インタビュー

やりがいの追求とビジネスとして成立させる分岐点にあるもの

投稿日:2016年3月30日 / by 瓦版編集部

起業→フリーランス→起業のワケ

イベントプロデューサー
フジモトタイチ氏 <後編>

メディアに大々的に取り上げられ、大企業とのタイアップも実現。まさに大成功となった、「早朝フェス」と「スライドザシティ」。2大イベントの成功で、ロンドン帰国後のタイチ氏のイベントプロデューサーとしての価値は跳ね上がる。ところが、その懐が潤うことはなかった…。イベントの成功とビジネスとしての成功の狭間で苦悩するタイチ氏。悩んだ末に下したのは、フリーランスを辞め、会社を設立するという決断だ。

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イベント大成功、出もビジネスとしては失敗の現実

抜群の注目度と集客。それでも、ビジネスとしては十分な結果は残せなかった。お金が入ったものの、同じくらい出ていってしまったのが原因だ。そこで、タイチ氏は、この悩ましい状況をSNSに公開。弱点である経営者目線を補うべく、「社長募集」というカタチで不特定多数に呼びかける。すると、先輩、友人などから多くのメッセージが集まる。そして、<気持ちは分かるが、社長を人に任せたらやりたいようにできなくなるかもしれない。思い通りにやりたいなら社長は自分でやった方がいい>という声を噛み締め、決断する。フジモト2度目の会社設立だ。

社名は「(株)がんばれタイチ」。社員はまだいないが、自分を鼓舞するようなネーミングは、この起業にかける決意の表れといえるだろう。「もっとインパクトを残すイベントを創りだしてやる」。フリーランスとして、気ままにやってきたが、社長になれば、そうはいかない。ロンドンでも一度失敗している。ただし、今度は、お金はないが、気持ちには少し余裕がある。普通の会社にいては学べない貴重な体験と失敗を、約5年の間に体にしっかりと刻み込んだからだ。

本腰が入った2度目の起業

フリーランス時代は、分からないことだらけのせいもあったが、何でも自分でやっていた。それを改め、アウトソーシングを最大限活用する。その延長で、企画を売り、継続的な潮流へ育てる土壌を構築する。苦手な戦略立案やスケージュール通りの進行にも真摯に向き合い、数字もしっかり追う…。単なる企画屋でなく、経営者目線も持ち合わせたビジネス展開。(株)がんばれタイチは、タイチ氏が、これまでの経験を全て注ぎ込む、現時点の集大成といっていい。奇しくも30歳を目前にした2度目の起業は、ある意味、タイチ氏にとって、本当の再スタートといえる。

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裸一貫ならぬパンツ一枚でさっそうと歩くタイチ氏

フジモトタイチのイベント論

「僕は企画において、常に人を驚かせたり、新しいもの生み出すことは意識しています。ただ、そうやってインパクト残してもお金が回らなければ、イベントとしては学園祭と変わらない。そこはプロ意識をもってやっています。その積み重ねで今がある。18歳くらいから、やりたいことをやるにしても30歳までにものにならなければ、やめよう、とは漠然とですが考えていました」と明かすタイチ氏。悲壮感はまるでないが、結果的にモノになる手ごたえを30歳目前にしてつかみ、目の前に開けたイベントプロデューサーとしての道を本格的に突き進むことを決めた。

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とにかく面白いことを全力でやるのがタイチ流だ

行き当たりばったりとは言わない。もがき苦しむでもない。無邪気に遊びほうける。それが一番近いのかもしれない。とにかく、日本の大学を卒業してからのタイチ氏の歩んだ道のりは、安定というレールとはまるで正反対の「規格外」という言葉がしっくりくる。常識に縛られていては確実にドロップアウトしそうな手探りでしか進めない道なき道だった。そこを楽しみながら潜り抜けたからこそ、いまがある。敷かれたレールには目もくれず、自力で社会に居場所を切り拓いたタイチ氏にとって、「働くこと」は、一体どんな意味があるのか。

タイチ氏にとって「働く」とは

「『働くこと』? そんなこと考えたことないですね。やることにお金が発生すれば、それが仕事なんでしょうね。でも、それは人から見て仕事にみえても、僕にとっては遊びなのかもしれないし…。うーん、なんでしょう。飲み会なんかで『仕事なんで』という感じでよく言い訳に使うじゃないですか。その意味では、なにかと都合がいいもの、ってイメージはありますね」。答えにはなっていないが、なぜか納得のいく解答だ。

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荒波に飲み込まれてもそれを楽しみながらスイスイいくのがタイチの生き方

<これは仕事>と思って言い聞かせるように取り組んでいるのが、一般的な社会人とすれば、タイチ氏にとって、仕事、そして、働くことは、<自分らしくいるための一部分>ということなのだろう。わざわざ考えるようなことでもない。やりたいからやる。やりたいことをやり続ける--。ごく自然な欲求が原動力となり、取りかかるまで、だ。このスタンスが、規格外のコースを歩んできたタイチ氏だから辿り着けた産物だとすれば、万人にとって希望は少し薄いが、その仕事との距離感や関係性は、「働く人」と「仕事」の理想に近いといえるのではないだろうか(了)。

前編→ なぜ、理想の「働く」は、手に入れるのが難しいのか


【プロフィール】フジモトタイチ
たいち(株)がんばれタイチ(法人設立準備中)社長。「楽しくチャレンジする」をモットーに、国内外問わずイベントや様々なクリエイティブ分野で活躍するクリエイティブチーム(現在、1人)であり、世界と日本の面白いコトをつなぐ仕事をしている。2013年11月に5年間の英国ロンドン生活を終え帰国。その後、通勤通学前に参加できる平日の早朝フェス「Morning Gloryville Tokyo」や、全米で話題沸騰の街中巨大ウォータースライダー「Slide the City JAPAN」を仕掛けたりと東京を中心に様々な話題のイベントや企画を作り出している。

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