インタビュー

デキる会社員が埋もれてしまわないための心構えとは

投稿日:2015年9月9日 / by 瓦版編集部

会社に頼れない会社員の処方箋

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経営・人事・ITコンサルタント
安達裕哉氏

終身雇用制が崩壊したいま、会社員が生き残るのに必要なスキルはどんなものなのか…。多くの人が、不満やモヤモヤを抱える時代に、その答えは複雑化し、どんどん見えづらくなっている。確実にいえることは、会社員としてトップを目指せるスキルが陳腐化することはない、ということだ。『「仕事ができるやつ」になる最短の道』(日本実業出版社)の著者で経営・人事・ITコンサルタントの安達裕哉氏に、激動の時代を生き抜くヒントを聞いた。

様変わりした忠誠心の意味

ゴマをすり、上司のいうことに無条件で従う、休日出社も厭わず…いわゆる右肩上がりの時代にはこうした行為が評価や昇進する上での立派な“スキル”だった。だが、いまでは、そうしたことをしてもリストラされ、最悪は不祥事に加担することにもなりかねない。忠誠心が悪用され、企業は終身雇用を反故にして人を切り、破たんしてしまうことさえ珍しくなくなっている。

dekibus2「この本では、組織において“仕事ができるやつ”になるためのヒントを、コンサルティング会社在籍時に 1000社以上の企業を訪問し、そこで働く8000人以上の働く人を見てきた経験を通し、示しています。その意味では、内容は会社人としてのスキルに関するものです。しかし、昨今の会社を取り巻く状況の中で発生するビジネスパーソンの不安や疑問、モヤモヤを晴らすことにも役立つのではないかと思います。なぜなら、モヤモヤは、自信がないことに起因するからです。自信をつけるには何かをやり遂げた経験と努力が必要。この本には、会社員が取り組むべきテーマを凝縮したつもりです」と安達氏は、同書の正しい“使い方”を指南する。

ポスト正社員時代の処方箋とは

確かに、忠誠を尽くしてさえいれば、会社が待遇を保証してくれる時代が終わった。これまでの成功法則は無意味になった。ではどうすればいいのか…。その明確なノウハウはない。努力するにも、なにをよりどころにすべきなのかさえはっきりしない。同書で示される数々の事例は、“仕事ができるやつ”というライトな言葉とは裏腹に、いつの時代も錆びつかない、ビジネスパーソンとして信頼され得る本質に迫るものだ。知っているか知らないかで、目の前の業務、商談などの成否にも大きな影響をもたらしそうな内容ばかりだ。

dekibus3「仕事ができるかどうかを決めるのは、本人ではなく、周りの人間です。いわゆるノウハウ本に書いてあることをそのまま実践しても“できるやつ”になるとは限りません。だからこそ、この本ではやり方というよりも、ごく一般的な事例を紹介することで、実際にどういう場面で『仕事ができる、できない』が判断されているかを示しました。どう判断されているかが分かることで、どのように行動すべきかわかります。また、自分自身がどこに注意すればいいのかが分かるからです」と安達氏。それだけに、実際に現場経験のある人なら、その内容は乾いたスポンジに水が染み込むよう、スーッと頭に入ってくるハズだ。

路頭迷わないための意識の持ち方

ただし、この本は前述のように、あくまで組織における“仕事ができるやつ”になる参考書に過ぎない。リストラが当たり前となった昨今では、この本の内容をマスターしても、路頭に迷わないとは言い切れない。では、どうすればいいのか…。安達氏が指南するのが、会社員としての心構えだ。それはズバリ、「フリーランスの意識をもった会社員」になることだ。

「例えば本に書いてあることを完全に身に着け、実践したとしても、そのことが周囲や上の人間に知られなければ評価はされません。自分より成果を出していない人が評価されることだってあり得るでしょう。そうならないためには自分から発信する必要があります。自分の価値を認識し、どう会社の利益に貢献できるのかをキチンと考えることが重要です。こうしたことはつまり、責任をもってフリーランスとして働く意識そのものなのです。これからの時代は、会社に所属はしていても独立したフリーランスのような意識を持っておくことが重要になってくるでしょう」と安達氏は、これからの時代を生き延びる会社員のスタンスを示す。

出来る会社員にプラスアルファ必要なスキルとは

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これからの時代はできるプラスαが重要になると指摘する安達氏

その上で、安達氏は、そのために重要なスキルにひとつとして、文章力を挙げる。「自分の情報をコストをかけず広く発信するにはネットが最適です。ネットにおいては、検索はテキスト検索が主流ですので文章力は、発信力を高める意味でも重要なスキルとなります。動画も悪くないですが、時間のある人しか見ませんからね」(安達氏)。さらに、安達氏は「稼ぐ練習」の場としての副業への積極チャレンジも勧める。

企業の寿命が縮まり、給与は上がらず、終身雇用もおぼつかない…。会社員にとって、不安な要素ばかりが増幅する昨今だが、それでもまずは“仕事ができるやつ”であることは、最低限クリアしておくべきハードルといえる。そのベースさえしっかりしていれば、少なくとも路頭に迷うことはないからだ。その意味では、同書のタイトルのように「最短」で“仕事ができるやつ”になり、早い段階で会社員として自信をつけ、メンタル面では会社依存から脱却し、会社と対等の関係になることが、会社員受難の時代をブレずに逞しく生き抜く極意といえそうだ。


◇プロフィール
経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。1975年東京都生まれ。筑波大学環境科学研究科修了。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間経営コンサルティングに従事。在職中、社内ベンチャーであるトーマツイノベーション株式会社の立ち上げに参画。東京支社長、大阪支社長を歴任。1000社以上の大企業、中小企業にIT・人事のアドバイザリーサービスを提供し、8000人以上のビジネスパーソンに会う。また、セミナーは、のべ500回以上行う。その後、起業。自身の運営するブログBooks&Appsは読者100万人、月間PV数150万にのぼる


◇「仕事ができるやつ」になる最短の道
dekibusbいわゆるビジネス本のようなノウハウ紹介でなく、著者がコンサルティング会社在籍中に見てきたことを紹介するスタイルで、「できるやつ」のエキスを公開している。今日からできること、1週間、1か月、1年、3年、そして一生とかけるべき時間別に章が分かれており、境遇やフェーズに合わせて読めるのもいい。読みやすく、腹落ちしやすく、悩めるビジネスパーソンを無理なく上を向かせてくれる一冊だ。

 

 

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