企業風土

社員に最高の労働環境を提供する理由

投稿日:2013年5月13日 / by

金銭以外の見返りによる社員満足度の向上を図る企業CLASSMETHOD エントランス

クラスメソッド株式会社

「お金を稼ぐ」か「働きやすさ」を取るか? 労働者にとって、人生を左右するといっていい、働き方の大きな2つの選択肢。システム開発のクラスメソッド(株)は、さながら“働きやすさの百貨店”といえる充実の労働環境で高い生産性をキープしている。同社の取り組みから透けてみえる、究極の2択の答えとは…。

時間とともに“悪化”する環境をできる限りカバー

労働における環境は、基本的には時間とともに“悪化”する。若く、独身なら、早朝から終電まで働いても頑張れる。ここを起点とするなら、結婚、出産、子育て、親の介護、自身の加齢による体力低下…など、年々イベントや変化が訪れ、労働に費やせる時間に制約が発生、価値観も次第に変化していく。労働環境は時間と共に悪化

その状況によっては、離職を余儀なくされることも少なくない。特に女性の場合、環境変化の余波を受けることが多い。同社では、上記のような場合に対する制度をしっかりと整備・充実させることで、避けられる社員の離脱や不都合を、可能な限り回避。いつまでも働きやすい環境を提供している。

キーワードはトータルリワード

「弊社の労働環境に関するキーワードは“トータルリワード”。金銭以外の報酬で社員の頑張りに貢献しようということです。理由はシンプル。金銭による見返りは、歯止めが利かなくなるからです。そうであれば、利益を社員の働きやすさへ還元する方が、意味がある。さらにいえば、社員にとっても会社にとってもメリットがある」と同社管理部部長の魚見賢太郎氏は説明する。

では、同社の労働環境がいかに充実しているかをみてみよう。まず、最初に導入されたという時短制度。これにより、育児中の女性社員は、2時間の時短勤務となり、子育てと業務の無理のない両立を実現した。要介護の親を抱える社員には、サービス利用費の補助手当を支給し、金銭的な部分の重荷を軽減。遠方の実家への帰郷を余儀なくされた社員は、フルタイム在宅勤務制度により、現在も正社員として故郷で遠隔勤務している。

主な取り組み

主な取り組み

その他、子ども手当1万円(1人当たり)、未就学児への保育手当3万円(一人当たり)、配偶者手当3万円、フレックス勤務…など、人生における環境変化のイベントに対し、同社では、金銭や勤務形態などにより、臨機応変にサポート体制を整備。うらやましいほどの分厚い“福利厚生”を実現している。

最高の環境提供をする真意とは

卓球台オフィスの一角にある卓球台は、社員の憩いの場であり、同社のそうした充実した労働環境の象徴の様でもある。だが、決して、会社が社員のご機嫌をうかがうために福利厚生を充実させているわけではない。同社では、正社員と非正規社員の処遇が同等になっている。これは、もともとは差がついていた。だが、社員から「同じように頑張っているのに不公平」との声が上がり、「同一能力同一賃金」となった経緯がある。

この一件のように、時短や在宅勤務、遠隔地勤務など様々な制度のほとんどは、トップの押し付けでなく、社員から上がった声を吸い上げたもの。その理由は「社員が人生を楽しまないとサービスの質は低下する。だから、会社は社員が最大限の能力を発揮できる環境を用意する。もちろん、それには能力で応えてもらう」という同社横田聡社長の考えが根底にある。

お金が働きやすさの2択への回答

飴とムチ、とまではいかないものの、十分な環境を与える代わりにそれに見合う成果も出してもらう、というギブ&テイクの関係。ゆるやかながらもそうした関係をしっかりと構築することで、同社の最高ランクの労働環境はキープされている。これまでのところ、その成果は業績にしっかりと反映されている。だからこそ、魚見氏は「弊社が単に手厚い福利厚生の会社だと思って来てもらっても、それは筋違い。欲しいのは、きちんと成果の出せる人材です」ときっぱり言う。

「稼ぐ」のか、「働きやすさ」か――。同社の取り組みから透けてみえるのは、2択はない、ということだ。なぜなら、働きやすさは、会社の利益に貢献して初めて手に入る“権利”だからだ。権利だけを主張しても「働きやすさ」は手に入らない。さらに突き詰めれば、そうした問題はもはや会社の問題ではなく、働く当事者の考え方次第、ということになる。


ワークライフバランスフェスタ<ワークライフ“ベスト”バランス賞など数々の受賞歴>

様々な制度を導入し、労働環境の充実を進める同社は、多くの賞を受賞している。東京都からは多様な勤務形態を導入する企業として「ワークライフバランス認定企業」に選出。新宿区からは“ワーク・ライフ・「ベスト」バランス賞”。同じく新宿から「平成23年度 新宿区男性の育児・介護サポート企業認定」も受けている。

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