WEB業界で危惧すること(前編)
問題のある「見積もり方法」
私は今年で37歳になりましたが、21歳の時からホームページを作り始め、一貫してWeb関係の仕事をしてきました。@SOHOというサービスを運営している関係上、業界のコスト構造についても知り尽くしています。
ここで、業界について危惧していることがあります。それは、『見積方法』についてです。
もともとこの業界では、
・トップページ ●円
・サブページ ●円×ページ数
という形の算出方法が主流でしたが、顧客から見ると多くの場合、『コスト高』となってしまいます。
理由としては、
サブページについては、
一度作ったページのものを流用して、(つまりコピー&ペーストで)作成することができるからです。サブページについては、最初に作る1ページ以降は、その他のページでは圧倒的に労力が下がるのです。
もちろん、ページによっては凝ったページ、シンプルなページがあるので、厳密には労力は上下するのですが…。
この見積もり法は、日本でのネットバブル期の1999年から、リーマン・ショックの2008年までは通用したのです。ネットバブル期の手前の草創期、つまり1995年~1999年あたりまでは、1サイトで100万円~、という時代もあったのです。
でも、今は時代が違います。お金を払う側はなるべくコストを削減したい、しかもスピードは必要だ、という時勢なのです。
また、素人でもプロ並のページが制作できるツールも、沢山出回っているのです。
では何をすべきなのか
このような時代に、どうすれば良いのか。
私の考え方はこうです。プロのデザイナーがこういったツールを徹底的に使って、徹底的にコスト削減をすれば良いのです。この考え方にはいろいろと反論したい方もいらっしゃるでしょう。
1)ツールで作ったものはソースが汚い
2)ツールで作ったものはSEOが考慮されていない
という類のものですね。
このような発想を持つ人は、かなり固定概念にとらわれているので、注意が必要です。
まず、1)については、
現在、世の中に出回っているツールやテンプレート。これらも、プロのデザイナーが作っているという点。
つまり、これらのソースが『汚い』と考える場合。ご自身のスキルがそれらと比べて上でないといけません。私が普段使っているテンプレートサイト。ここは海外のサイトなので、世界中のプロのデザイナーが作ったテンプレートを手に入れることができます。
私の経験上、このテンプレートよりも優れた仕事をするデザイナーには、殆どお会いしたことがありません。
また、レスポンシブデザインなど、新しい技術や考え方はやはり海外の方が対応が早いですからね。それだけ世界のレベルが上がっているということです。
次に、2)については、
そもそもデザインのスキルとSEOのスキルは別のもの。これも私の経験上、デザインとSEOの両方において、最上級のレベルに到達している人に会ったことはありません。
つまり、悲しい現実ですが、SEOを熟知していると主張するデザイナーさんが作るページよりも、
ツールやテンプレートを活用した方が、SEO的に強いことが多いのです。
こういう話をすると、
現役デザイナーの方々には絶望的に聞こえるかもしれません。
また、『平城がこんなことを暴露したら、私達の仕事が無くなるではないか。』と思われるかもしれません。
〈後篇に続く〉
<毎週水曜日更新>
【プロフィール】平城 寿 Hirajo Hisashi
1976年宮崎県生まれ。九州大学工学部卒(1999年)。もともとITエンジニアで、2004年にSOHO事業者向けビジネスマッチングサイト「@SOHO」を1人で立ち上げ、4年で日本国内No.1の会員規模にまで育て上げる。その後インターネットの可能性に魅了され、自らネットを活用した「場所や時間にとらわれないワークスタイル」を実践。2011年より海外に拠点を移し、アジアを中心に毎月5都市以上を訪問。『海外ノマドスタイル』を確立して、その魅力を発信している。
平城寿公式ブログ:http://hirajo.com/
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