インタビュー

「海外ノマド〜月収20万円から実践できる新しいワークスタイル〜」

投稿日:2013年3月14日 / by

オフィスを持たない働き方を実践している人

瓦版インタビューVol.2

 

 

@SOHO創業者 平城寿氏

 


時間にも場所に縛られないワークスタイルは、多くの人が憧れる。@SOHO創業者の平城寿氏はいま、アジアを拠点に“海外ノマド”生活を実践する。優雅でストレスレスな働き方で、日亜をまたにかける氏からは充実オーラがあふれ出る。一体どうすれば、海外ノマドを実現できるのだろうかーー。

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海外ノマドマスターがおススメする穴場スポット

海外を拠点に活動する平城氏キャリーバッグを軽やかに転がしながら東京・新宿の編集部に現れた平城氏。その様はまさに“海外ノマド”。席に着くやMacのノートブックを取り出し、ひと言「電源お借りしてよろしいですか」と断りを入れ、充電開始。移動以外の時間も1秒たりとも無駄にしない。いつでも作業できる状態にスタンバイして、インタビューはスタートした。

――普段の職場はやはりスタバ(スターバックスカフェ)ですか?

平城 私はカフェはあまりお勧めしません。カフェがダメというよりももっといいところがあるからです。おススメはホテルのラウンジです。ドリンク代は少々高いですが、WiFi回線も充実している場合が多く、何よりもゆったりと優雅な気分で作業ができるので、“職場”としては非常に快適です。特にアジアの一流ホテルは、コーヒーも1杯600円前後で飲めますし、飲まなくても作業できるスペースがあり、穴場です。

拠点をアジアにする理由とは

ホテルのラウンジで仕事

平城氏撮影

――いまは拠点がアジアだそうですね。

平城 2011年からアジアを拠点にしています。あるきっかけで、アジアを旅したときにもっと自由に旅をしながら仕事ができるんじゃないか、って思ったのです。当時、もともと国内で、ホテルやカフェで仕事をするスタイルを確立していたのですが、時間と場所に縛られないことに変わりはないワケですから、ネット回線さえ確保できるのであれば、海外を旅しながら、仕事ができるのでは?と考え、自ら実践してみようと考えたのが始まりでした。そしてアジアでは日本の数分の一のコストで優雅な生活ができることを知り、このスタイルの魅力から抜けられなくなりました。固定の家を借りるとしても、日本円で20万円もあれば、プール付の生活も不可能ではありませんからね。

海外ノマドを実現するために必要なこと

――本当ですか?。といっても、20万円というのにひっかかります。日本ではなんとかなりそうですが、日本を離れて月20万円稼ぐというのはやはり簡単なことではないと思うんです。

平城 確かに職種によっては難しい面はあると思います。私はITエンジニアですから、極端に言えば、一度も先方にお会いすることなく、通信手段のみで業務を完結することが可能です。相手と会ったり、綿密な打ち合わせが必要な仕事だと少し難しい面はあるかもしれません。

――なるほど。拠点は海外ですが、仕事自体はある程度国内で確保しておく必要があるということですね。

平城 時間と場所に縛られない働き方というのは、要するに作業する場所がどこでもいいということ。しかし、いきなり海外で仕事を獲得するのはやはり難しいです。だから、まず仕事は日本で確保しておいた方がいいですね。もっとも、こうやってアジアをまたにかけ、動き回っていると、いろいろなビジネスチャンスにもめぐりあいますし、経験自体が自分にとっての付加価値になります。ですから、海外でインプットしたものを日本でアウトップすることもビジネスにつながってきますよね。

――海外ノマド生活に関してはいくつかの本が出版されたりし、あこがれる人は多いと思います。

平城 本当にすばらしく、生活に潤いを与えてくれるので、私も一人でも多くの人に実践してほしいと思っています。その点でいうと、いま出版されている本の海外ノマドのノウハウというのは、『その著者が既に成功した方だからできるのでしょ?』というイメージがあります。私はそうではなく、アジアを活用することで、月に20万円の収入を稼ぐことができれば、何も大成功して大金を稼がなくても、リタイヤしなくても、仕事をしながら海外での優雅なノマド生活ができる、ということを伝えたいのです。

