働き方

嫁ブロックは転職の壁? それとも天の声? その驚きの実態が判明

嫁ブロックの実態調査の結果

「嫁に話したところ猛烈に反対されまして…」。転職を水面下で進めるビジネスマンにとって、最後の砦は嫁。「あなたがいいなら」とすんなり受け入れてくれるケースは意外に少ない。共働きが一般的になりつつあるものの、大黒柱には変わりないからだ。悲しいことに昨今は、収入ダウンが主流なだけになおさらだ。

人材企業のエン・ジャパン(株)が、同社が運営する「ミドルの転職」ユーザー384人を対象にこの嫁ブロックに関する実態調査を実施している。対象は、35歳以上のミドル男性。その実態はどうなっているのか…。

4人に1人が嫁ブロック経験あり

まず、嫁ブロックされたことがあるのか。これについては、24%が「ある」と回答。4人1人が嫁の反対で転職を諦めた計算だ。注目は、年代による違い。30代が16%、50代が19%に対し、40代では30%と他世代を大きく上回る。これは、30代は昇進の可能性が残り、50代はゴールがチラつくことによるものと推察される。一方、40代は、リストラ対象のど真ん中世代であり、動くにしても収入ダウンが確実視されるからだろう。

エン・ジャパン調べ

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実際に、嫁ブロックされた理由にそのことが反映されている。トップは「年収が下がる」が42%で断トツだった。嫁にとっては、転職するのは勝手だが、ならば「しっかり年収アップしろ!」ということなのかもしれない。妻帯者にとって、もはや収入にかかわる転職は、個人の裁量では決めづらいのが実状、といえそうだ。

エン・ジャパン調べ

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面白いのは、30代の嫁ブロックの理由。全体では26%の「有休取得率が低い」が、なんと57%もの高い割合となっているのだ。考えられるのは、働き盛りの30代だけに、休みの少ない会社となれば、潰されかねないという心配が妻の頭をもたげるのかもしれない。そうだとすれば、愛情あふれる嫁ブロックといえるが…。

嫁ブロックを突破した割合

では、実際に嫁ブロックで内定を辞退した人はどれくらいいるのか。「した」は44%。つまり、過半数は反対を押し切って、転職を実行している(56%)。とはいえ、辞退した人の理由は「家庭内で協力が得られなければ仕事のパフォーマンスが落ちると考えた」、「家族の時間が減る」、「年収があまりに低く、上がる可能性も低かったので」と冷静になって考え直したようで、非常に適切な判断だったと捉えている。

エン・ジャパン調べ

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それに関連し、「辞退されたことをどう思うか」については63%が「辞退してよかったと思う」と回答。「辞退したことを後悔している」の19%を大きく上回った。さらに30代では、なんと100%が「よかった」と回答。これは、反対理由で有休取得率の低さがあったが、現状の会社とあらためて比べてみたときに、そのありがたみを実感した結果なのかもしれない。

嫁ブロックにあわない工夫とは

とはいえ、男たるもの、いろいろな理由で転職を考えることはある。できれば反対にあわず、決断を実行したいものだ。その対策として心がけていることについても同社は調査している。一位は「普段から頻繁にコミュニケーションをとる」が45%。2位が「状況を逐一、伝える」。3位が「職場のネガ話を吹き込んでおく」となり、妻とのマメな対話が重要であることが浮き彫りとなった。

まだ記憶に新しいジャニーズ系アイドルグループの解散騒動で、解散を保留にした原因がまさに“嫁ブロック”ともいわれている。現状をみる限り、そのブロックがよかったのかは何とも言えないが、転職活動を沈着冷静に実行できるビジネスマンは意外に少ない。一ビジネスマンとしてだけでなく、家庭人としてもダンナを客観視できる嫁の声は、実は案外、“天の声”といえるのかもしれない…。

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