働き方

転職のきっかけが思わぬところに潜む時代に持つべき心構えとは

転職するきっかけの2大事項

「転職する!」。人生において比較的大きな決断をするきっかけはなんなのでしょうか。大きくは稼ぎかやりがいか、ということになるのでしょう。エン・ジャパンの最新の調査結果では、転職を検討する理由の最多は「給与」(61%)、次いで「仕事内容」(49%)となっています。やはり、「お金」か「やりがい」が上位のようです。
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なぜ報酬が転職のきっかけになるのでしょうか。もしも給与が過去10年給与が微増程度なら、どう思うでしょう。「この先10年も大して変わらないんだろうな」と悲観的になるでしょう。とはいえ、退社を考えるまでにはいかない。ただし、この先10年も給与が変わらないかもしれないという不安は、待遇にしがみついて会社に残るという気持ちを消失させることにはなるでしょう。

ということは、仕事内容がほぼ同じで少し給与がアップする会社が目の前に出てくれば、気持ちがグラッと揺らぐ可能性が高いということです。もしくは給与は同等以下だが、とてもやりがいのある仕事があれば、転職を考えるかもしれない、ということでもあります。昨今は、各企業も好況とはいえず、給与の伸びはわずかのところがほとんどです。つまり、多くの人の気持ちが揺らぎ、人材という塊でみればドロドロに流動化している状態です。

この状況は、人材企業にとっては大きなチャンスです。多くのビジネスパーソンの気持ちが揺らいでいる。ちょっとした高待遇で、かつてなら送りこめなかったような人材を企業に紹介できるかもしれない…。人材企業やヘッドハンターが、目を皿にして優秀な人材を狙っています。

思わぬところから転がり込むようになった転職のきっかけ

つまり、思わぬきっかけが転職を後押しする可能性も高まっているのです。まさか自分が転職するなんて…。そんな人が、ヘッドハンターの熱心な説得で心を動かし、転職となるケースもこれからどんどん増えていくでしょう。友人や知人の転職を支援すると報酬がもらえるサービスも登場しています。もはや、転職のきっかけはどこにあるかさえ分からない。それ昨今の人材市場の状況といえるでしょう。

もっとも、こうした潮流は、家庭を持つビジネスパーソンにとって、リスキーでもあります。転職によって環境が激変することで、大黒柱になにかあったら一気に家庭崩壊、となりかねないからです。そこで注目を集めているのが「嫁ブロック」という言葉です。
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スマップの解散騒動の際、キムタク夫人の工藤静香さんの猛反対があったといわれています。スマップという絶大ブランドを捨てるリスクに対し、奥様が冷静に判断を下し、ストップをかけたのです。男は最後は感情で動くケースが多いですから、家計を管理する奥様の冷静な判断は、十分に傾聴の価値はがあるでしょう。その意味で、嫁ブロックは、転職を翻意させるきっかけとして今後、ますます重要になってきそうです。

少子高齢化による人材不足が転職のきっかけになるケースも増えてくるでしょう。労働人口が減って転職がしやすくなるから、というワケではありません。むしろその逆で、労働人口が減り、一人当たりあたりの業務量が増大し、労働環境が悪化。より快適な職場を求めての“避難的転職”の増加です。インテリジェンスHITO総合研究所の調査では、今後10年以内に583万人の労働力が不足。情報通信・サービス業は482万人不足するといわれています。

かつてに比べ、転職への心のハードルは随分と下がりましたが、いまや、本人の意志と関係のないところで転職のきっかけがうごめいているような状況です。こうした時、とても重要な心構えがあります。自分の意志をしっかり持つということです。当たり前のことですが、不安定な気持ちの時に外部から魅力的な話が舞い込んで来れば、どうしても浮かれてしまいます。そして、軽率な判断を下してしまいがちです。後悔先に立たず…。こうした雇用情勢を俯瞰した上で、自分はいま何がしたくてどの方向に向かいたいのか。そこをしっかりと整理しておくことが、人材流動化時代に“転職事故”を起こさない肝といえるでしょう。

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