企業風土

“強制”なのに楽しくなる働かせ方の秘訣

投稿日:2013年7月11日 / by 瓦版編集部

ティータイムを強制する会社の狙いとは?

ヘノブファクトリー
株式会社ヘノブファクトリー

会社における“強制”にいいイメージはない。しかし、その“強制”を上手く活用し、社内のムードや生産性の向上に役立てている企業がある。WEB制作会社のヘノブファクトリーだ。制度の名は“強制ティータイム”。百聞は一見にしかず。とにかく、午後3時のおやつの時間にオフィスへお邪魔してみた。

おやつの時間は全員が作業をストップ

キンコーンカーンコーン♪、キンコーンカーンコーン♪

オフィスにチャイム音が響くと、作業中の社員は手を止め、中央付近にある共有スペースへと集まってくる。その中心にあるのはおやつとドリンク。時刻は午後3時。そう、3時のおやつの時間だ。しかも“強制”。一体その目的はなんなのか。

強制ティータイム中

「弊社はWEB制作がメインですので、どうしてもコミュニケーションが薄くなりがち。もちろん、仲が悪いわけではないですが、きっかけがないと、一日誰とも会話をしないこともある。もともとおやつタイムはあったのですが、自由度が高かったので形骸化しがちでした。そこでスタッフから生まれたのが、あえて“強制”にする、という発想でした」と谷脇しのぶ代表は、“強制”ティータイム制度導入の経緯を説明する。

おやつの時間は誰にとっても楽しいひと時。とりたいのはやまやまだが、タイミングや業務の進行具合もあり、取り損ねることも少なくない。しかし強制的にとらせることで、同社では3時には全員が作業をやめ、おやつを食べながら談笑することが日課として定着した。おやつは、買いためてあるお菓子のほか、持ち込みや時に買い出しすることもあり、何を食べるかで、話が盛り上がったりもする。もちろん、何気ない会話の中から、仕事につながるアイディアが出てくることもあり、うまく機能しているという。

ティータイム強制のメリットとは

普段の業務風景「企画を考える場合には会議がありますが、そうした場では出づらいアイディアもある。おやつタイムでは皆がリラックスした状態でたわいもない会話が中心になりますが、そうした中から出るアイディアが意外にいいものだったりすることもある。導入の一番の目的は、リラックスしてメリハリをつけることですが、様々な効果がでていますね」(谷脇代表)。

おやつ強制以外にもユニークな制度

同社には、3時のおやつの次の時間割もある。18時30分の外線電話終了だ。WEB制作がメインなので、同社では定時を過ぎると電話が留守番に設定される。“残業”時間を有効活用するため、雑音をシャットアウトするのが目的だ。「当初は夜に電話がつながらないことでクライアントにも迷惑をかけたかもしれませんが、いまでは浸透したこともあり、問題なく、うまく機能しています」と谷脇代表。おやつタイム同様、「メリハリ」をキーワードに生産性向上にしっかりと貢献しているという。

2か月に1回のペースで“課外授業”も行われる。平日丸1日を使ってレクリエーション活動を行う制度だ。「こうしたイベントは土日を使う場合も多いと思いますが、それでは休日を消耗することにもなる。そこで平日、それも思う存分楽しむために丸一日使うことにしています。これも“強制”ですね(笑)」(谷脇代表)。これまでにカヤック体験や都内施設での“暗黒体験”など、様々なイベントを実施し、社員の心身のリフレッシュに効果を発揮しているそうだ。

職場環境良化にこだわる理由

谷脇代表社員同士が楽しく、そしてしっかりとコミュニケーションをとりあう職場づくり。WEB制作の現場では、出来そうでできない職場環境を“強制”してまで作り上げるのは、谷脇代表の苦い経験に一因がある。「会社設立当初、順調に拡大したのですが、私のワンマンもあり、社員が大量に離脱したことがありました。その時、人が定着しない会社はいい会社ではないと思い、スタッフが働きやすい環境について考えることが多くなりました。そして、働く人の立場からルールや制度が生まれる会社を作りたいと思うようになりました」(谷脇代表)。

“強制”という言葉は、少々きついが、実際には「遠慮」や「気遣い」をなくす、いい意味での社員の行動促進。従って、誰もが満足し、社内制度としてうまく機能している。そうした成果もあり、業績は順調に伸び、昨年は新卒採用を実施するなど、人員も着実に増大を続けている。

業務におけるプッシュ型の指示出しは、成熟期に入ったいまの日本では業績アップにつながるよりも、業績ダウン、さらにいえば人材流出にさえつながりかねない。しかし、「やりなさい」と強制する内容が、社員の「遠慮」に根差すものならば、逆に前向きな行動を促すことになり、相乗効果が発生。作業効率や生産性の向上につながることも十分に期待できる。新しい時代の働かせ方として、“強制”もその使い方次第では、業績や生産性の向上に有効な手段の一つになるのかもしれない。

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