企業風土

長時間労働が続けば企業がつぶれる理屈とは【瓦の目】

投稿日:2015年9月18日 / by

風吹けば桶屋は儲かるが…

extrawork1<風が吹けば桶屋が儲かる>ということわざがある。風が吹けば埃が立ち、目の疾患が増える。結果、目の悪い人が就く三味線弾きが増える。三味線の需要が増えるから猫をたくさん殺す。それによりネズミが増える。ネズミが増えるから桶がかじられる。そのため、桶の修理依頼が増大する…。という連鎖が起こること表現したものだが、それぞれの事案はともかく、始まりと終わりに現実味を感じない。

一方、これが「長時間労働が続けば企業はつぶれる」となったらどうだろう。労働時間が長引くことで、心身の負担が増す。帰宅が遅くなり、家族とのコミュニケーションがおろそかになる。睡眠時間が減り、生産性が下がる。生産性が下がるから業績にも悪影響が出る。給与が減少する。離職者が増える。子育てや介護を抱えている場合には、就労の継続が困難になる…。労働者企業にとってなにひとついいことがない。その先に破たんがあっても何ら不思議はない…。

厚労省が、平成27年版の労働経済の分析を発表している。この中で、長時間労働是正の重要性を指摘している。その中で、所定外労働時間が発生する理由について調査してる項目がある。理由として、企業、労働者双方で最も多かったのは「業務の繁閑が激しく、突発的な業務が生じやすいから」となっている。これはある程度うなずける結果だが、見逃せないのは、それぞれで大きく差異のある理由だ。

企業側で特に多かったのは「仕事の性質や顧客の都合上、所定外でないとできない仕事があるから」。一方、労働者側では「自分が納得するまで仕上げたいから」がトップだった。しかも、この項目は企業は0%だ。この結果を分析すると、企業側には顧客を重視すべくやってもらいたい残業があり、労働者は自分の仕事へのこだわりから残業をする。つまり、労働者は仕方なくする残業があると同時に、そうでないときでも自ら進んで残業をしているという実態が浮き彫りになる。

どうすれば長時間労働の抜本的改善画家のなのか

確かに多くの労働者に当てはまりそうな実態ではある。この状況を改善するにはどうすればいいのか。ひとつはテレワークの活用がポイントになりそうだ。顧客に柔軟に対応するには時間と場所に縛られない働き方が適しているからだ。納得するまで仕上げることについては、7割で仕上げることを徹底するのがベターだろう。なにも手抜きを推奨するつもりはない。たいていの業務は上司やクライアントなどのチェックを経て完遂する。自分で100%と思っても上司のダメ出しがあることは珍しくない。その無駄を省くのだ。もちろん、工芸品の職人ならその必要はない。

多くの人が長時間労働すると、それに伴い、そのスパイラルに巻き込まれる労働者まで増える。終電間際まで働く人が多ければ、コンビニは深夜営業を強いられる。運輸関係もそのニーズに合わせ、深夜運行を行う…。厚労省の分析でもその辺りを指摘しつつ、長時間労働改善の必要性を改めて訴える。「時間より成果」が浸透するには時間がかかりそうだが、まずは「その仕事ホントに必要?」から見つめ直し、徹底して無駄を省き、時間を生み出す努力をすることが、もはや“国民病”ともいえる状況改善への第一歩となりそうだ。

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