企業風土

働き方と時間の健全な関係

投稿日:2014年5月29日 / by

お毒 “残業代ゼロ法案”が、修正の方向みたいね。やっぱり、反発が大きいのよ。いいようにはされないわよ。

猫田先生 アレは残業代ゼロじゃなく、“残業ゼロ法案”。なんで残業代がなくなるってところばかりにみんな目を向けるのかね。

毒舌家

お毒 だって、残業をなくして、残業代を削ることが狙いなんでしょ。あれでどれだけ助かってるか。アタシの店は、残業して残業代稼いだ人がそれで飲みに来てくれてんだから。残業代がなくなったら商売上がったりよ。

物知り

猫田先生 だから、今回の産業競争力会議のテーマは「働き方改革」。労働時間はその中でも重要な項目のひとつで、「時間でなく成果で評価される働き方」への転換を目的としてるんだ。本当に必要で残業してるなら仕方ないが、残業代を稼ぐために働くってのはおかしいだろ。定時内でしっかりと仕事を終えて、見合った給料をもらおうってのが今回の議論の趣旨。逆にいえば、短い労働時間でもっと給料がもらえる可能性だってあるんだぜ。

お毒 そりゃ能力のある人はそうだろうけど、多くの人はそんなスーパーマンじゃないの。できる人の理屈なのよ。そんな上から目線じゃ、いつまでたってもまとまんないわね。

猫田先生 高齢社会の日本は、もはやつくったら売れる時代は終わって、より付加価値のあるものを作んなきゃ生き残れない。そのためには、全体がレベルアップしなきゃならん。会社が面倒を見てくれる時代も終わりつつあるんだよ。これからは、一定以上のスキルを持った者が、会社を利用して、優れた製品なりプロジェクトを動かす時代になる。そこでは10時間働いたから偉い、みたいな理屈はねぇ。そこへシフトするためにいまの議論が行われてるんだよ。

おっちょこちょい

お毒 そんなサラリーマン総エリート化というか、会社総ベンチャー化みたいなことは無理無理。それに仕事なんて、地味だけど必要ってものがあるから成り立つんだから。

猫田先生 その通りだ。だから、法案の対象は限定的なんだ。「職務内容と達成目標が明確で、一定の能力と経験を有する者」、「目標達成に向け、業務遂行方法、労働時間などの裁量が高く自律的に働く人」がその対象。労働集約的業務や成果が時間要素が高い業務などは対象外。決して全社員が対象じゃない。

お毒 仮にそれでうまくバランスが取れたとしても、同じ会社なのに随分と格差が出てくるような気もするけどね。現に、成果主義の会社で、給料に二倍以上の差がある会社も知ってるし…。

猫田先生 まぁ、残念ながら、給与が全員一律評価というのはもはや成り立ちづらい状況だろうな。それに労働集約型の仕事にはロボットって強力なライバルもいるからな。できる者とそうでない者の格差が広がる懸念はある。

お毒 ほんとにそんなことで日本はよくなるのかしらね。ため息しか出ないわね。

伝衛門 アッシは、あくびしか出ないでやんす。 

お毒 なれの果ては伝衛門、か。ヤダヤダ。絶対ああはなりたくないわ。

猫田先生 考え方としては、3つある。この流れを受け入れてスキルアップを図る。対象外の仕事に従事し続け、生温く働き続ける。起業する。前回、この三者三様で懸念していた部分は、今回の報告ではかなり是正されてたし、随分と練り込まれてはきてる。おそらくこのタイミングを逃したら、無駄な長時間残業常態化の流れを変えることは難しいだろう。残業代ゼロ法案として短絡的にみるんじゃなく、ちゃんとその狙いをみて、真剣に考えてほしいもんだね。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について