インタビュー

女性ワーカーの正しいキャリアデザインの描き方(3)

投稿日:2014年5月12日 / by 瓦版編集部

熊平氏女性にとって起業とは

 

昭和女子大学キャリアカレッジ

学院長 熊平美香氏

女性の活躍する場面が今後、確実に増大する。そうした中で、日本初の女性専用ビジネススクール「昭和女子大学キャリアカレッジ」が開講する。その目的はどこにあるのか。インタビュー3回目では同講座の学院長でファシリテーターを務める熊平美香氏に講座のメインテーマとなっている「女性の起業」について、その意義や可能性をうかがう。


女性専門ビジネススクールを開校した理由

――キャリアカレッジは女性専門のビジネススクールとしては日本初だそうですね。

熊平 女性だけに特化したものとしては初めてになります。私どもは、政府の方針が出る前から女性を応援したいという思いがあり、それが具現化したのがこのキャリアカレッジになります。

――対象は学生ではなく就業中の女性、そして専業主婦でもOKとか。

熊平 このプロジェクトのきっかけとなったのは“サウジショック”です。2012年にJETROの視察団としてサウジアラビアを訪問した際、私どもは大きなショックを受けました。教育において、日本よりずいぶんと先を行っていたのです。少しは優越感があるかと高をくくっていたら、ポッキリと鼻を折られてしまいました。同国ではポスト石油を見据え、人材育成に潤沢な資金を投入し、素晴らしい教育体制を整備していました。女子高生が理路整然と英語で自らのビジョンを語っている姿を見て、これは日本の教育を何とかしなければいけないと気が引き締まりました。そうした思いもあって、キャリアカレッジの開講につながっています。

なぜ起業コースを設けたのか

熊平美香氏

女性初のビジネスカレッジ開校の理由を語る熊平氏

――日本の教育からはイノベーションが生まれにくいとは言われていますが、中東の教育にも後れを取っているという事実は確かにショックですね。

熊平 女性の生き方について、世の中はほんとに無責任です。責任を取ってくれません。男女雇用機会均等法のスタートした時代にキャリアを目指した私は、親が家にいないで子供をまともに育てられるのか、とずいぶん批判されました。いまや産めよ、働けよ、ですからね。様々な環境変化が背景にあるとはいえ、両方の時代を経験している私から若い女性に伝えられるのは、自分しか信じてはいけないということです。女性管理職増を決して圧力と捉える必要はなく、チャンスととらえ、活かすことが女性にとっては重要です。その中で、キャリアカレッジでは起業コースも設けました。それは、女性が働く上で少しでも選択肢が多いほうがいいという考えからです。

――女性の選択肢が増えるのはいいことだと思いますが、まだまだ日本では女性の起業というのはマイノリティと感じます。

熊平 確かに世界では女性が起業する比率は高いの対して、日本は低めです。しかし、かつてに比べると起業への障壁が大きく下がっていることは見逃せません。数百億円のプランを固めて、進めていく形から少額から少しずつ進め、ダメなら方向転換するスタイルの起業が今では主流となっています。コストもリスクも大幅に下がっているのです。

どうすれば女性が起業へ踏み出せるのか

――とはいえやはり踏み出すにはかなりの勇気が必要となります。

熊平 簡単になったとはいってもネットワークや情報、お金はあるに越したことはありません。とはいっても、起業というのはとにかくやってみることも大切なんです。先ほど言ったようにコストもそれほどかけずできる環境が整っていますし、なにより、働く女性の選択肢としてこれほど自由な働き方を実践できるものはないのですから。

熊平美香氏――なかなか踏み出せない女性の背中を押したり、前のめりの女性の勢いを加速するためにキャリアカレッジがあるわけですね。

熊平 そうですね。プログラムでは講師の方に起業に関する講義をしてもらい、後はそれぞれの事業プランをどう落とし込んでいくかを徹底して詰めていく2部構成で考えています。それから、起業において大事なことのひとつに、誰に知られているか、という側面があります。タネから事業化する過程において、どんな人に知られるかによって、その芽が出るか出ないかが左右されるのです。その点において、このキャリアカレッジは学長(坂東眞理子:昭和女子大学学長)のお力もあり、多くの応援者がついていますので非常にすごいと思います。おすすめ出来ます。

事業アイディアを生み出す観点とは

――主婦の方でも受講可能ということですが、たとえばどんな事業アイディアがいいのでしょうか。

熊平 女性の起業という観点からいえば、困っている誰かのための問題解決、あるいは好きなことや自分の得意なことを起点とするのはいいかもしれません。すでに応募がきているものとしてはある病気に対する問題を解決するツールを開発し、販売するというものがあります。これはすごくいいと思います。私どもでは教えっ放しで終わることはしません。優秀な企画には金融機関からの融資も受けられる仕組みを用意していますから、ぜひ多くの方にチャレンジしてもらいたいですね。(了)

第一回:女性ワーカーの正しいキャリアデザインの描き方(1)
第二回:女性ワーカーの正しいキャリアデザインの描き方(2)


〈熊平美香氏 プロフィール 〉  一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 代表理事
ハーバード大学教育大学院MBA修了後、銀行の金庫扉を製造する家業 熊平製作所の新規事業開発に従事。藤田商店にて、日本マクドナルド創業者藤田田会長と共に新規事業を立ち上げた後、1997年に独立。エイテッククマヒラ 代表取締役就任。TSUTAYAの親会社CCC社外取締役を経て、現在は、「戦略を実現する強力な組織」に必要な学習デザインを中心にコンサルティング・サービスを提供。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科MBAでは、アントレプレナーシップとソーシャルアントレプレナーシップの講義を行う。


career-c【昭和女子大学キャリアカレッジ】
前身は2007年に採択された文部科学省の「社会人の学び直しプロジェクト」支援事業の「元気にママチャレ!」。社会人として数年の実務経験を持つ方から起業を目指す方まで幅広い年代、職業経験を持つ女性を対象とする。キャリアカレッジでは前進のプログラムを発展/充実させ、より現実的なニーズに応えることができるよう、継続就業中の女性、起業を目指す女性も対象とした内容となっている。hp:http://career-c.swu.ac.jp/

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