インタビュー

世界を変える父親のための働き方ビジョンとは

投稿日:2014年2月6日 / by

NPO法人 Fathering Japan 徳倉氏 インタビュー

fj-new-fatherファザーリング、なかなか聞きなれない言葉だが、直訳すれば父親になっている状態を表す言葉である。それをファザーリングジャパンでは「父親であることを楽しもう」と記している。父親が笑っている社会をミッションとしたファザーリングジャパンが描くこれからの働き方について、事務局長である徳倉氏に伺った。


家庭内でのコミュニケーションを第一に考える

―まず、ファザーリングジャパン様の活動についてお話いただければと思います。

僕らは家族の問題を大きな問題と捉えているので、まず家族内でのコミュニケーションを一番に考えています。

これからは、男性陣もある程度家庭に踏み込んで、家事や育児をシェアする、分担するというのが大事です。例えば夫婦ともに働いていて家庭の経済的負担を半々で担っているのであれば、父親も家事・育児時間を負担するのが当然になるはずです。そんな社会を作り上げていきたいんです。

夫婦二人のキャリアや仕事において、大事なポイントってそれぞれありますし、ともに忙しいときもあります。それじゃそれをどのようにして乗り切るかというところに、家族でのコミュニケーション、信頼関係が必要じゃないかと思います。

必要なのは新しい働き方

そのために僕らは新しい働き方というのをいろんな場面で提唱しています。その一つが、男性がこれまでなかなか取れなかった育児休暇ですね。

今、徐々に女性も一生懸命働いていきましょうという社会になっているのに、共働き世帯で女性が家事育児を担う率というのが80%を超えています。このままでは女性はこれ以上社会に出られないんです。

「笑っている父親が社会を変える」

―ファザーリングジャパン様が掲げるビジョンはどのようなものですか?

我々が掲げるビジョンというか、我々のミッションというのは、「笑っている父親が社会を変える」というのが一つの大きなミッションです。父親がなかなか笑えないような社会環境であれば、パートナーである妻も笑えないですし、子供も笑えない。

これは我々が大々的に掲げているミッションです。父親が変われば家庭が変わり、地域が変わり、企業が変わり、社会が変わると言うロジックです。その根底にある父親の意識を変えていくところが重要になっていきます。

父親の意識を変えないと、結果的には所属している会社や組織が変わらず、日本の組織が変わらない。社会の最小単位である家庭の中の父親に、変化を促すよう働きかけています。

まずは選択肢を与えてあげる

父親の意識を変えるといっても、そこは選択肢を与えるだけなので、父親だけが働き母親は専業主婦世帯というのもありですし、育児や家事について父親は全然関わらなくても、家族の中のコミュニケーションで納得がいっていればOKだと思います。

何かをすべきと強制するわけではなく、いろいろなロールモデルを提唱していきたいんです。これまでの日本は、男性が外に出て働き、女性が家庭に入って育児・家事をするというのが当たり前でした。その当たり前が通用しなくなってきています。だからこそ、これまでと違ったロールモデルを出し続け、見せていくのがすごく大事なんです。

―選択の幅を広げるということですね。

そうですね。まず世の中に、選択肢があるというのを知らせなければいけないわけです。そのために活動をしています。

10年後の社会では、今問題視されていることは全てなくなっている

―今後減り続けていく国内の労働力について、ファザーリングジャパン様ではどのような取り組みや考え方で向き合っていらっしゃいますか?

働き方とか、ワークライフバランスの問題とか、子育て、介護の問題というのは、あと10年経ったら、なくなっていると思います。それにもしかすると僕らの団体も役目を終えてなくなっているかもしれません(笑)。それは10年後、それらの問題に対応している世の中になっていないと社会が成り立たないかと考えているからです。

結婚して出産をした女性が時短で働くのはもう当たり前ですよね。6時間しか働けない人もいれば、4時間しか働けない人もいる。男性でも介護をしていて、平日は何とかなるけど土日の出勤が厳しい人もいるかもしれない。そういう人がきちんと働ける場所は10年後15年後には確保できていると思います。

イクメンは死語になって欲しい

―ファザーリングジャパン様が考える父親と育児の関係について教えていただけますか?

イクメンという言葉についていえば、死語になればいいなと思っています。それが当然になれば、そんな表現は必要ないですよね。男女関係なく子供を育てることについて取り組める社会になれば、もっと子育てもしやすくなります。
今の段階ではまだ根付いていませんが、政策も変わっていくでしょうから、新しい社会を作り上げるための旗印として「イクメン」という言葉は上手に広めていきたいなと思います。

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地域で活躍する「域メン」

僕らはイクメンの団体ではなくて、「域メン」の団体です。地域の域ですね。地域で活躍する父親、男性たちを増やしたいと思っています。仕事というものから切り離すと、今の父親は居場所が少ない人が多いのではないでしょうか?

家庭も含めですけど、仕事上の付き合い以外の友人がいないとか、家庭でも居場所がないとおっしゃる方もおられます。だからこそ、家族のコミュニケーションや子育てを通して、自分の家庭から飛び出して地域で活躍できる父親を増やしたいと思っています。

1つの選択肢として、地域の子供たちへのボランティアや、社会貢献活動を勧めています。パラレルキャリアなんて言い方もしますけど、仕事以外の活動をしていくような父親をたくさん増やしたいんです。そうすれば日本が明るくなるかなと、ちょっと話が大きいですが(笑)

明るい日本は父親が引っ張っていく

―日本を明るくするために行っていることはありますか?

子供という目線に立って、チルドレンファースト・ファミリーファーストといった、家庭を第一の考え方について、答えを出せるようなフォローをしています。

日本の社会は、選択肢があるようでない、選択しているようで選択させられているということに気付いて貰いたい。失敗しようが成功しようが、まず自分たちの家族でやっていくといった、能動的な父親の力があればいいですね。

―新しい視点へのガイドライン的な役割ですね

ええ、世の中にメニューを提示できればと思っています。

―それを選べる人が増えればいいと

そうですね。「こんなこともできるんだ」「あんなこともできるんだ」「こんな父親がいるんだ」「こんな家族のあり方があるんだ」というのを可視化していくことが、我々の役目かなと思っています。


【組織概要】
団体名:特定非営利活動法人(NPO法人)
Fathering Japan(ファザーリング・ジャパン)
所在地 :〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目21番地
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設立:団体発足 設立総会開催  2006年11月27日
代表理事:吉田大樹
URL:http://www.fathering.jp/

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