企業風土

残業削減、一体いつやるの?【瓦の目】

投稿日:2015年3月27日 / by

ブラック企業への圧力強める背景

ot-excessive安倍総理が参院予算委員会で、いわゆるブラック企業について、社会的影響力が大きい企業の場合、措置を一歩早め、企業名を公表する必要があるとの考えを示した。これまでは、是正を指導し、その意欲が認められない悪質な場合には、書類送検と企業名公表となっていたが、いきなりレッドカードが突き付けられる可能性もあるということだ。

「時間より成果」を打ち出し、ホワイトカラーエグゼンプションを提示する安倍政権。この2つは、長時間労働を助長する“改悪”ともいわれるが、今回のいきなりレッドの厳しい姿勢は、こうした批判を封じ込める狙いがありそうだ。それにしても、時間より成果をぶち上げ、長時間労働の削減を徹底する先にあるのは、いうまでもなく、短時間でしっかり成果を出す、ということになる。ありがたいことだが、本当にそう簡単にいくのだろうか…。

労働のパラダイムシフト実行の最後のタイミング

長時間労働にせよ、女性の活躍推進にしろ、日本は世界の先進国に大きく後れを取っている背景がある。政府として、こうした状況を放置するワケにはいかないというのは良く分かる。経済大国といわれて久しいが、実態が二流では、超高齢国家の見本にもなれない。働く人はあくまで歯車でしかないような労働環境では、豊かな文化は育まれず、結果的に健全な経済発展も望めない。安倍政権では、いまがそのパラダイムシフトを実行する最後のタイミングとみているのだろう。

長時間労働を基準とすれば、ブラック企業大国ともいえるいまの日本。そうした中でも、大幅に残業時間を削減し、しかも売り上げをアップさせている企業は数多い。長時間労働是正に成功している企業には、ほぼあてはまる共通点がある。それは、トップ率先し、経営戦略の一環として、全力で取り組んでいることだ。

安倍総理はいうまでも現在の日本のトップ。リーダーが残業削減をけん引する重要性を知るからこその厳しいメッセージだとすれば、耳をふさいではいけないだろう。「人が足りない」、「売り上げが下がる」…長時間労働をズルズルと続ける企業にも切実は理由はあるのかもしれない。だが、少なくとも、右肩上がりの時代のビジネスモデルは、もはや“型落ち”だ。そのまま使い続けることは、機能不全につながり、やがてどこかに破綻をきたす。企業がビジネススタイルの見直しをするとなると、よほどのきっかけがなければできるものではないが、この先50年を見据えても、いまがその時であることは、間違いないだろう。

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