企業風土

アンケートから浮き彫りになる医師の過酷な労働実態

投稿日:2014年4月7日 / by

医師の労働実態99%が当直前後に何らかの勤務に従事――。医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営する(株)ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大野 元泰、証券コード:2150)は病院に勤務し、当直勤務のある医師会員1,000人に対し、当直勤務に関する調査を実施。このほどその結果を公開した。

まず、回答者の平均当直回数は、1ヵ月で3.5回。当直中の平均睡眠時間はおよそ4時間34分だった。年代別では、若いほど回数が多く、当直中の睡眠時間も短かった。大学病院とその他の病院を比較すると、大学病院に勤務する医師のほうが当直回数は多かった。

また、当直前後の勤務体系については、当直前は98.3%、当直後は83.3%が通常の勤務をしていると回答。さらに当直後の半日勤務は12.7%、勤務なしは2.7%。当直前後ともに半日勤務や勤務なしと答えたのはわずか1%だった。つまり、ほとんどの医師が、当直時には32時間以上の連続勤務をしていることになる。

医師の当直勤務等による長時間過重労働が問題視されているが、この結果から、状況は全く改善されていないことが分かる。

では、当直による睡眠不足や疲労が原因のヒヤリ・ハットの経験はあるのか。「ある」と回答したのは34.9%だった。さらに「ある」と答えた医師のほうが、当直回数が多く、当直中の睡眠時間も少ない傾向にあった。

また、その内容としては、「薬剤の処方(薬剤名・量など)のミス」が最も多く、そのほかにも、「診察中や手術中に眠ってしまった」、「患者を間違え、指示を出した」、「針刺し事故」といった回答があり、一歩間違えば、大事故につながり得る実態も明らかになった。

こうした状況を医師はどう思っているのか。「当直明けはツライ」、「当直明けは休みにしてほしい」、「せめて半日だけでも」、「当直ではなく、夜勤だ」と当直明けの勤務に対する悲痛な訴えが多数みられる。

一方で、その実情として「休むとなると、代わりがいない」、「人員不足のため仕方がない」、「病院の経営上やむを得ない」などと回答しており、医師の過酷な勤務に頼らざるを得ない病院経営の現状も浮き彫りとなっている。それだけに数多くの医師が勤務体制の改善や法的整備を求めている。

労働市場は、いまだ厳しい状況にある一方で、ブラック企業の実態が広く知られるようになり、労働者が過酷な労働環境を回避する傾向が強まっている。その結果、業種によっては、深刻な人手不足が起こるアンバランスな状態にある。それが、さらなる悪循環を誘発しており、経営レベルを超えた抜本的な改善が急務となっている。

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