働き方

NPOで働きたいなら知っておくべき5つの知恵

NPO側の思惑を考えたスマート“転職”への処世術

社会的課題を解決するNPOへの関心が高まって久しい。昨今は高学歴の希望者も急増中というが、安易な決断は要注意だ。NPOでスマートに働き続けるための処世術を、NPOとして受け入れる側のスタンスを考慮しながら、探る。

npo1

増え続ける非営利組織への就職希望者

朝から晩まで全力で働き、優れた成績を上げ、高額の報酬を得る。まさにワーキングアニマルが、イケてるビジネスパーソンとして当然のように目指すべき姿とされていたのもいまは昔。頑張っても報われづらい時代に突入し、働く人の価値感は大きく変わりつつある。

東日本大震災がそうした思いを顕在化させ、以降、社会貢献したいと働き口の選択肢としてNPOを挙げる人も増大した。頑張っても報われないなら、社会の課題を解決し、社会やヒトの世の役に立とう、という思いに至るのも理解できる。ただし、NPOで働くなら、とりわけしっかりした覚悟が必要だ。

理由はシンプル。非営利だから、というワケではないが、それだけに従事するなら、報酬は極めて少ない。年収が300万円を切るのは当たり前だ。それを上回るやりがいがある、と感じていても、本当にそんな状態でずっとやっていけるのか…。もちろん、それでも大丈夫という人もいるだろう。それにしても、いきなりその身を全てNPOに捧げるのはスマートとはいえない。

1:交渉する

あるNPO代表はこう話す。「私どもも、少しずつ団体の認知度が上がり、それにつれて、驚くような学歴の優秀な人材からの応募があります。報酬の部分を十分に説明した上で、可能な範囲で働いて下さいと説明しています。報酬で報いられない分、可能な限り柔軟な働き方で対応するようにしています」。

NPO側にすれば、高額報酬は用意できない。それでも優秀な人材は、欲しい。なぜなら、人材が優秀なほど、より高度な課題解決につながっていくからだ。だかこそ、譲歩策として、働きやすさを提示する。民間企業では考えられないような柔軟な対応をしてくれるところも珍しくなく、週一勤務や時短勤務など、可能な限り交渉に応じてくれる場合もある。

2:サイトを活用する

NPOで働くことを希望する人が辿り着くルートの多くは、知人やスタッフからの紹介といわれる。随時募集しておらず、急な欠員が出た場合などが多いからだ。とはいえ昨今は、NPO自体が増え、求人自体は随時ある。団体のホームページなどには常に最新情報が掲載されていたりもする。その他、最近では求人媒体に掲載されるNPOも増えており、こうしたサイトを有効活用することが効率的だ。

大事なことは、それで辿り着いた後、じっくりとヒアリングするのに加え、実際にまずはボランティアからでも活動に参加してみることだ。それによって、団体の実状も分かり、本当の苦労やイメージとのギャップを確認できる。小さな団体が多く、いろいろな業務を任せられることも多く、そうしたこともしっかりと確認しておかないと、「社会貢献」という志だけでは続けられない壁にぶつかるかもしれない…。

3:副業から始める

副業容認の動きが加速しているが、禁止企業でもボランティアはOKというところもある。そうやって、週末だけ希望のNPOの活動に参加してみることは、実状を知る上で非常に有効だろう。副業可能なら、就職ではなく、副業の一環として参加するのもいいかもしれない。「交渉する」で述べたとおり、NPO側はかなり柔軟にワークスタイルを考慮してくれる場合が多い。そこでうまく日程調整し、まずは、無理のない範囲で、働き始めるのがNPOで働く最初のステップとしても理想的といえるだろう。

npo2

4:自分の意志で選択する

「社会貢献に興味がある」。そう公言していると、どこかしらから声がかかることもある。最初はそれに参加して、実体験することも大事だが、将来的にNPOで働くことを考えているなら、自分が貢献したい分野を明確にして、自分の意志で団体を選択することが重要だ。そうでなければ、理想と現実の狭間で、「こんなはずでは…」と悩み、やりがいを失いかねないからだ。社会貢献を目的として、やりがいを失うとしたらこれほど寂しいことはない。しっかりと自分の意志で、前進することを怠ってはいけない。

5:稼ぐ意識も忘れない

NPOだから、稼ぎは最小限でOK。その志は素晴らしい。だが、素晴らしいキャリアで、大手民間企業でも十分に稼げるような人材が、低賃金で社会貢献に汗水流すのは、スマートとはいえない。たくさん稼ぐことが目的でないのは当然としても、NPOとしての活動を単なるボランティアのイメージから脱却させるくらいやりがい溢れるものに進化させる使命がなければ、才能の無駄遣いだ。

稼ぐ、という言葉には違和感があるが、資金が集まりやすくなるよう魅力的な団体にすることをミッションとするくらいの気概は欲しい。それくらいでなければ、永続は心許ないだろう。プロボノというスタイルがあるが、ボランティアだから滅私奉公でなく、ボランティアだからこそスマートに。それくらいの意志を持って臨んでもバチは当たらないだろう。

<総括>

社会貢献、非営利といったワードからは、まるで僧侶の様なストイックさが求められる印象だが、決してそんなことはない。むしろ、高度なスキルや知識があれば、より多くの社会貢献が実現できるともいえる。その意味で優秀な人材がNPOを目指すのは素晴らしいことだ。だが、メインは社会貢献でありお金儲けでないことは確か。その辺りをしっかり咀嚼し、関わり方を考えることが何よりも重要となる。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について