企業風土

人が休むことでより安定する会社

投稿日:2014年7月10日 / by

rockon00

リフレッシュを業務効率とリンク

(株)ロックオン

作業効率を上げる効果的な手段としてリフレッシュがある。50分に1度の休憩が有効との説や適度な休暇がより作業効率アップに貢献するなどともいわれる。そうした中、1週間以上の長期休暇や異空間レンタルなどで、社員のリフレッシュを全面サポートする企業がある。(株)ロックオンだ。長期休暇といっても取得は半強制で、休暇中のコンタクトは禁止。果たしてその狙いは? 担当者に聞いた。


コンタクト禁止の山ごもり休暇の狙いとは

南米旅行

長期休暇中は連絡禁止!

最大9連休。取得は強制。しかも行った後の電話連絡やメールでのコンタクトは禁止!

同社の「山ごもり休暇制度」は、その名の通りのすごい長期休暇だ。社員にとってありがたい反面、なにか怪しいにおいすら漂う。不在の間に該当社員の身辺調査でもするというのか…。

「理由はもちろん純粋にリフレッシュです。我々の仕事はクリエイティブなものですから、しっかり休んでいい仕事をしてもらいたい。さらにいえば、我々はビジョンとして世界にインパクトを与える、を標ぼうしていますから、長い休暇で世界を見てきてもらいたいという思いもありますね」と同社コーポレートコミュニケーションユニットユニット長の梶原直樹氏は説明する。

クリエイティブな企業が、長期休暇取得を推奨するケースは珍しいわけではない。しかし、強制かつ、コンタクト禁止となると、ほとんどない。逆にたっぷり休んでいいが、しっかり連絡してこいというのは、少なくない。

社員の休暇が職場の安定を生む秘密

会社にとってのリフレッシュの意義を説明する梶原氏

会社にとってのリフレッシュの意義を説明する梶原氏

「長期休暇中のコンタクトを禁止にしているのは、不在でもしっかり業務を回せるよう、現場の態勢を構築するためです。つまり属人性の排除です。この休暇を“強制”にすることにより、否が応でも業務を引き継がなければならないんです(笑)」(梶原氏)。

つまりこういうことだ。ある社員が長期休暇を取得する。当然、その社員が不在で困ることも起こりうる。そこで、同僚は休み中だが、連絡を取ろうとなる。ということは、その業務は休暇中の社員でなければできないということでもある。こうしたことは、休暇でなく、その社員の病気や怪我による離職や退職などでも起こる。そうした場合に備え、いなくなっても回る訓練をする。だから、休暇取得者へのコンタクトは厳禁なのだ。

長期休暇から帰国後、山のようにたまった業務で一瞬にして休暇の余韻が吹き飛ぶことはよくある。だから、せっかくの休暇もゆっくりは休めない。同社では、いなくても他のメンバーが、問題なく業務を回せるよう、業務を共有化しているため、心置きなく休むことができる。だから「やまごもり」なのである。会社にも社員にもメリットがある、なんとも無駄のない理にかなった長期休暇の取らせ方といえる。

場所や職場を変えるリフレッシュまで提供

社員のリフレッシュと業務共有化という実益を兼ねた同制度のほか、同社には「武者修行制度」というものもある。社内だけでは獲得できない知識・能力・経験を国内外問わず社外から得られる制度で、最大2年間の休職を取得できる。

「一般的な休職制度と異なり、能力向上を目的とした場合にのみ適用される特別な休職制度です。あえて厳しい環境に身を置くことで己の殻を打ち破って欲しい、という思いを込めネーミングしました。第一号適用者はフランスの大学へ留学しました」(梶原氏)

ロックオフはオフィス近隣に借りた住居。異空間ゆえの発想が飛び交う

ロックオフはオフィス近隣に借りた住居。異空間ゆえの発想が飛び交う

「ロックオフ」というオフィスとは別の異空間もある。その実体は、会社付近に借りた一軒家。狙いは、仕事の時は違ったアイディアを発揮・実践する場の提供だ。社員からの発案で取り入れられた。オフィスでの会議もいいが、全く違う空間で行わると、思わぬアイディアが飛び出し、一気に行き詰まりが解決されることもある。発案者が専用のホームページを作るなど、同スペースは思惑通り有効活用されている。

「やまごもり休暇制度にしてもロックオフにしても武者修行制度にしてもすべては、世界にインパクトを与えるための発想を刺激するための施策です。日常業務だけに集中していては、いい仕事はできてもインパクトを与える仕事はなかなかできるものではありません。そのために我々は、今後も常識にとらわれることなく、いろいろな施策にトライしていきたいと考えています」(梶原氏)。

全てを理念に結び付けるからこその定着

屋形船

社員旅行もとことん楽しむ企画でリフレッシュ

言葉通り、社員旅行も非日常の体験をテーマにしており、23台もの人力車を貸し切って、京都観光をするなど、同社のアクションはなにごともフツーでは終わらない。こうしたことを混乱なく実現のできるのは、企業理念の「Impact On The World」が各社員一人ひとりに浸透し、自然と業務の中に取り入れられているためだ。

働きやすい環境づくり、目指せ働きがいのある会社…。優秀な人材獲得が年々厳しくなる中で、各社はそうしたことに知恵を絞り、魅力的な制度を導入する。だが、そこに明確な意図と業務との連動性がなければ、形だけになりかねない。全てをしっかりと企業理念に紐づけた、行動までを踏まえた同社の制度設計の仕方は、導入制度が形骸化している企業にとって、大いに参考になる事例といえるだろう。


【会社概要】
ロックオン社名:株式会社ロックオン LOCKON CO.,LTD.
設立:2001年6月4日
資本金:11,741万円
代表者:代表取締役社長 岩田 進
役職員数: 61人
所在地:
【大阪本社】
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー13F
【東京支社】
〒104-0061 東京都中央区銀座5-9-8 クロス銀座6F
事業内容:1.Eコマース関連ソフトウェアの企画・開発・販売。2.インターネット広告関連ソフトウェアの企画・開発・販売
HP:http://www.lockon.co.jp

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