企業風土

「女性活用」の理想のカタチ

投稿日:2014年7月23日 / by

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史上最年少女性管理職が誕生したシンプルな理由

(株)リベルタ
マーケティング本部 部長 青島舞友氏
女性活用を叫ぶ声のトーンの上がる中、女性管理職も着実に増加しつつある。(株)リベルタでは、女性社員の活躍によって、ヒット商品が次々と生まれている。だが、そこには、社会の潮流に乗った女性活用という型にはまった空気はみじんもない。ヒット商品排出をけん引する実績を買われ、5年前、同社史上最年少の女性管理職となった青島舞友部長。その足跡ににじむのは、女性だからというより、ストレートな人材の有効活用という健全なスタンスだ。

低迷商品を一躍ヒット商品へ

濱田氏と青島氏

企画を考えているときは水を得た魚の青島氏

同社の大ヒット商品、「ベビーフット」。削らずに足の角質ケアができる商品として、世界45か国で累計750万個以上を売る同製品だが、実は発売から数年は、売り上げが伸び悩んでいた。そんな時、商品リニューアルにあわせ、プロモーションを任されたのが、青島氏をはじめとする女性社員チームだ。

「今までにないベビーフットらしい企画がやりたい」。常にそうした思いを胸に秘め、あちこちにアンテナを張り、ユーザーと一緒に楽しめる企画ばかりを考えている青島氏は、水を得た魚のように次々と企画を実行。ベビーフットを3000人にプレゼントして、同社ホームページ上で実施した“足裏ズルむけコンテスト”は、そのインパクトとパッケージリニューアルの相乗効果もあり、見事にスパーク。ベビーフットは低迷を脱し、一躍大ヒット商品へとのし上がった。

身体を張ったプロモーション矢継ぎ早に展開

その後も青島氏陣頭指揮のもと、女性チーム「足の裏キレイにし隊」を結成し、全国での街頭サンプリングやピンクリボン運動、母の日企画など、身体を張ったプロモーションを次々と実施。WEBやSNSも有効に活用し、ベビーフットの販促を矢継ぎ早に展開。その度に売り上げをアップさせ、同製品を空前のお化け商品へと育て上げた。

「多分ヒット商品をつくるのが難しいのではなくて、ヒットした商品をその後も売れ続けさせることが一番難しい。だから、正直、プロモーションをしながらも大きなTV露出が続くときは、これ以上あんまり露出してくれるな、と心の中では思っているときもあります。単なる流行りのものにはしたくないですからね」と青島氏は明かす。生粋の企画屋ともいえる同氏は、ベビーフットを任されて以来、抜群のセンスを発揮し続け、同社に大きな足跡を残す。2010年には、その実績を買われ、同社史上最年少、しかも女性という異例の抜擢でマーケティング部長に昇進。現在も管理職として、同社のヒットを支える。

気が付けば史上最年少の女性管理職へ

青島部長

最年少部長になった時のことを振り返る青島氏

「管理職といっても出世がしたいと思ってなったわけではなく、私はただ、どうしたらお客様が喜んでくれるか、どうしたらこの商品のよさが伝わるかということをひたすら考えてやり続けただけ。気が付いたらそういう位置にいた。そういう意味ではその責任を与えてくれて、自由にやらせてくれていた会社には感謝しています。でも正直、管理職なんて大変ですしおススメはしないですよ(笑)。ただ、頑張った結果、初の女性管理職が誕生し、それが実績となり、会社では少数派だった女性の力が急速に強くなっていった。その部分では良かったと思っています」と青島氏は、率直に当時を振り返る。

同社はもともと、男女を区別する社風ではないものの、青島氏入社当初は男女比が7:3くらいの割合。女性の力が特別強いわけではなかった。そうした中で、結婚や出産による離職リスクもある女性を引き上げるムードは起こりにくい側面があったのかもしれない。だが、青島氏が結果を残したことで、ムードは一変。女性比率も5割近くになった。もっとも、同社としても、女性だからというより、結果を出した人材を管理職に抜擢。それがたまたま30歳を前にした女性だった。それだけのことである。

「私を部長職にする過程で、実は社長は反対したそうです。それは否定的な意味合いではなくて、いろいろな責任やプレッシャーなどを心配してくれてですね。部長になる直前は、もう部長と同じような役割の仕事をしていたので、特にプレッシャーみたいなものは感じませんでしたが、なにせ前例がないわけけだし、上が詰まっていたらみなが出世しづらくなると思って、“潰せるものなら潰してみろ”って気持ちで引き受けさせていただきました」と青島氏はあっけらかんと話す。

イタリア語で「自由」の意味がある「リベルタ」という社名。その理念には〈自由な発想、自由な発言ができる社内文化により生み出される喜びのアイデアを形にし、人と社会と地球環境に貢献していく〉という文言がある。ベビーフットの販促に携わる中で、まさにそれを実践し、結果を残した青島氏。一人の優秀な人材として、同氏を管理職に昇進させない理由はどこにもなかった。がむしゃらに働き、結果を残した人材が、たまたま史上最年少で女性だったというのが、同社における青島部長誕生の“真相”だ。

