企業風土

リコーが“完全禁煙”を導入する真意とは

投稿日:2015年1月8日 / by

ヘビースモーカーには地獄のような施策

なぜリコーは完全禁煙を導入したのか…

これまであった喫煙所は敷地内から撤廃されているそうだ…

(株)リコーが、国内リコーグループを対象に、社内での禁煙及び就業時間内の喫煙を全面的に禁止した。2015年1月5日からスタートしている。グループ社員の健康障害防止・健康増進と社内における受動喫煙防止が大義名分だ。

社員の健康に配慮した素晴らしい制度といいたいところだが、その禁止範囲はおぞましいほど広い。就業時間内はもちろんだが、外出先、出張先、移動中を含めたあらゆる場所で喫煙が禁止される。さらに、リコー関係者のみならず、各社・各事業所に来所する全ての人がその対象となる。

もはや刑務所並みの断固たる姿勢であり、ヘビースモーカーにとっては地獄のような制度とえいる。一応、喫煙者に対しては、禁煙補助薬の購入補助・治療費補助などのほか、保健指導を行う配慮はあるが、誰もがそう簡単に禁煙できるわけではない。

なぜここまで禁煙にこだわるのか

一体、この異例ともいえる全面、いや完全禁煙制度の裏にはなにがあるのか。どうしても思い浮かぶのが、2011年5月に打ち出されたグループ3年1万人規模の大リストラ策だ。追い出し部屋が設置されるなど、非情な退職勧奨が行われ、裁判にもなっている。

その悪質さから、2014年にはブラック企業大賞にノミネートまでされている。一方で、抜群の知名度で経産省選定のホワイト企業にも選出されている企業だけに、「恐るべき裏の顔」として、ランクインには戦慄が走った。

企業にとって、業績が悪化すれば、最終手段としてリストラも仕方がない側面はある。それでも、解雇の裏にはその対象人員の家族の生活が懸かっており、首の切り方に配慮するのは最低限の礼儀といえるだろう。今回の“完全禁煙制度”に表立った罰則はないようだが、人事考課において、少しでもマイナス点を増やすための施策と勘ぐらざるを得ない。

現実的には、外出先や出張先での喫煙をどうチェックするのか。同社の誇る技術で遠隔喫煙チェックマシンでもあるのだろうか。そもそもそこまではやるつもりはないのかもしれない。いずれにせよ、「君、出張先で喫煙したね」、「いいえ、していません」。「じゃこの写真はなんだね」、「……」といったやり取りが、密室の面談室で行われることは想像したくない…。

 

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