ほめる効果を最大化するコツ
ほめる効果は7割
職場で「ほめる」は、効果があるのか。サーベイリサーチセンターが、全国の20~59歳の男女に職場における「ほめる効果」についてアンケートを実施。その結果、確実に「ほめる効果」が認められるものの、あくまで使い方次第であることが明らかになった。
管理職・一般社員に対し、職場に表彰制度などの「ほめる仕組みがある」との回答は全体で4割。その仕組みが「やる気の向上に効果あり」とする肯定的な回答は7割となっている。このことから、ほめることがやる気向上につながることが分かる。
ところが、一般社員(非管理職)へのアンケートでは、「上司による部下の育成方法に満足」は4割にとどまっている。
ほめ方を間違えると逆効果
さらに「上司のほめ方に不満」を持つ人は4割弱で、その理由は「口先だけでほめる」が最多となっている。つまり、ほめるためにほめるのではなく、部下の行動をしっかり見た上で、理にかなった評価をしなければ、ほめる効果は大きく減少することが分かる。
その一方で、「部下をほめにくい」と感じている上司が7割弱もいることが分かっている。理由は「ほめる部分が見つからない」が最多。これらを踏まえると、上司は口先だけでほめるしかないものの、部下はそれに対し、不満を感じ、両者の間に大きな溝が生じていることが想像できる。
そうした中、どんな「ほめ言葉」を上司からもらえるとうれしいと思うかについても尋ねている。
「『さすがだね』など、ちゃんとやっていることを見ていてくれたことがわかる言葉」(20代・女性・民間)、「ひとつの仕事の背景まで把握した上で、労いの言葉をもらえると嬉しい」(20代・女性・公務)、「工夫したことやその姿勢を認めてもらうような言葉」(30代・男性・公務)といった、行動をしっかり見た上での評価の言葉が多く挙がった。
さらに、自分が役に立っている・必要とされていることが分かる言葉や、感謝の言葉も多数みられた。「役立っていると実感できる言葉」(20代・男性・民間)「いかに自分が必要かを伝えられるとうれしい」(30代・女性・公務)「やった事に対して気持ちがこもった『ありがとう』」(30代・女性・民間)など、やったことに対する意味をしっかりと踏まえた言葉が、ほめ言葉として刺さるようだ。
ほめることで強まるポジティブ思考
また、仕事に対する意識42項目(下図)について、5段階(5:まったくそのとおり~1:まったくちがう)のうち上位2段階を占める割合を比べると、すべての項目で『ほめられている人』に“プラスの結果”があらわれた。例えば、『ほめられている人』での割合が20ポイント以上上回る項目としては、「少々困難な目標でも挑戦したいと思う」(『ほめられている人』では51.8%、『ほめられていない人』では30.5%)、「仕事を効率的にこなせている」(54.8%、29.1%)、「会社(地域・住民)に役立っているという自信がある」(46.7%、21.4%)、「今の仕事に満足している」(38.2%、15.5%)などが挙がっている。
さらに「毎日、職場に行くのは楽しい」(34.2%、16.8%)、「自分の職業・職種に誇りを持っている」(40.2%、28.2%)といった項目においても、『ほめられている人』での割合が10ポイント以上上回っている。こうしたことから、職場においては、ほめることで気持ちを前向きにし、仕事に対してもより貪欲にする傾向がうかがえる。
ただし、見逃せないポイントもある。それは、上記の調査で、マイナスの結果が出ている項目だ。42項目のうち、マイナスの効果があったのは2項目。それは、「出勤するのがおっくうになることがある」、「ときどき会社を辞めたいと思う」だ。つまり、すでに志向がネガティブになったワーカーに対しては、ほめ言葉は十分な効果を発揮せず、むしろ逆効果になりかねないということだ。この点は、そうした状況に部下が陥らないよう、マネージャーがしっかりと目を配ることが重要といえる。また、叱られることでやる気を出す部下も3割はいるということも忘れてはならない。