働き方

パラサイト社員

パラサイト社員とは

パラサイト(Parasit)とは、寄生、または寄生虫のこと。
寄生虫とは、人や動物の体にとりついて皮膚や体内から食物をせしめる生物のことを指す。
大抵の寄生虫は「宿主」がなければ生きていけず、病原菌を持った有害な種類もいる。
会社という「宿主」に寄生し、組織にしがみついて甘い汁を吸う。なかには組織に悪影響を及ぼすものまでいる。
それがパラサイト社員だ。

「パラサイト」はどこから来た?

パラサイト社員の特徴

会社にいても仕事がない「社内ニート」でも、仕事一筋の「モーレツ社員」でもない。
日々の仕事を淡々とこなす彼らは、業務態度に不備があるわけではないので、とかく責められる理由はない。
だが、彼らからは成長や献身といった「気概」が感じられず、組織に属していながら「その日暮らし」のような雰囲気が漂っている。

当人からしてみると

自覚症状はあるが、不景気を考えると転職は現実的ではない。
かといって会社に迷惑をかけたわけではないし、給料も貰えるので、このまま“なあなあ”で続けていけばいいやといった具合である。

会社としては、組織の成長に貢献してくれる、やる気のある人物が欲しい。
社員としては、やる気は「生活の安定」や「自分」ありきと考えている。
「ワークライフバランス」という言葉が代表するように、生活を仕事と同等に、あるいはそれ以上に重要視する風潮が、近年盛んになっている。
会社の意向と社員の意向、この温度差がパラサイト的思考を生んだと言える。

働く意味を模索する人々

書店に行けば、自己啓発やセルフマネージメントの本を多く目にするだろう。
そういった著書が流行り始めた背景には、世の中の働き方が目まぐるしく変化しているという紛れもない事実が存在している。

「頑張れば報われる時代」が終わり、生活を顧みず仕事にその身をささげる「モーレツ」の価値観は過去のものとなった。
求められるのは「生活の安定」を前提としたワークスタイルであり、仕事へのフルコミットは非効率であるというロジックが跳梁する。
結果として「仕事」よりも「自分」を優先する人が増えたというわけだ。

仕事のなかに「自分」が見つからず、組織人である以上ニート(仕事をしないこと)が許されない彼らは、
人として「働く意味」を問われはじめたのだ。

パラサイト社員という言葉、より広義には「社畜」というものがある。
「会社に飼いならされた人間」を意味する「社畜」の定義はきわめて曖昧だ。
仕事だけが生きがいの人間と私生活を最優先に考える人間、就労意欲を失ったひと、
あるいは、真面目に働いて社会的に成功した者を揶揄して使うこともある。

いずれにせよ、「社畜」の背景にあるのは「働く意味」を模索する者たちの姿だろう。

働く意味とは何なのか?
人生の意味を問うに等しい禅問答ではないのか?

目指すは「シンバイオシス」

自然界には「共生」(Symbiosis:シンバイオシス)という言葉がある。

代表的な例では、ピクサーの映画で有名になったカクレクマノミは、イソギンチャクのなかに巣を作り、イソギンチャクが持つ毒によって住み家を守っている。イソギンチャクの方は、カクレクマノミが触手の合間を泳ぎ回ることで水を循環させたり、カクレクマノミによって外敵から身を守ったりしているとされる。

このように、「持ちつ持たれつ」の関係が形成されるのが「共生」の原理である。

考えてみれば、元来社員は会社を「宿主」とするものであり、パラサイトという関係性はあって然るべきかもしれない。
「寄生」を「共生」に変えるためには、会社と社員が “win-win” の関係を築くことが重要であり、一方的な奉仕(これを片利共生と言う)をなくす努力が必要とされる。

組織やあなた自身を振り返ったとき、そこにあるのは「パラサイト」?それとも「シンバイオシス」?
これを機に考えてみてほしい。

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