企業風土

オーダーメイド型福利厚生で全員ハッピーな会社

投稿日:2015年10月21日 / by

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福利厚生より個人の都合を優先

イマジン・グローバル・ケア(株)

ヘルスケア事業と教育事業を柱に急成長中のイマジン・グローバル・ケア(株)。躍進の背景には、サービス力・商品力の高さがあるが、優れた人材力による貢献度も大きい。その裏には、いわゆる福利厚生とは一線を画す、独特の“人事制度”がある。主体性を促し、従業員のパフォーマンスを最大化する同社独自の仕組みついて、管理部門のマネージャーに聞いた。

福利厚生はないが、誰もがハッピーな驚きの理由

立派な制度が充実し、働きやすさに配慮する企業が増えている。手厚い福利厚生で、多くの社員が満足し、高いモチベーションで業務に励む…。人材不足が深刻化する中で、企業はあの手この手で人材確保に苦心している。だが、制度には欠点がある。多くの人にメリットがあっても、そうでない人もいるということだ。つまり、完全に平等にはできない宿命がある。

同社にはいわゆる立派な制度はない。だが、全員が満足している。その理由はシンプルだ。個々の社員に応じた働き方が面談によってあらかじめ決められているからだ。いわば究極のワークライフバランスの実現、あるいは、オーダーメイド型人事制度ともいえるかもしれない。

imagine2「弊社はまだ発展途上ということもありますが、明確な制度はありません。その代り、個々の状況に応じた働き方が、社長との面談で決まり、それに沿って各社員は働きます。もちろん報酬面も含めた話し合いになります。内容は、各人の状況に応じ、柔軟に変えることも可能です」と管理部門のマネージャーを務める瀧口景子氏は説明する。

ある人は妊娠中のため時短勤務、ある人は介護のためにテレワークを併用、ある人は通勤ラッシュを避けたいから時間差通勤…と各社員が、自分の都合に合わせ、最も働きやすいスタイルを選択し、業務に臨む。言い換えれば、働きやすさを優先して、そこから逆算し、ワークスタイルをあぶり出すというシステムだ。ちなみに、事情については、例えば不妊治療でも同じように考慮され、一切の不平等が起こらない配慮が行き届く。

煩雑な手間を補って余りあるリターン

当然、百人百様のワークスタイルが発生するだけに労務管理は煩雑になる。それでも、従業員が例外なく満足した状態で業務に臨むため、不満も離職も少なく、長い目で見れば、恩恵の方が多いという。あの手この手の制度の創設や導入で、社員満足度を高めることに苦心する企業とは真逆を行くようなアプローチだが、結果的に全員に高い満足度をもたらしているのだから皮肉ではある。

「『社員が幸福でなければ企業も繁栄しない』という社長の考えが一番ですが、入社にあたり、事前にこうした仕組みを説明し、それに賛同した人しか採用していないことも、弊社でこのシステムがスムースに浸透している要因かと思います。また、事業をグローバルに展開していることもあり、社員は多国籍で、ママさん社員も多数います。多様性にあふれる会社ですから、一律の制度ではフィットしにくいですし、風土として、こうした体制になじみやすいということもあると思います」と瀧口氏は分析する。

自然に集まる優秀な人材

多様な人材がイキイキと働く同社

多様な人材がイキイキと働く同社

実際、同社には米国、メキシコ、韓国など外国籍なメンバーが多数おり、ママさん社員も半数近く在籍する。特定の制度で満足させようと考えること自体ナンセンスともいえる多様性あふれる環境だ。もちろん、意図的に、そうした人材を採っているワケではないが、優秀な人材を採用した結果、自然にそうしたメンバーが集まった。

「採用においては、本当に優秀な人材が採れていると思います。一般的には、シングルマザーであったり、外国人であったりすると、日本ではともすれば書類選考の時点で弾かれがちです。本当はとても優秀であってもです。ですから選考において一切の偏見を持たない弊社には、結果的にいい人材がたくさん集まり、残っているということがいえるかもしれません」と瀧口氏。

社風が原因? 子宝に恵まれる女性社員

前職でなかなか廻れなかった子宝も転職で一気に2人目まで

前職で恵まれなかった子宝も転職で一気に2人目まで

まさにダイバーシティ経営のお手本ともいえそうな社風だが、それは同社社長の木下弘貴氏のパーソナリティに起因するといえるだろう。もともとの人柄に加え、海外留学経験もある木下氏は、どんなバックボーンでも全く偏見を持たない。誰とでも常に対等に接し、人柄や能力だけを見極める。だから、一般的な企業では敬遠されがちな外国人やシングルマザーに対しても何の偏見も持たない。昨今、注目される性的マイノリティーに対しても、どこまでも寛容なスタンスだ。

面白いトピックがある。実は瀧口氏、3年前に中途で同社に入社。当時は、子供もおらず、妊娠もしていなかったが、わずかの期間にいまでは2人目を出産直前の状態だ。「1人目の時は、会社が軌道に乗り始め、人手が必要な時期だったので妊娠を言い出しづらかったのですが、社長がとても祝福してくれました。前の会社では産むことさえ遠慮しがちでしたが、ここではそんな雰囲気はまったくありません」と瀧口氏。そうした空気が、出産を後押しするのか、なんと同社では1年に3人が懐妊することもあったという。この現象は、決して偏見ゼロの社風と無関係ではないだろう。

トップが徹底追求する働きやすさ

トップが社員とトコトン向き合うことで働きやすさを育んでいる

トップが社員とトコトン向き合うことで働きやすさを育んでいる

働く上での障害をなくすことについては妥協しない木下社長のポリシーは徹底している。業績が順調に拡大する中で、オフィス移転が内定しているが、新オフィスには社内託児所を設置することが決まっている。同社が教育事業をベースにしていることもあるが、単なる預り所としてではなく、社員が預けたくなるような教育体制と人材もきちんと揃える本格的なものだ。ママ社員にとって、これほど安心して働き続けられる環境はないといっていいほどの充実の設備だ。

「一人目を生んだ後、社長と面談して今後の働き方を話し合いましたが、私は復帰後もマネージャー職としてバリバリ働く道を選択しました。仕事が好きなこともありますが、これだけサポートしてくれるので、その気持ちに応えたいという思いも同じように強くありますから。この2人目を生んだ後ももちろん同じように働くつもりです」と瀧口さんは、大きなおなかで力強く宣言した。

女性活躍推進法案が成立し、企業は女性をいかにして輝かせるかの課題を提示されている。そうした中で、同社のスタンスから透けてみえるのは、通り一遍の解決策はないということだ。それよりも、経営者がいかに徹底して社員ひとりひとりと向き合い、働きやすさを真剣に考えるか、が何よりも大切であることがよく分かる。立派な経営戦略や優秀な人材を集めることも重要だが、なによりも、その潜在力を生かせなければ、絵に描いた餅でしかない…。


【会社概要】

イマジン・グローバル・ケア株式会社会社名称: イマジン・グローバル・ケア株式会社
所在地 [日本橋オフィス]:
〒103-0027
東京都中央区日本橋1丁目2番10号 東洋ビル6F
[六本木オフィス]:
〒106-0032
東京都港区六本木3丁目16番12号 六本木KSビル2F
代表取締役: 木下弘貴
資本金: 10,000,000円
創業: 平成18年6月

 

 

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