働き方

裁量労働制

働く時間を決められる?裁量労働制とは

実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ労使で決めた時間を働いたとみなす制度。業務の遂行方法が大幅に労働者に委ねられているのが特徴である。深夜・休日労働を除いて割増賃金は発生しない。導入には労使合意が必要で、労働基準監督署に届け出る。
適用業種は限定され、「専門業務型」が研究開発や取材・編集、ソフト開発など19種類の業務、「企画業務型」は事務系の企画・調査などが対象。専門業務型は1988年、企画業務型は、2000年に導入された。この2種類を対象者に応じて導入している。
これらは主に業務の遂行方法を従業員に任せる事によってより一層能力を活かすことができたり、成果を発揮できたりすることのできる職業に適用されることが多い。
上記2種類の他に「事業場外労働」という制度がある。これは外回りの営業職のように、事業場外で働いていて労働時間を具体的に計算することができない業務に適用される。
これも先ほどと同様、実施の際は労働基準法に沿った手続きが必須である。

裁量労働制は労働時間計算を実労働時間ではなくあらかじめ決められた時間労働したと見なし時間によって行う制度だが、従業員に不利益になる可能性もあるため、どんな職種にも適用できるわけではない。
具体的な対象者として編集者や弁護士、研究開発その他11種類の専門的業務に限定されているのが特徴である。

裁量労働制と時間外労働の関係性

裁量労働制を導入することで、「残業手当を支払う必要はない」または「深夜・休日労働も支払う必要はない」などと勘違いされことが多いが、法定労働時間を超えた場合や深夜・休日労働などの場合も支払う必要がある。
労使協定はあくまでも会社側と従業員側との協定であり、時間外労働や休日・深夜等の業務は労基法第4章の法定労働時間及び労働時時間の算定が適用されるため支払いが義務付けられている。
裁量労働制は、そもそも労基法の法定労働時間との関わりが根本にあるため、法定労働時間である1週間に40時間・1日に8時間を超えた場合、時間外手当が発生する。
つまり1日9時間と協定すればそれ以上の労働をした場合もそれ以下の場合も一律9時間の労働をしたと見なし、さらに労基法の法定労働時間8時間を超えた分の1時間分は時間外手当が発生することとなる。

裁量労働制を導入する際に気を付けたい6つのこと

1.対象業務を慎重に検討する

上司や経営者、管理者の具体的な指揮命令を受けずに、時間配分などの自己決定ができる業務であるかどうかの見極めが重要である。

2.見なし時間の検討

従業員の実際の労働時間に関係なく、労使協定で定めた時間だけ働いたものとすると規定されているため、1日のみなし労働時間を9時間と定めた場合、労働法定時間の8時間を超える1時間分について時間外手当を支払うことになる。見なし労働時間を何時間にするかによって従業員の収入が決まるため、決定の際は充分な検討が必要である。

3.仕事量の分担

見なし労働時間が同じ従業員の間で分配される仕事量に差があっては不公平になる。職場内の仕事量の配分に気を付け、仕事量のばらつきを極力抑えることが必要である。

4.管理者の育成

従業員を公平に評価し、的確な判断を下すには管理者の育成が不可欠となってくる。
時間の管理を本人の裁量に任せる以上、業務の進捗度を管理することが重要となるからだ。
従業員ごとの目標設定を認識しつつフォローしたり、アドバイスを与えたりして進捗度を管理する。実際にしっかり機能しているかなどの管理者や上司の能力評価と育成の重要だ。

5. 成果を認識するためのシステム作り

従業員に対する評価対象となるのは主に仕事の成果が中心となる。そこで仕事の成果を正確に把握し、評価できるシステムが不可欠となり、評価と報酬の仕組みが対応しているか、賃金制度として整備されているかが重要視されてくる。

6.休日・深夜の勤務の禁止

人がいないほうが仕事に集中できるといった理由で休日や深夜に仕事をしたいと考える人がいるが休日勤務手当や深夜勤務手当を支払う必要があるため、収入に差が出て不公平になってしまう。これを防ぐためにあらかじめ、休日出勤や深夜出勤は禁止としておくのが良いと考えられる。

 

現代社会では裁量労働制の導入に向けて検討中の企業も多い。導入の際には、自社の状況を的確に把握し、従業員の評価制度・管理システムの見直しや、不公平のない管理者・上司の教育の徹底を行っていく必要がある。
仕事の効率化と生産性の向上をいかに結び付け、従業員のモチベーション向上に繋げることができるかがさらに重要となるだろう。

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