インタビュー

新宿の会社員に元気を与え続ける美女チアの正体

投稿日:2015年9月28日 / by 瓦版編集部

asa2“朝チア”でエールを送り続ける理由

フリーアナウンサー

朝妻久実さん

日本屈指のビジネス街、東京・新宿。通勤のビジネスパーソンがあふれる朝の駅前で、毎週チアダンスでエールを送り続ける美女がいる。朝妻久実さん(31)だ。本業はフリーアナウンサー。活動はあくまで自主的に行っている。他人の心配までしていられないような世知辛い世の中で、5年以上続けられる“朝チア”。送り続けられる陽気なエールは、いまや張り詰めた朝の新宿の空気に心地よい1/fの揺らぎを与えるようになっている。

朝の新宿で躍動するチア部員

通勤の足を急ぐビジネスパーソンが途切れない朝の新宿駅前。立ち止まる何人かが熱い視線を送るその先で躍動するのは、3人の女性。朝妻さん、関谷幸子さん、谷田部真理さんだ。「全日本女子チア部☆」の部員として、揃いの衣装に身を包み、軽快な音楽に乗って、キレのある動きと掛け声でオフィスへ急ぐ会社員へエールを送る。

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エネルギッシュでパワフルなチアダンスは朝の新宿の空気をいいムードに変えている

日本一のオフィス街の入り口の朝には、少々ミスマッチな光景。この場所で行われるようになったのは約6年前。先代部長の斉藤彩さんが1人で始めた。朝妻さんが加入してからは、5年の歳月が流れている。いまは毎週火曜日だが、毎日やっている時期もあった。延べ500回近くは、ここから元気エネルギーが放出されている計算だ。

通勤途中の会社員にエールを送り続ける理由

「学生時代に部活動としてやっていたチアリーディングから学んだチアスピリット(応援精神)が活動を続けている根本にあります。誰かを応援し、その人の頑張っている姿や笑顔が見られるとこちらも必ず元気をもらえます」と朝妻さんは活動を続ける理由を明かす。

P1010585-ANIMATIONダンスを始める前、3人は毎回、「今日ここで私たちを見かけた皆さんが、ちょっとだけ勇気を出せる。そんなエネルギーになりたいと思います!」とあいさつする。そう言ってスタートするチアダンスは、躍動感にあふれ、朝のモヤモヤ気分を一気に吹き飛ばす。まさに体全体でエールが送られていることが実感できるほど、パワフルでエネルギッシュだ。

張り詰めた朝のオフィス外の空気に変化も

演技中には、「頑張ってください!」という大きな声が何度も発せられる。もともとはなかったフレーズだが、朝妻さんが主体になり、新たに追加した。素通りする会社員の中には、その元気な掛け声に思わずにはにかむ人もいる。声に反応し、一瞬立ち止まり、覗き込む中年サラリーマンもいた。朝の通勤時の、ある意味では一番バタバタした時間帯に、突然の目の前に現れる非日常。もう何年も同じ場所で続けられるこの活動は、張り詰めたビジネス街の朝の空気に変化を起こしはじめている。

「自分が始めた5年前とは明らかに変わってきたような気がします。初めは、ただ通りすがる…というより”見ないようにしよう”という目線も多かったような気がします。でも、最近では目があったら笑って下さったり、忙しい中でも手を振って逆にエールをおくってくださったり、という方が増えました。少なからず常連さんもいらっしゃいます」と朝妻さん。見ていないようで、しっかりとみる。というよりも、元気を受け取って、朝妻さんの前向きなエールを各人なりに受け止め、少しづつでも前進しているということなのかもしれない。

就活学生や転職サラリーマンが、ゲン担ぎに見学に来たことも

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演技が終わると常連さんとハイタッチでもエールを送る

就活の学生や転職のサラリーマンが、ゲン担ぎに見学に来たこともあった。90歳を過ぎた常連の老人男性は、「あんたらのダンスをみに行くことが唯一の楽しみ」と散歩コースにいれて見学コースに追加。遅刻すると怒るほど、熱心に応援している。リストラされたという中年女性は、チアを観た後、「私も何かやってみようと思う」と打ち明け、その数日後、靴磨きを始めた…。込み入った会話こそないが、全身を躍動させるダンスや掛け声から、立ち止まる人はもちろん、通り過ぎる人もポジティブなメッセージをしっかりと感じ取っている。