昨今、声高に叫ばれる女性活用の流れ。しかし、その実態は、お上の声に沿いながら、枠組みをつくってそこに女性をはめ込むという形だけの印象が強い。つまり、地に足がついた“女性活用”とは言い難いのが実情だ。そもそも、わざわざ〈女性活用〉を掲げなければいけない国は、先進国でもマイノリティ。優秀であれば、どんどん重要なポストに抜擢するのが、グローバルスタンダードだ。

人材の見極めはあくまで能力

青島氏と濱田氏

部下の濱田氏(右)とも抜群の信頼関係を築く

管理職として人材採用にも携わる青島氏は、戦力についてこんなことを言う。「採用において、男女の区別をしていませんが、結果的に女性が多くなっています。女性の方が、仕事に対する姿勢として、男性と比べると単純にお金だけじゃなくて、その仕事に対してのやりがいを求めている気がします。女性らしさとかを意識するタイプではありませんし、良く分かりませんが、不思議とそういう傾向はありますね」。採用の基準は、あくまで優秀か否か。企業にとって当たり前の選択だ。そこに「女性だから」という冠がつき、判断を左右するというのはナンセンスというより、愚策とさえいえるのかもしれない。

青島氏の経歴をさかのぼれば、元はアルバイト。そこから社長に直談判し、正社員となっている。バイタリティと企画センスにあふれる青島氏が、たまたま優秀だったとしても、人材を選別する上で、経歴や先入観は、マイナスこそあれ、プラスはほとんどないといっていい。女性には、結婚や出産によるキャリア断絶というリスクが確かにある。だが、それも仕組みや男性の意識改革でいくらでもカバーできる。みすみす優秀な人材を逃すリスクと天秤にかければ、企業にとってどちらが賢明かは、自明だ。

同社ではその後、青島氏に続く女性管理職が誕生している。もちろん、「女性だから」でなく、実力ありきの抜擢だ。前例があったからそうした抜擢をしやすかったともいえるかもしれないが、青島氏が切りひらくまでは、そうした事例はゼロ。「女性を活用しなければいけない」。そうした主体性のない動機ではなく、経歴や性別による先入観は持たず、活躍している人材に素直に目をかけることが、これからの企業の健全な発展に重要になっていくことは同社の躍進ぶりをみても、間違いないといえるだろう。


◇「足の裏キレイにし隊」
liberta-teamベビーフットをより愛用してもらうべく、女性目線を生かした商品開発やユーザー参加型のコンテスト、ソーシャルメディアの活用など様々な施策を行う。その活躍を描いた書籍『女性社員にまかせたら、ヒット商品できちゃった、ベビーフット ミリオンセラーの秘密』(著者:中島隆。出版:株式会社あさ出版。1,400円=税抜)が全国の書店で発売中。


◇ベビーフット
babyfoot足の裏に溜まった角質を削ることなく、履くだけで自然に落とすフットケア商品。フルーツ酸をベースに処方されたジェルローションに足を浸すだけで、足裏の角質層に浸透し、古くなった角質のターンオーバーを促し、余分な角質を自然の摩擦で優しく落とす。


【会社概要】
商号:株式会社リベルタ LIBERTA CO.,LTD.
本店住所 :〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー5F
設立:1997年2月12日
資本金:13,075,000円
役員: 代表取締役 佐藤 透
取 締 役 石田 幸司
取 締 役 筒井 安規雄
取 締 役 二田 俊作

HP:http://liberta-j.co.jp/

HP:http://liberta-j.co.jp/

事業内容 ・オリジナル美容商品(BabyFoot、QUICKBEAUTY、Raios、他)の企画販売(店舗、通販、海外)
・輸入腕時計日本総代理店業務(LUMINOX、Libenham)
・自社オリジナル商品、雑貨、輸入雑貨等の通信販売業務(楽天市場、自社ECなど)
・バイク用暖房ジャケット(ヒーテック)製品総代理店事業
・PRマーケティング企画事業
・その他、上記に関わる一切の業務
取扱商品 : オリジナル美容商品(BabyFoot、QUICKBEAUTY、Raios、他)、美容雑貨、腕時計(LUMINOX、Libenham)、バイク用ジャケット(ヒートジャケット)、ブランドアクセサリー 、自動車、携帯電話アクセサリー 、 キャラクター商品、 アメリカ製品(玩具、皮革製品、雑貨、他)、 高級皮革製品(バッグ、サイフ、他)、 ノベルティー商品(企画、製造)
取 引 国 : アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、スイス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ラトビア、スロベニア、ロシア、中国、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、アラブ首長国連邦、トルコ、ヨルダン、パレスチナ、イエメン、サウジアラビア

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