インタビュー

広告制作26年の元リクルート社員が明かすフリーランスを選択した2つの理由

投稿日:2017年1月5日 / by

大ベテランはなぜフリー転身を決断したのか

rancer3 (1)越後屋輝樹さんは、広告制作歴26年。社会人のスタートは、バブル真っ只中で入社したリクルート社。四半世紀に渡るキャリアの中では、写植も経験している大ベテランだ。いまは、PCひとつで広告制作が完遂できる時代。写植という言葉を知らない人の方が多数派だろう。そんな時代からクリエイターとして活躍してきた、確かな腕をもつベテランはなぜ、フリーライターの道を選択したのか…。(powered by THE LANCER編集部)

広告制作の面白さを知ってから26年

大学中退後いくつかのアルバイトを経て、1989年リクルートに契約社員として入社しました。担当した仕事は新卒向け就職情報誌の企業広告制作です。主に営業との二人三脚で、採用課題を持つ企業に対し課題解決のためのプランを提案し、様々な採用広報の企画・制作を行いました。

当時の雑誌広告制作は、PCひとつで何でもできる今とは異なり、まず写植屋さんで版下を作ってもらわなければならなかった時代です。ある意味、今よりも手作り感はあったかもしれませんが、時間と手間がかかりました。

6年間リクルートで制作ディレクターとして勤務した後、高校の先輩である元電通のクリエイターが立ち上げた広告プロダクションに参加。そこでは主にSP広告のプランニングとコピーライティングを担当しました。立ち上げ当初こそ順調に依頼が入ったものの、経営者の放漫経営が原因で資金繰りが悪化、3年でプロダクションは解散となりました。

同じ時期、リクルートではエリア分社化が進み大幅な組織改革が進んでいました。たまたま再会したリクルート時代の上司から、「新会社として立ち上がったばかりのエリアリクルート各社で即戦力としての制作クリエイターを探している。良かったらプロパーとして復帰しないか」と誘われ、再入社することになりました。

入社後はリクルートが発行するHR系メディアほとんどの制作を担当。1999年3月までチーフディレクターとして勤務した後、地元宇都宮に戻りフリーライターとして独立開業しました。

ラクに生きられる道を探した結果がフリーランスだった

フリーの道を選んだ理由は2つあります。ひとつはメリハリのない日常から抜け出したいと思っていたこと。リクルート在籍時、私は中途系求人情報誌・新卒向け求人情報誌ほか、膨大な数の情報誌制作を担当していました。ほぼ毎日何らかの締切りが来るという状態で、月間の超過勤務時間が200時間を超えることもしばしば。休日出勤も多く、たまの休日も疲れたカラダを休めるだけで、趣味や自己啓発に費やすことはできませんでした。
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振り返ると、当時の仕事はクリエイターというより、むしろファクトリーワーカーに近かったかもしれません。効率よく膨大な制作量をこなすことが最優先で、クオリティは二の次になっていた気がします。退職直前の頃には肉体的にも精神的にも限界に近い状態になっていました。

もうひとつの理由は、東京での生活に最後まで馴染めなかったこと。私はきっと、根っからの田舎者なのでしょうね。「都会で暮らすことの息苦しさ」をどうしても払拭することができなかったのです。

クラウドソーシングを活用することで売上の安定化が実現

ランサーズに登録するまで、実は軽貨物運送のFCオーナーとライターの2足の草鞋を履いていました。ある軽貨物運送会社とFC契約を結び、宇都宮にて支店として開業。車両持ち込みのドライバーと業務委託契約を結び、ロイヤリティを頂くというものでした。本部からの仕事をドライバーに流すだけでマージンが入るならライター業務に支障はないだろうと軽く考えていたのです。

しかし、実際に開業してみると慢性的にドライバーが不足。自分が現場に出ることが多くなり、ライター業務に注力できなくなってしまいました。売上の補てんのつもりで始めたFCビジネスが本業を圧迫し、しかもトータルでの収入は減少。そんな時ランサーズを知り、FCビジネスから撤退する決意がつきました。

ランサーズにてライターとしての受注窓口を増やすことで、徐々に毎月の売上の標準化を図るように。現在、仕事の中心はコンサル契約を結んでいる企業への年間採用計画のプランニングですが、年間を通じてずっと仕事が継続するわけではありません。仕事量のバランスを取るためにもランサーズでの受注は欠かせないものとなっていますね。

得意分野のリクルーティング関連、取材記事を中心に提案

ランサーズにはたくさんのライターさんが登録していて、おもしろそうなプロジェクト案件には多くの提案が寄せられます。「このプロジェクトはぜひやってみたい」。そんな案件に出会った時、皆さんはどんな提案を心掛けていますか?

確かにクライアントによっては金額の安さを重要視するでしょう。しかし、私は自分が決めた最低ライン以下の見積りはしません。経験・実績・提案内容をもとに判断してもらい、この人に任せたいと思ってもらえることを心掛けているからです。

特にリクルーティング関連、インタビュー記事の作成に関してはプロとしての実績と自信があります。裏を返せば、コピーのクオリティをわかっているクライアントとしか仕事をしたくないという思いがあるのです。

最後にひとつだけ言わせてもらうなら、クライアント・ランサーの双方がより「クリエイティブの質」にこだわるようになって欲しいと思っています。完成したプロジェクトのクオリティを競うコンテストなどが開催されたらいいですね。

▽フリーランスの情報発信メディア「THE LANCER」より転載


<プロフィール>越後屋輝樹

1989年リクルート入社以来、HR系を中心とした広告制作に関わる。現在、宇都宮市に拠点を置きフリーランスとして活動中。趣味はギター演奏、フットサル、ギャンブルなど。小説執筆も行っており、同人誌に掲載実績あり。典型的な夜型人間で、ライティングはほとんど夜間に行う。生涯ライターとして生きていくことを目標とし、「届けたい人に届くコピーを書くことに全力を尽くす」がモットー。

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