海外ノマド生活を実践するためには

たくさんのSIMカード――では、もしも一念発起して海外ノマド生活をする場合、どういう手順を踏めばいいのでしょうか。

平城 まずは気軽に気になる国に出かけて、チャレンジしてみては如何でしょうか。ネット回線さえ確保できれば、何とかなるものです。今はよほど辺鄙(へんぴ)なところでもない限り特に問題はないと思います。私はSIMフリーの携帯と各国のSIMカードを持ち歩いています。SIMカード代としては通信利用が主ですが、月2,000円くらいの出費ですよ。また、各国では滞在可能な日数が決まっていますので、注意が必要です。その国が気に入って、長期的に滞在したいと思ったら、ビザを取得すれば良いでしょう。国によっては取りづらいところもありますが、アジアの場合は、今はフィリピンかマレーシアが取りやすいですね。次に住まい。拠点にするわけですから、自分に合うかどうかがとても重要です。従って、実際に自分の眼と肌でチェックした方がいいですね。

既存ビジネスをノマド化せよ

――最後にいまから海外ノマドを目指す人は、どうすれば実現できるでしょうか。アドバイスをお願いします。

平城 まずは旅行でも良いですので、海外に出てみて、少しずつ慣れるのが良いと思います。また、既存のビジネスを、「時間と場所にとらわれている形」から「時間と場所にとらわれない形」に移行していくと良いと思います。私はこれを、『既存ビジネスのノマド化』と呼んでいます。今後、ノマド化を実現したい方々をサポートする活動も展開していく予定です。私は、例えば10人で10億稼ぐビジネスと、1人で1億稼ぐビジネスがあるとすると、後者の方がいいという考えなんです。確かによりたくさん儲けるとなると、人員を増やし、規模を拡大すればいいのですが、そうした考えは私の思考には合わない。ですから、@SOHOの運営においても従業員は抱えず、作業を1人の主婦の方に外注して成り立っています。いかに人の手を介さずに稼ぐ仕組みを構築するかに全力を注いできました。@SOHOをスタートした頃はそんな考え方をする人はあまりいませんでしたが、ようやくいま、個人の時代になってきました。会社の規模に関係なく、個人がその技量や技能を会社相手に活用し、収入を得ることが随分と簡単になってきました。私のように、@SOHOのようなビジネスモデルを構築しなくても、月々20万円程度であれば、多くの方が実現できるラインだと考えています。実現する方法というより、動いてしまうことが一番大切ではないでしょうか。

海外ノマド生活で変わる金銭感覚

ターミナルを出発する深夜バス取材を終えた平城氏は、東京からマイホームのある名古屋方面へ向かった。さっそうと飛行機もしくは新幹線かと思ったが、交通手段は、深夜バス。理由は「深夜バスの東京—名古屋間の移動時間は約6時間なのですが、これはちょうど東京—シンガポールのフライトと同じ時間なのです。あるとき、バスのシートは実は飛行機のシートに似ていると思ったのです。そう考えると、深夜バスのシートも苦ではなくなりました。バスの中で眠れて早朝に着くので、有効に時間を使えますし、何よりも安いので移動のコストを気にしなくて良いのがいいですね。日本の新幹線代があれば、アジアでは飛行機に乗れます。アジアではどれだけ優雅なことができるかと考えたらバカらしく思えますからね」。

海外ノマド生活は、生活におけるムダや価値の見極めを肌で教えてくれるという意味でも、非常に有益なワークスタイルのひとつといえそうだ。

経営者編へ続く(4月上旬予定)


【プロフィール】平城 寿 Hirajo Hisashi

1976年宮崎県生まれ。九州大学工学部卒(1999年)。もともとITエンジニアで、2004年にSOHO事業者向けビジネスマッチングサイト「@SOHO」を1人で立ち上げ、4年で日本国内No.1の会員規模にまで育て上げる。その後インターネットの可能性に魅了され、自らネットを活用した「場所や時間にとらわれないワークスタイル」を実践。2011年より海外に拠点を移し、アジアを中心に毎月5都市以上を訪問。『海外ノマドスタイ』を確立して、その魅力を発信している。

平城寿公式ブログ:http://hirajo.com/

平城寿Facebook:http://www.facebook.com/hisashi.hirajo

@SOHO:http://www.atsoho.com


<海外ノマド>

ノマドとは、日本語の意味は遊牧民。その名のごとく一定の場所にとらわれることなく、ノートパソコンと通信機器を片手にカフェやその他で作業を行う人々を指す。海外ノマドは、その拠点が海外の人のことをいう。

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