インタビュー

女性が“天職”に近づくための心構えとは

投稿日:2014年10月2日 / by 瓦版編集部

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女性ならではの天職への道

なでしこベスト就活委員会主宰

伊藤淳子氏

「天職」。その言葉には、自分らしく働けるベストの仕事のような響きが宿る。ビジネスパーソンにとっては、男女問わず、巡り合いたい「仕事」といえるだろう。社会的に女性活用の風潮が強まる中、あえて女性に絞った“天職”ガイド「天職が見つかる 女のお仕事バイブル」(PHP研究所)がさきごろ出版された。著者である、なでしこベスト就活委員会主宰の伊藤淳子氏に、そのヒントをうかがった。

人によってさまざまな天職のカタチ

プラスのオーラがプンプンと漂う「天職」という言葉。好きなことを仕事にできて日々充実しているーー。そんなイメージが強いからだろう。だが、「好き」を仕事にしても必ずしもハッピーになれるとは限らない。逆に周りにおされて何となく始めた仕事が天職になることもある。「天から授かった職業」という意味もあるようだが、死ぬまで気づかないこともあり得るのかもしれない…。

「天職というのはやはり、その人一人一人が輝いて働ける職に就いていることだと思います。ただ、出版にあたりいろいろな職業の方にヒアリングしながら感じたのは、必ずしも一つの仕事についてそれで天職ということではないということです。ダブルワーク、トリプルワークをする中で、それぞれをうまくやりくりし、自分のポジションにフィットした状態でいれることも“天職”ということが分かってきました」と伊藤氏は説明する。

例えば、ダブルワークをしている人には、ほとんど収入にならない仕事をしている人もいるという。生活費はもう一つの仕事の収入からねん出する。ボランティアのように行う仕事の方は、その人にとっての心の充足を満たすもの。しっかりとサラリーをもらう方は、生活のため、と割り切っている。そうやって、複数の仕事を使い分け、うまく収支バランスをとりながら、心の満足を実現することで、「天職」という言葉の状態を確保する。

女性ならではの“天職”とは

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女性ならではの“天職”のカタチがあるという伊藤氏

「男女平等とは言ってもやはり、女性にはいろいろな負担があります。妊娠、出産、子育て…。男性の理解が深まってきたとはいっても、女性はいろいろな役割を担う宿命にあります。でもそれは、マルチに仕事をこなせるスキルがあるということでもあり、そういうスイッチをたくさん持っていることでもあります。だから、女性の場合、一つの職業だけにとらわれて“天職”というワケでもないという側面があるのだと思います」(伊藤氏)。

著書では、美容・健康、食関連、スーパーのレジ係、ネイリスト、出版・マスコミ、介護など、13分野233の職種を紹介している。天職探しのボリュームとして十分な内容だが、実際、女性にとって“天職”になりやすい仕事というのはあるのだろうか。

「もともとは、女性ならではの仕事をピックアップし、掲載するつもりだったのですが、男性でもできる仕事が多いんですね。とはいえ、女性に向きそうな仕事を選択はしています。その上でいえば、美容が好きな人はエステティシャン、人助けに興味があるなら介護、マスコミに興味があれば出版…というのはもちろん、各人にとって天職となりうるのかもしれません。ただ、好きだと思った仕事でも稼げるお金が予想以上に少なかったり、あるいは仕事自体が厳しかったりすることもあります。逆にスーパーのレジ打ちという仕事にも実は資格があって、やりようによっては上を目指せますし、天職になる可能性もあると思います」と伊藤氏は、アドバイスする。

女性が天職に近づくための心構え

“一人一人が輝いて働ける”。それを天職の定義とするなら、確かに、どんな仕事でも取り組み方次第では天職になる可能性はある。一方で、いま「天職」だと思っている仕事が、実は違っているということもあるのかもしれない。その上で、女性が天職に近づくにはどんな心構えが必要なのか。

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どこから始めていいか分からない人は、この本でお仕事から天職を探すというアプローチもある

「やる気はあるけどどうやったらなれるのか分からないという人も多いと思います。そういう人はまず、興味のある職業を探して、その道で目指したい人を探すことです。いまは、SNSがありますから、そうした人に近づける可能性はグッと高いと思います。例えば、メールなどに連絡するにしても女性ならそれほど怪しまれることもありません。それはある意味女性の特権といえるかもしれません。やりたい仕事に資格が必要なら、それに向かって勉強するのもモチベーションを上げる上でいいきっかけになると思います。当たり前の様ですが常にアンテナを張ってフットワークを軽くしておくことですね」(伊藤氏)。

その上で、伊藤氏は、現在在職中の人に転職時の注意点を指摘する。「いま正社員で働いている人は絶対にやめないことです。勉強はアフター5と週末にやりましょう。副業も同じ。バイト禁止ならボランティアでやりましょう。次のステップに進むにしても、そうやってしっかりと土台をつくっておくことが大事です。なぜなら、仮に定年まで働いたとしても寿命からすれば女性は30年近くも“余生”があります。天職とするなら、定年後でも全然遅くありません。その意味では、手に職となる仕事が適しているとはいえるかもしれません」と忠告する。

甘い響きも宿る「天職」というワード。早い段階でそうした職に巡り合う幸運な人もいるが、決して焦ることはない。現実的だが、女性は男性よりも“余生”が長い。ゆっくりとじっくりと歩みながら、自分がベストにフィットするポジションを探す。それが、結果的に女性にとっての天職へたどり着く近道となる。逆にいえば、必死になって探しても、「理想」というフィルターが邪魔をして、天職はかえって見つかりづらくなる、ともいえるのかもしれない…。男性とは違うアプローチの仕方が、女性にはある。


【伊藤淳子プロフィール】

神奈川県鎌倉市出身。雑誌等の企画編集、漫画家寺沢武一の著作権管理などを経て、現在は地域資源活用・農商工連携などの企画開発、市町村広報支援などに取り組む。総務省地域情報化アドバイザー、食農連携(FACO)コーディネーターなど歴任。(株)エイガアル代表取締役社長、(社)日本フードスペシャリスト協会理事、NPO地域情報化モデル研究会理事、(社)インターナショナル・バリューマネジメント協会理事、(財)農山漁村女性・生活活動支援協会会員 特定非営利活動法人新食品・機能性食品と農林畜水産業を語る会会員、株式会社いわきテレワークセンター取締役など、多方面でマルチに活躍する。


bestfitworks〈天職が見つかる 女のお仕事バイブル:PHP研究所〉
好きなことややりがいのある仕事との巡り合いを目指す女性に向けた職業ガイド。美と健康、介護、冠婚葬祭、出版マスコミ、スーパーのレジ係、弁護士…など、233職種が紹介されている。必要な資格、年齢制限、年収まで、直接取材しており、単なるガイド本にとどまらない貴重な情報が詰まっている。

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