職業

職場が“世界”という働き方

投稿日:2015年9月1日 / by 瓦版編集部

dp7豪華客船の上が職場の感覚とは

セラピスト 波木井南美氏
美容師 蓮見由香里氏

<世界を股にかけて活躍>、という表現がある。では、職場が「世界」とは、どういうことか…。その答えは、世界中を長期間クルーズする豪華客船内で働く、ということだ。実際に豪華客船「ダイアモンド・プリンセス」内でセラピスト、美容師として働く、2人の女性にその魅力や実態を聞いた。

まさに海上の豪華ホテルが職場

横浜港に停泊する客船。まるで巨大ビルの様な大きな船体は、全長290m、全幅37.5m、高さ54mと圧巻のスケール。約3000人の乗客を飲み込むその内部は、まさにあらゆるものが揃う超高級ホテルそのものだ。港の風景とは別世界のこの船内のスパで、波木井さん(写真左)と蓮見さん(右)は、海路世界を巡りながら、セラピスト、美容師として働く。

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世界を巡る豪華客船はまさに海上のホテル。水面からの高さはなんと54mにおよぶ。船内には、カジノ、エステ、寿司バー、レストラン、フィットネス、スパ、プール、…なんでもある

波木井さんはマッサージセラピストの24歳。蓮見さんは、28歳の美容師だ。波木井さんは、セラピストとして3年のキャリア。その時に客船内でセラピストをする仕事の存在を知る。どうしてもやりたくて自力で探しに探し、何とか辿り着き、英会話学校で語学をマスターして、思いを実現した。蓮見さんは、美容師として8年の実績があり、英会話学校(ともにThe English Village)で豪華客船内での美容師の仕事があることを聞き「自分の仕事が好きだし、旅が好きなので、うってつけでした」といまの仕事を選択した。

働きながら世界を巡る“ザ・グローバル”

豪華客船上が職場になる――これは、当然だが、職場が毎日海上を移動することを意味する。おまけに行き先は世界中。つまり、職場は「全世界」ということだ。ある時はアジア、ある時はヨーローパ…まさに“グローバル”な働き方といえる。通常の会社員には想像もできないその感覚は、どんなものなのか…。

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「はじめは不思議な感覚でした。庶民なので(笑)」という蓮見さんのファーストインプレッションが、象徴的といえるだろう。乗客にはセレブが多く、船内はまさに豪華ホテル。そこへ通いでなく、24時間寝食もしながら、最大で9ヶ月間、船内にほぼ缶詰めで働き続けるのだから、通常の働き方とは別次元の感覚になるのも無理はない。

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<世界中を巡れる魅力>。<長期間母国を離れる寂しさ>。相反するこの2つをどう捉えるかで、ここでの仕事への向き合い方は大きく変わる。そのせいか、2人の友人の間でも「うらやましい派」、「絶対イヤ派」に分かれるという。確かに、長ければ9か月、ほぼ“完全隔離”になることを考えれば、躊躇する人がいてもおかしくはない。もっとも、社会人として成長できる、という意味では豪華客船ほど、最高レベルの職場はない。

成長するための全てが揃う空間

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豪華絢爛の船内は多くのセレブでにぎわう

理由は簡単だ。最上ランクのレジャーやリラクゼーションを提供する船内には、それを求め、上級の客が乗り込んでくる。それを迎え入れるスタッフも最上ランクの教育を受け、個々がプロフェッショナルとして、プライドを持ち、その期待に応える。しかも、スタッフ、乗客は世界中から集まっている。つまり、最高クラスのサービス、技術、そして語学も含めた異文化の吸収…と世界に通じるプロフェッショナルとして成長するには最上級の環境が、豪華客船内には揃っているのだ。

「とにかく流れる時間の密度が濃いですね」と2人は船内での時間感覚について、口を揃える。客船は、時速41キロでゆったり世界を巡る。それに反比例するように、そこで働くクルーにとっては、猛烈に価値ある濃密な時間が猛スピードで流れていく。母国のオフィスでルーティンワークをしながら、親しい同僚とまったりと働き、過ぎ行く時間とは間違いなく次元が違う。

