インタビュー

決め手は一枚の資料!5秒で決まる企画会議

投稿日:2014年12月11日 / by

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直感を信じるものづくり~

『株式会社奇譚クラブ』

広報担当

しき氏

数々のヒット商品を世に生み出してきたガチャガチャ商品開発会社『奇譚クラブ』。奇譚クラブのリリースする商品は、いつも私たちの予想の一歩も二歩も先にある。そんな予想外な商品を生み出す力は一体どこからきているのか?奇譚クラブ広報のしき氏のインタビューを通して探っていく。

企画会議は「芸人のネタ出し」

ガチャガチャはパっと見のインパクトで売り上げが左右されるので、奇譚クラブの企画会議も初見の面白さを大事にしているという。なんと5秒で決まってしまうこともあるとしき氏は言う。

「ガチャガチャってどこに置いてあるのか分からないから、お客さんはだいたい商品のポップの印象で買うか買わないか決めます。だから最初の印象を大事にしていて、企画会議でも出した瞬間の面白さが分かるものであればやります。一発ギャグの感覚に近いんですよね。一人一枚簡単な企画内容が書いてある紙を机上に出して、それを見てみんなが笑ったらすぐにGOが出ます。5秒くらいで企画が通ってしまうこともよくあります(笑)。そういう意味で僕らの企画会議は芸人さんに近いかなと思ってます。ギャグにも説明しなきゃ伝わらないギャグもあって、そういうものはガチャガチャには向かないですね。僕らはこういう一発ギャグ的な感覚を「出オチ感」って呼んでます」と個性的な企画会議の雰囲気を語ってくれた。

このような直感的な企画会議は、ガチャガチャという特殊な世界だからこそ効果的に働くのかもしれない。ガチャガチャに特化した企画会議とも言い換えられる。このやり方をガチャガチャの分野以外で応用しても上手くいかないかもしれないが、もっと効率的な企画会議の方法を探り出すこれは一つの好例だ。もし自社の企画会議が上手くいかず、行き詰っているのであれば、思い切ってやり方を大胆に変えてみるのも一つの方法かもしれない。

共通意識が可能にする素早い決断力

kitan-shikiリクルートをあまり行わない奇譚クラブでは、すでにある程度の経験を持った社員が集まってくる。そうした経験者集団だからこそ、奇譚クラブは共通意識を感覚をとして持っているという。

「ものづくりに対しては、みんな共通の意識を持っています。売れるか売れないかについて皆が一定の基準を持っていますね。そんな中でも、みんなが『どうしても出したい!』と強く思ったら多少、問題がある企画を通すこともありますが(笑)」としき氏。

業界のことを知り尽くしている人間が集まっているからこそ、この素早い決断力に繋がっている。全員が業界の基本を知り尽くしているので、説明や確認といった無駄を省くことが出来る。さらにそれが高いレベルでの共通意識であればあるほどより無駄が省ける。それを実現しているのが奇譚クラブという集団なのだ。

さらに、現場で「今ウケる」と思った商品はすぐに企画を進めることも出来るため、この決断力の速さは商品を売り出す上でも大きな強みになる。大きな会社では、何度も裏付けや報告を行わなければならず、こうは出来ないだろう。

奇譚クラブではマーケティングを一切行っていないという。このことも、この驚くべき決断力の速さに繋がっている。また、マーケティングに頼らずに自分の経験や直感に基づいた企画を出しているからこそ、奇譚クラブは他ではマネできない個性的なものづくりが出来るのだ。

どんな肩書でも参加OK

奇譚クラブでは営業でも広報でもデザイナーでも、どんな肩書きでも関係なく企画を出すことが出来る。誰がどんな風に出した意見でも、おもしろければそれでよいのだ。

「売れるかどうかわからない企画でも、『やりたい!』という意見が一致したらやってしまいますね。コストのことは考えますが、利益重視で動くというよりもやりたいことをやる傾向は強いです」としき氏。利益に囚われないからこそここまで思い切った企画を出せるのだろう。

ヒット商品が目立つ奇譚クラブだが、実はハズれる企画も多いのだという。1ヶ月に1つヒットすれば嬉しいとしき氏。利益や業績に重きを置かず、純粋におもしろいことを追求する。それが結果的に爆発的ヒットに繋がっているのではないだろうか。新しい流行とは、いつの時代もそのような集団から生み出されるものだ。

アイディアは日常生活から生まれる

アイディアはデスクでは生まれないという言葉通り、奇譚クラブでは個人個人の日常生活を充実させることを大切にしているのだという。そういったことから、日常生活からヒントを得て生み出される企画が多いのだそうだ。それにまさに当てはまるのが大人気を博した「スマホのおふとん」の企画のエピソード。

この商品は、発想の斬新さももちろんのこと布団に様々なものを入れて写真に撮った人がSNSで発信し、それがウケて拡散され爆発的に広がったことがヒットの要因になった。この企画は、奇譚クラブのデザイナーが持ち込んだ企画という。

「これはデザイナーが寝てる時に思いついた企画なんです。眠るとき近くにスマホを置いて寝る方って多いですよね。それを見てデザイナーが『自分はのうのうと布団で寝てるのに、なんで一日中馬車馬のように働いてるスマホが布団もかけられず寝かせられるのか』と悲しくなった経験から、スマホにお布団を作ってあげたいって企画会議で言って、みんな大爆笑だったのですぐにやりました。」と制作秘話を明かしてくれた。

このように、日常生活の思いがけない場面で生まれる企画はいくつもあるのだそう。日常に隠れるアイディアを常にアンテナをはってキャッチする能力が奇譚クラブのメンバーには備わっている。心を豊かに保つことが、自分のためにも会社のためにも大事だということだろう。

其の一:10名の精鋭からなるクリエイティブ集団の働き方
其の二:『ない』ことが生み出す柔軟性と仕事効率化
其の三:決め手は一枚の資料!5秒で決まる企画会議


kitan-company
会社名:株式会社奇譚クラブ
郵便番号:〒150-0013
住所:東京都渋谷区恵比寿2-14-7
TEL:03-6408-6808(代表)
FAX:03-6408-6809
設立:平成18年9月25日
代表取締役:古屋大貴
事業内容:
1:玩具の企画、デザイン、製造および販売。
2:雑貨玩具、アパレル商品のOEM。
3:企業プレミアムのOEM。
4:キャラクターコンテンツの版権管理。
URL:http://kitan.jp/

参考 「コップのフチ子のつくり方」著・古屋大貴 パルコ出版
http://www.amazon.co.jp/dp/4865060855

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