インタビュー

10名の精鋭からなるクリエイティブ集団の働き方

投稿日:2014年11月27日 / by

ガチャガチャ界のアウトロー『株式会社奇譚クラブ』広報しき氏インタビュー

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厳しいガチャガチャ業界でヒット商品を生み続ける会社『奇譚クラブ』

株式会社奇譚クラブは、主にガチャガチャの商品を開発している会社である。特徴はその一風変わった発想の商品であり、メディアに頻繁に取り上げられ、有名アーティストとのコラボや、雑誌、アパレル、企業とのタイアップなど多方面で活躍している。
奇譚クラブの最大のヒット商品は「コップのフチ子」で、20万個売れれば大ヒットというガチャガチャ業界で第一弾、第二弾と合わせて約530万個という驚異的な売り上げを記録している。その他、土下座ストラップなどの「シリーズ生きる」や「くいとめるニャー」シリーズなど、ひとひねりもふたひねりもある商品を次々とリリースし、いまやガチャガチャ界を牽引している企業となった。なぜここまでヒットを出し続けられるのか?広報のしき氏に話を伺った。

社員は社長が連れてくる?

奇譚クラブの従業員数は10名と非常に少なく、おもちゃ会社などに携わっていた人間が6人、その他が4人という構成でなっている。会社はリクルートをほとんど行わない方針で、社長が直接引き抜いてくるか、人の紹介でやってくることがほとんどだそうだ。こうして集まった人材だからこそ、ここまでクオリティの高い仕事が出来るのだ。
広報のしき氏も、もともとは別の会社で勤めていたときに、社長に誘われ転職をしてきた一人である。
「もともと、社長とは飲みの席で一緒になることが多くて、ある日突然『明日会社を辞めて、明後日うちに来なさい』といわれまして(笑)すぐに前職を辞めることはできなかったんですが、比較的早い段階で合流しました。今行っている仕事についても、僕はもともと広報に興味がありまして、社長から『広報やらないか?』といわれて、僕の意図と社長の意図が合致したのですんなりとこの仕事につくことができました」と冗談交じりにしき氏は語ってくれた。

従業員は10名以上増やさない

kitan-shiki-3奇譚クラブの従業員数は10名と極端に少ない。社長の強い方針で、社員同士の円滑なコミュニケーションを保つために少人数制を採用しているのだという。他にも社長である古屋氏が少人数制を好むのには理由が存在する。

古屋氏が以前勤めていた会社では、事業を進めていく中で高い売り上げ目標や、厳しいノルマが課せられていたという。そのため、多くの商品を短時間でリリースしなければならず、なかなか満足がいくような商品が作れないという不満を抱えていた。さらに、人が増えるにつれて従業員と管理職との間のギャップが広がり、そこに強い疑問を感じたことが奇譚クラブ旗揚げのきっかけにもなったというのだ。

「奇譚クラブには、多いときで従業員が16名ほどいました。16名って少ないと思うかもしれませんが、それでも意思の疎通って難しかったんですよ。小さな不満というか不安というか、そういうのが滲み出ていたんだと思います。言葉では多分わからないんですが雰囲気とかどうしても悪くなっていました。野球とか、サッカーとかでもピッチに立つ人って10人くらいじゃないですか。そのぐらいの人数じゃないと意思の疎通ってうまく取れないんですよね」としき氏。

非常に微妙なバランスで、チームが一番いい状態で動ける状態に保つ。それほどまでに研ぎ澄まされた感覚を奇譚クラブという集団は常に持っている。それがヒット商品を生み続ける要因なのかもしれない。「少人数制の方が個人のパワーが最大限に発揮できるんで、絶対面白いと思うんですけどね。これからどんどんそういう会社が増えたら世の中はもっと楽しくなるんじゃないかと思います」と、しき氏はそうつけ加えた。

コミュニケーションを取る場所をつくる

奇譚クラブでは、毎月当番制で社員全員参加の飲み会を行っている。毎月幹事を決めて、その人が一番行きたいお店に他の社員を連れていくという飲み会である。しき氏はこの制度がとても好きなのだという。「例えば、どうしてもその月の幹事がビアガーデンに行きたいと思ったら、独断で社員全員をビアガーデンへ連れていってしまうんです。毎回違うお店で、都内であれば何処へでも行きます。全社員でのコミュニケーションはこの飲み会で取ることが多いですね」としき氏。
社員同士のコミュニケーションを大切にし、チームにいるがどんな人物で、今どんなことを考えているのか把握することが、よいものをつくる集団として最も大切なことなのかもしれない。そしてそれを可能にする人数が「10人」という人数なのだ。

ひとつの信念を貫くチームであるために

kitan-gorilla10人という少人数だと、上下関係も比較的少ないのだという。
「社員同士の関係は凄く近いです。10人だとみんな横並びで、上下関係はあまりないですね。役職のある人間はいますが、そこに囚われた雰囲気はありません。社内の風通しはとてもいいです。社長の企画を絶対やらなきゃいけないという決まりもありません。社員が社長に意見することもよくありますし。社長も現場が一番分かっていると考えているので、社員の意見を尊重してくれますね」としき氏。

全員が少しの誤差もなく『おもしろいものをつくる』という一つの目標に向かって突き進み、役職に関係なく意見する。全員が同じ想いを持ち、そのためにひとりひとりが最善のことをする。単純なようであってなかなか実行するのは難しい。
ひとつの信念を貫くチームであるためには、個人個人の目標意識に誤差があってはならない。そのための少人数制であり、十分な能力と適性を持った精鋭を集めてくる社長の審美眼である。これこそ本当によいものをつくる現場の、あるべき姿なのではないだろうか。

其の一:10名の精鋭からなるクリエイティブ集団の働き方
其の二:『ない』ことが生み出す柔軟性と仕事効率化
其の三:決め手は一枚の資料!5秒で決まる企画会議


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会社名:株式会社奇譚クラブ
郵便番号:〒150-0013
住所:東京都渋谷区恵比寿2-14-7
TEL:03-6408-6808(代表)
FAX:03-6408-6809
設立:平成18年9月25日
代表取締役:古屋大貴
事業内容:
1:玩具の企画、デザイン、製造および販売。
2:雑貨玩具、アパレル商品のOEM。
3:企業プレミアムのOEM。
4:キャラクターコンテンツの版権管理。
URL:http://kitan.jp/

参考 「コップのフチ子のつくり方」著・古屋大貴 パルコ出版
http://www.amazon.co.jp/dp/4865060855

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