自然と身に着く逞しさとプロ意識

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地上の比でない濃密な時間を過ごし、日々成長する2人

「お金を稼ぐ力を磨きたいですね。ここではいかに自分を売り込むかも重要な要素。私が一番未熟な部分でもあるので。周りには、マネージャーをはじめ、本当に素晴らしいプロフェッショナルがたくさんいるので、トコトン吸収したいです」と波木井さん。マッサージセラピストとしてのキャリアこそ3年あるが、実は、この仕事につくまで海外旅行経験はなかったという。それが、いまや、逞しいほどにプロ意識に溢れる。

濃密なクルーズを終えると、待っているのは3か月から半年のロングバケーションだ。この間にしっかりとリフレッシュし、その後も続けるかを決断する。あくまで本人の意志次第だが、多くは再び船に乗り込む選択をするという。それだけ豪華客船の上には、魅力とやりがいが詰まっているということだ。蓮見さん、波木井さんも迷わず「もちろん働き続けます」と明言した。

豪華客船上で働くことの最大の魅力とは

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船上勤務歴12年の頼もしいフィリピン人のマネージャー(左から3人目)のもと、世界から集うクルーと交流しながら、グローバルな日々を過ごす

働きながら世界を巡ることをベースに、スキルアップのための最上の環境が整う。それが、豪華客船上で働くことの最大の魅力といえる。加えて2人が口を揃えるのが人脈の構築だ。スタッフ、乗客ともに上質な人たちとの船内での出会いは、そのままかけがいのない人脈となる。乗船後の長期休暇には、多くのクルーが、船上で出会った人との再会を楽しむために世界を回るというから、いかにそれらの出会いが価値あるものかが分かる。

世の中には、「やりたいことが見つからない」、「仕事がつまらない」…。そんな思いで日々を過ごしている人も少なくない。その理由はいろいろあるのかもしれない。だが、どんな理由であれ、日本を飛び出し、世界の大海原の上で働いてみれば、全てがちっぽけに思えるハズだ。客船内でのキャリアがまだ浅い2人をみているだけでも、それは直感で分かる。職場が世界だと、人間のスケールもそのままグローバルレベルに成長する--。「世界」を職場にする最大の魅力は、実はそこにあるのかもしれない。


<どうすれば豪華客船で働けるのか>

多様な国籍のプロフェッショナルが揃う船内

多様な国籍のプロフェッショナルが揃う船内

2人が所属するのは、スタイナーレジャー(株)(http://www.theonboardspa.com/)というイギリスの会社。世界最大6スターのスパ&フィットネスを経営する会社で、世界を旅する160隻以上の豪華客船と提携する。従って、ここで採用され、各客船へ派遣されることになる。セラピスト以外にもフィットネスインストラクター、シェフ、カメラマンなど幅広い職種が募集されている。英語は必須だが、セラピストの場合はそれ以上に技術力が重視されるという。日本では(株)The English Village(東京都墨田区、代表取締役:ピアソン美奈http://www.englishvillage.gr.jp/work/)が窓口となっており、2人も同社との出会いが夢の実現につながったと口を揃えた。同社は、語学だけでなく、海外で働くサポートも行っているのが強みで、特に英国を拠点に働く夢があるなら、ここを経由するのが近道といえる。


◇ダイアモンドプリンセス

dp9今回、2人が乗船する「ダイアモンドプリンセス」は日本製。三菱重工が造船した。所有・運航は、英の船舶会社P&O。客室は1337室で、その内の72%にあたる960室がオーシャンビュー。748室には専用バルコニーを具備する。レストラン、スパ、展望浴場、寿司バーなどがある。水面上からの高さは54mで、船内にはエレベーターもある。まさに海に浮かぶ豪華ホテルだ。

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