働き方

コモディティ化

【コモディティ化】

競合する商品間の差別化特性が消失し、価格や買いやすさだけがその選択理由となること。コモデッィティ化が進んだ商品は、利益を上げることが困難となり、体力がなければ市場撤退を余儀なくされる。液晶テレビやスマートフォンは、コモディティ化により、日本メーカーが大きな打撃を受けた。

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そもそもコモディティ化はなぜ起こるのか。本来、各メーカーはそれぞれ、独自技術によって、オリジナル商品を市場に投入する。それは品質であったり、機能であったり、その特性はさまざまだ。ブランド力がそうである場合もある。

ところが、技術が一定のレベルに達すると、差別化は困難になる。そうなると自ずと競争は低価格化へとシフトする。優位性があるハズのブランド力は、高額という障壁にさえなる。そして、低価格化の波に飲み込まれる。それは、ブランド力が消失する瞬間でもある。

スマホや液晶が、あっという間にコモディティ化したのは、技術自体がマネのしやすコモディティなものだったからともいえる。ところが、競合を軽視し、ブランド力を過信するなどの要因が重なり、対応が後手後手に回り、あっという間に新興企業に後塵を拝することになってしまった…。

こうしたことは、部品や商品についていわれるのが一般的だったが、昨今は、人材にもいわれるようになってきた。誰でもできる仕事がまさにコモディティな仕事。企業が、そうした業務へあてがう人材に高待遇を用意することはない。それが不満なら、別の人材へスイッチすればいいだけだからだ。

かつては、簡易な事務作業がそれにあてはまっていたが、昨今は、その範囲が急速に拡大している。翻訳やライティング、会計など、高待遇ともいわれた職種にまでコモディティ化が広がっている。人工知能の台頭が、大きな要因だ。今後もその傾向が強まることは避けられず、人の仕事が機械に代替されるのでは、という不安も現実味を帯びている…。

人材のコモディティ化への対処法は明確だ。そもそも差別化特性が消失することが原因なのだから、さらならる差別化特性を生み出すことが、その回避策となる。より早く、より正確にということも単純作業においては立派な差別化だ。人工知能に対しては、より人間らしい部分、創造力や感情に由来する部分を磨き上げることが、ライバル人材との差異を生み出すことになる。

大事なことは、新たな技術に脅威を感じるのではなく、その中でどうすれば差別化ができるのかを常に考えることだ。そのためには、常に最新のテクノロジーの動向に注意を払い、その上で、自身の特性を知り、その強みを磨き上げる努力を怠らないことが重要となる。コモディティ化は、進化の副産物と言い換えることもできる。進化に対し、自らも進化する、あるいは、変化する。それは生物の生存の原理を考えれば、至極当然のことであるはずだ。

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