働き方

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 (講談社文庫)【瓦版 書評】

投稿日:2013年12月5日 / by 瓦版編集部

僕は君たちに武器を配りたい

個人としての力を活かすための働き方をすべき

新しい働き方について多くの書籍が出版され、ちょっとしたブームのようになっている。しかし、周囲でそんなことを話している同僚がたくさんいるわけじゃない。原因は、2つほどある。「テーマが重い」、「解を見つけづらい」。考えれば考えるほど、逃げたくなるテーマだから、気持ちや思いは内へと向かっていく。だから、表出してこない…。

多くのワーカーが、心の中にモヤモヤと抱く“新しい働き方”への思い。それは、上司への愚痴や待遇への不満という類のモノとは次元が違う。少子高齢化とグローバル資本主義の進展などを背景にした“個人のコモディティ化”という深刻な問題と絡んでくる。分かった上で、考え、悩むと、その先では「やっぱり見なかったことにしよう」と蓋を閉じたくなる衝動に駆られる。

企業人として立派に働いてきた。会社にも評価された。昇進もした。しかし、新しい働き方へ目を向けたとき、自分の無力さに絶望感しか湧いてこない…。なぜなら、これからの働き方のベースには、自分でゼロからプロジェクトを立ち上げ、推進していく力が必須だからだ。残念ながら、作業をそつなくこなすことが評価、というこれまでの働き方とは、真逆と言っていいスキルが求められる。

飛び込む勇気があっても、スキルがない。スキルを身に付けたいが、そんな時間はない。そうこうしている内に「このまま会社にしがみつくのもありかもしれない…」という悪魔のささやきが聞こえてくる。多くのワーカー、特に従来型の働き方にどっぷりと染まった会社人間には、新しい働き方は、パンドラの箱なのだ。もっとも、「開けてはならない」、と決めているのは、自身の“過去のキャリア”でしかない…。

これからのワークライフを送る若者に届けたい書物

同書は、箱を開けるためにまず、現在の市場を大きく俯瞰し、パラダイムシフトが起こっていることを明確にする。その上で、この変化の荒波にどう立ち向かうのかを本質論で語る。キーワードは「投資」。中長期的に世の中の流れを、仕組みから見極める目を養うことが、グローバル資本主義の進展したこれからの社会で埋没することなく生き残る知恵になるからだ。武器を持つ前にしっかりと戦略を描いてくれている、とも言いかえることができる。

タイトルだけからでは中身は想像できない。だが、読めば両者は見事に合致する。表紙、タイトル、構成、価格設定…一冊の本の出版プロセスにおいて、そうしたところまで関わる著者には、内容以外の部分でもうならされる。この本は、エッセンシャル版。500円のワンコイン文庫だ。

オリジナル版は、高めの価格設定ながらベストセラーになったものの、意図するターゲットとは違う層へ届いた。そこで、本来のターゲットである若者も手に取りやすい価格での再投入となったのがこのエッセンシャル版。「武器を配りたい」という著書の本気をヒシヒシと感じるだけに、一字一句見逃すまい、と不思議と読みあげるのにも力が入る。

キーワード:「新しい働き方」、「グローバル資本主義」、「少子高齢化」、「投資」

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