インタビュー

正社員なら知っておくべきヤバい会社の5つの予兆

投稿日:2015年1月28日 / by

会社にも必要な“健康診断”

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(株)アジア・ひと・しくみ研究所

代表取締役

新井健一氏

企業診断のエキスパート新井健一氏に企業の健康状態を知るポイントを指南いただいたインタビュー前編。どんな状態が、不健康な企業なのかは分かった。後編では、実践編として、具体的にどんなところに、企業の不健康の兆しが現れるのかについて聞いた。

ミスマッチ、と後悔する前にすべきこと

「何か違うぞ」。入社後のそうしたミスマッチの多くは、「希望の企業には入れた。でも、自分のやりたいこととのギャップがある」、というケースに集約される。つまり、必ずしも企業の側に問題があるワケではないということだ。

どちらからといえば、働く側が十分に企業の情報を収集し切れておらず、入って初めて、より深い部分を知り、現実を見てしまうというのが、本当のところといえるだろう。健康に例えれば、自分が食べたい食べ物があれば、まずは本当にそれが食べたいのか自問自答し、そして、味だけでなく、どんな成分で出来ているのか、副作用はないのか、といったところまで調べた上で口にせよ、ということだ。

新井健一

人事の仕組みもネットで調べればある程度は分かる

そうはいっても、等級制度がどの程度のものかなど、就活中の情報収集ではあまり目にすることはないし、気にもしないのかもしれない。SNSや掲示板等で悪評が山のように出てくるケースもあるが、どこまで信用すべきか分からないし、キリもない。

「確かに等級の数などは一般には公開されていないかもしれませんが、しっかりと調べればネットの検索でもある程度は知ることができる場合もあります。本気で行きたいと思っている企業なら、それくらいはすべきです。注意すべきは、ノリノリのイケてる会社や名の通った企業ほど、そのイメージを守るために悪い情報は隠蔽する傾向が強いので、そうした企業の情報は鵜呑みにしないことです」と新井氏は指摘する。

ヤバい企業を見極めるポイント

このアドバイスからは、悪評の信ぴょう性はともかく、悪評が極端に少ない企業は疑ってかかるべきであるといえそうだ。その上で、新井氏に従業員でも分かる会社の不健康度の簡単な見分け方のポイントをいくつか挙げてもらった。

(1)ものごとがあいまいに進む傾向が強い

(2)同質的すぎる

(3)過剰に結果を求める

(4)手続きがちゃんとなされない

(5)トップの意思が不明

「(1)はいつの間にか人が辞めていたとか、いつの間にかプロジェクトが消滅していたといったケースですね。(2)は本来、誰もが個性を持っているわけですから、異質さがないというのは異様です。(3)については、結果はミズモノなわけでそれを過剰に求めるということはマネージャーが怠慢である証。(4)はいうまでもないですね。(5)は会社の方向性が定まらないワケですから、社内はうわさ話や憶測がはびこり大混乱します。このような状態では、優秀な人材が辞め、無気力な社員、指示待ちの社員がはびこるのも特長です」と新井氏は解説する。

セミナーも積極開催する新井氏

セミナーも積極開催する新井氏

どんな企業にも一つは当てはまりそうだが、こうした項目に関連する書き込み等があれば、従業員はもちろんだが、その企業への就職を検討している人も参考にしていいのかもしれない。いずれの項目も、しっかりしていないと頑張って働いても報われる気はしないし、さらには、重大なトラブルや不祥事に巻き込まれかねないとさえいえる。

大事なことは兆候レベルからアンテナを張る意識

正社員として「天職」と胸を張るには、少なくとも自分のやっている仕事にやりがいを感じられなければ話にならない。それを考えれば、新井氏が挙げた5つのポイントは、いずれもが、ともすればやりがいを奪うもの。たとえ兆候レベルであっても、自分の身の振り方を考える上でアンテナを張っておくべき事象といえるだろう。

高齢社会となり、今後、働く期間はどんどん伸びていくことが確実となっている。だが、残念ながら、大企業でももはや終身雇用という安定が保証されているわけではない。それでも半世紀近く働かねばならない中で、どんな会社に所属するかは、正社員にこだわるならば、これまで以上に重要な要素となる。スペシャリストとして、スキルによる「就職」の道を選ぶなら、スキルを磨けばいい。だが、あくまで会社で働きたいと「就社」を選ぶなら、企業の“健康度”を診断する目は鍛えておくべきである。自分の目で、足で、社会に臨まねば、もはや理想には近づけなくなっていることを認識しておかねばならない…。

インタビュー前編:知らないと後悔する会社員のための人事知識


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http://ahsi.jp/index.php

【プロフィール】新井 健一(あらい けんいち)
株式会社アジア・ひと・しくみ研究所(ASIA HUMAN&SYSTEM INSTITUTE,LTD. )代表。早稲田大学 政治経済学部政治学科卒。 大手重機械メーカー入社。人事業務全般に従事する。その後、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社 。組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事。KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任する。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月に経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍。現在に至る。

 

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