企業風土

働き方にフィットする社内制度のつくり方

投稿日:2013年7月4日 / by

多くの制度がもたらすメリットとは

サイブリッジ入口

株式会社サイブリッジ
地位は人をつくるという。では、制度は社員を育てるのか…。社員の平均年齢が若い(株)サイブリッジには、ユニークな制度が数多く導入されている。直接的に新人教育につながるものもあれば、間接的にビジネスマンとしてのセンスを磨くものなど、とにかくバラエティに富んでいる。

多くの制度が存在する理由とは

メンター制度、リブートタイム制度、サンクスカード制度、サイブリッジマーケット、…同社には大小含め、様々な制度がある。運営側がうっかり忘れてしまうこともある、というほどのボリュームだ。もちろん、制度といっても、社員を縛るタイプのモノよりも、むしろ業務の効率化や社内の活性化、教育につながるものがほとんどだ。

主な制度

サイブリッジの主な制度

「弊社は、今年で10期目を迎えまして、代表の水口がちょうど30歳なのですが、社員の平均年令も同じぐらい。まだまだ若い会社だと思います。そういったいい意味でのサークルのノリ的な部分で発想が出やすい風土があるかもしれません。代表自身が、制度の提案を推奨していることも大きいですし、意見が通りやすいという点も制度が増えていく要因だと思います」と同社コーポレートソリューショングループの伊藤水緒氏は説明する。

制度にさりげなく練り込まれる意味

一見すると、ユニークな制度にみえるものでも、実は意外に深い意味があったりする。例えば、福利厚生飲料。社内に設置された冷蔵庫に飲料が補充されているというものだが、担当は商品を安く仕入れ、利益を出すことが求められる。社内委員会は、社内の役割を明確にするための制度で、社員それぞれが所属する。リブートタイム制度は、ウェブデザインや開発に関わる社員が1日15分、食事休憩とは別に15分、リフレッシュ休憩をとる制度だ。サンクスカード制度は、週ごとに誰かにしてもらった「ありがとう」の気持ちを星型のポストイットに書いて、顔社員が並ぶウォールポケットに張り、感謝を伝える制度。

buy-drink

上記各制度を解説すれば、福利厚生飲料では商品売買の感覚を学び、社内委員会では薄れがちな社内での役割やコミュニケーションの促進を図る。リブートタイムは、セルフコントロールをしっかり行うことで生産性向上を実現する。サンクスカード制度は言うまでもないだろう。先輩や担当によるきめの細かい教育がなくても、しっかりと社会人としての成長が促される狙いが各制度にさりげなく盛り込まれている。もちろん、先輩が新人を教育するメンター制度も存在し、人を介した教育もしっかりと行われている。

制度によって省ける無駄

立ち会議室

立ち会議室のタイムリミットは30分

社内における無駄を軽減するための制度や仕組みもいくつか存在する。分かりやすい例でいえば、立ち会議室スペース。文字通り、立って会議をするスペースで無駄に長くなりがちな会議を物理的に短くすることに貢献している。ご丁寧にも専用テーブルには「30分以内」と大きく書かれているので、一層効果的なのかもしれない。社内通貨制度cbri(シブリ)は、昼食時などの同僚とのちょっとした金銭の貸し借りの場面で使われ、1円=1シブリとして流通する。社内wikiは、まさにウィキペディアばりに社内のあらゆるノウハウが、検索できるデータベースで、交通費の請求の仕方や申請書類の書き方など、人を介すと大きな時間ロスを生みかねない情報共有を効率的に実現するツールとして重用されている。

休暇や残業に関する制度もしっかりと導入されている。本人、妻、夫、子供の誕生日には17時に帰宅できる「ハッピーバースデー制度」、文字通り水曜日はNo残業で18時には帰宅する「水曜強制帰宅ルール」、10月1日の都民の日を休日とする「都民の日休日ルール」など、取りづらい休暇取得や実行しづらい“ノー残業”を少しでも促進するよう様々工夫されている。

制度の採用基準

いろんな本が読める図書館

制度の充実した同社には図書館も完備

「制度を採用する上での基準は特にないですが、代表が家族を大事にするという側面もあり、家族や子育てに関連した制度は多めかもしれません。あとはやはり、日々トレンドが移り変わるWEB業界ですので、こういった充実した制度の生まれやすい会社の風土自体が、これから社会人になる人への魅力のひとつになればいいな、という面はありますね」と伊藤氏は話す。

学生時代をさかのぼれば、当たり前だった多くの制度やルール。さすがに社会人となると“自覚”の名のもとに目に見える形ではほとんどが消滅してしまう。しかし、同社のように前向きな行動を促すような細かいルールや制度なら、特に新人社員には教育的側面からも効果が期待でき、見直してみる価値は十分にありそうだ。


コミュニケーションをとっています<最も有効活用されている制度は?>
多くの制度がある同社だが、なかでも特に評判のよい制度を広報担当に聞いてみた。使用頻度ランキングでは「社内wiki」が「最も活用されているのでは」とのこと。確かに、精算や有休の申請、飲料の発注法などの細かいルールは、誰に聞くべきかなどが分かりづらく、聞かれる方もあまりうれしいものではない。そうした点で当然の結果といえそうだ。社員満足度ランキングでは、上下関係なく好きなBGMを選択できる音楽共有、夏の暑さを一気に解消するかき氷食べ放題、日ごろの感謝を伝えられるサンクスカード制度が人気が高いそうだ。ちなみに、数多くの制度だが、細分化された社内委員会が、分担で運営しており、滞りなく機能している。

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