いつも笑顔で元気の秘訣

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いつも笑顔で全身から応援精神あふれる朝妻さん

日本の会社員に元気を与え続けるこの「朝チア」は、あくまで自主的な活動だ。ユニフォームを脱げば、朝妻さんもエールを送られる側と同じ社会人。職業はフリーアナウンサーだ。華やかにみえる仕事だが、フリーランスは実力の世界。決して安定が保証されているわけではない。楽しいばかりでもない。ローカル局での契約を満了し、東京進出を目指したが、うまくいかない失意の時期もあった。辛いときや悲しいときもあるに違いない…。

「ネガティブなことやストレスは溜めこまず、発散するので溜まりません!。心許せる友達と思い切り飲んでしゃべって、泣いて、吐き出します(笑)。そして、苦しいときは『いまが成長の時』の思いで、尊敬できる人のアドバイスをもらいながら乗り越えます」と朝妻さんは、下を向いて歩く会社員が恥ずかしくなるような豪快な解消法を明かし、余計なお世話をカラッと吹き飛ばした。

応援精神で、ある願望も見事に実現

出身地、旭川の観光大使としても活躍する朝妻さん

出身地、旭川の観光大使としても活躍する朝妻さん

この超ポジティブ思考と朝チアで鍛えられた突撃スピリットで、朝妻さんはある願望も叶えている。旭川出身の朝妻さんは、郷土愛から2年ほど前、勝手に「旭川観光大使就任」を宣言。募集もしておらず、もちろん非公認だ。だが、ふなっしーばりに構うことなく言い続け、実際に担当するラジオ番組などで情報発信を続けた。その結果、なんとその思いが「本丸」に到達。その本気度が伝わり、「非」が取れ、晴れて旭川観光大使に認められた。朝チア同様、見返りを求めない真摯な行動で、閉ざされていた扉を見事にこじ開けたのだ。

朝妻さんはいう。「あんな場所でチアダンスを躍るなんて恥ずかしいと思う人が多いと思います。でも、一歩踏み出してしまえば、なんてことはないんです。これはホントです。だから、私たちの活動を見て、ひとりでも多くの人が一歩踏み出す勇気をもってくれたらいいな、と思っています」。何となくモヤモヤして踏み出せない人は、ぜひ一度、火曜日の朝、新宿駅西口へ足を運んでみるといい。グイグイと注がれる圧巻のエールに、演技が終わる8分後にはクヨクヨしている自分が恥ずかしくなり、自然と前を向いてオフィスへ向かえるハズだ。


【プロフィール】
北海道旭川市出身。元山陰中央テレビ契約アナウンサー。2009年より東京でフリーアナウンサーとして活動。仕事で悩んだことをキッカケに、新宿駅西口路上でサラリーマンを応援する女性に出会う。2010年「全日本女子チア部☆」として朝チア活動に参加。以来5年間応援活動を続け、先代の部長の引退から一人チアの時期も続いたが今年5月には新しい仲間が加わる。朝チアを続けることで、「人に元気を送ることは、自分も元気になる」ことを知り、自身の様々な壁を乗り越えていくことで、人生の歯車が回りだす。現在はSOプロモーションに所属し、テレビやラジオのMCやリポーター、イベントの司会にと忙しい毎日を送る。2014年からは、故郷である旭川の観光大使も務める。好きな言葉は「できない理由を探すのではなく、できる方法を見つける」。


<全日本女子チア部☆>
1S5A8300 (2)小2009年発足。初代部長の斉藤彩さんが会社員に勇気を与えられればとの思いを込め、1人で始めた。その翌年に朝妻さんが加入し、2人になる。以降2015年まで、2人で朝の新宿西口で通勤途中の会社員にエールを送り続ける。斉藤さんは2015年1月、結婚を機に離脱。朝妻さんによる一人朝チアとなるが、2015年5月には谷田部さん、関谷さんが加入し、チームは3人に増加。現在に至る。部員の募集を行っているわけではないが、人のつながりで自然に縁ができるという。活動について朝妻さんは「チアする気持ちがある限り続けていきたい。この“朝チア文化”は続いていったらいいと思っています」と話す。

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