、まだまだ課題は多いものの、いまや同社の人事戦略の中にもしっかりと融合している。さらなる促進策として、昨年末からは、男性社員向けの育児休暇制度も導入。その名は「イクメン推進休暇」。会社から強制で、パートナーのために育児・家事を手伝うために月に1度公休が取得できる制度だ。男性側の理解も深めながら、短時間勤務の社員の真の浸透を目指すのがその狙いだ。

20代の若者ブランドを軸に成長を続ける同社。その構成社員は、同世代の独身が多かったが、短時間正社員の定着や、若手社員が育ち、平均年齢もアップした。それに伴い、30代以降へ向けたブランドも誕生した。女性活用という単なる社会的な側面だけでなく、「短時間正社員」をビジネスにもしっかりと結び付け、新たな成長曲線を描く同社。潜在労働力を最適な形で顕在化させながら、事業も進化させていく同社の取り組みには、人口減少時代の新しい働き方の可能性とヒントが凝縮されている。


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http://www.crosscompany.co.jp/

【会社概要】
称号:株式会社クロスカンパニー
本社:岡山県岡山市北区幸町2-8
本部:東京都中央区銀座 4 丁目 12-15 歌舞伎座タワー17F、18F
創立:平成6年6月
設立:平成7年2月
資本金:1億円
事業内容:アパレル衣料品・バッグ・靴・時計・貴金属・その他雑貨の企画、製造、小売販売及び飲食店舗の運営
役員構成:
代表取締役社長 石川 康晴

クロスカンパニー

2014年6月に東京オフィスを移転しさらに福利厚生が充実

専務取締役 立花 隆央 営業本部長
常務取締役 熊谷 健 経営企画室長
常務取締役 張替 勉 管理本部長
取締役 神田 充教 経営企画室副室長
取締役 美濃部 哲也 KOE事業部部長
取締役 清水 優 店舗開発部部長
取締役 長瀬 泰典 商品部部長
監査役 森 寛
監査役 長尾 謙太
監査法人 有限責任監査法人トーマツ
※2014年4月1日現在
社員数:2,750名(2014年1月末現在)

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