インタビュー

社員が自在にワークスタイルを選べる会社

投稿日:2015年2月25日 / by

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週休3日から業務委託まで

シグナルトーク

代表取締役 栢孝文氏

週休3日、時短勤務、在宅勤務、副業…いずれもOK。その他にも働き方を良くする制度がズラリと揃う。オンラインゲームの開発・販売までを手掛ける(株)シグナルトーク。“クリエイターの理想郷の実現”を掲げる同社は、さまざまなキャリアプランを支援し、理想の働き方を追求する。昨年12月に導入された「FreeWorking制度」は、その総決算ともいえる、極めて自由度の高い内容だ。

何でもありのFreeWorking制度とは

「弊社ではもともと在宅勤務をする社員や時短勤務の社員など、これまでも様々な制度を取り入れてきた流れがあります。ただ、あくまで、一部の社員に限定したものでした。しかし、活用している社員の成績がよく、うまく機能しているので、ならばと全社員にも適用することを決めたのがこの制度になります」と栢社長は説明する。

同制度は、子育て支援やプライベート時間の確保、副業支援等のための少日数勤務を目的とした「FreeDays」と自宅やカフェなどの社外の自由環境で能率的に仕事ができるいわゆる在宅勤務の「Remote」の2本の柱で成り立っている。これにより、従業員は、自分が働きやすいように労働時間や出勤日数、就業場所を自在に選択できるシステムとなっている。

多様な制度を支える厳密な報酬配分率

例えば「Remote」の場合、在宅に加え、週休2日から4日まで選択可能。「FreeDays」なら、出社での週休3日もしくは4日を選択できる。仮に週休4日で在宅なら、働くのはわずか3日。しかも職場は自宅。フルタイム勤務の長時間労働常習社員とは真逆の労働環境であり、何ともうらやましい限りの制度だ。

フリーワーキング制度

それにしても、同じ会社に週休3日がいたり4日がいたり、フルタイム勤務がいたり、在宅勤務がいたり、では会社は混乱しないのか…。実は、そうしたことは、厳密な報酬配分率によって解消されている。例えば週休4日なら、フルタイム正社員の60%の月給。週休3日なら80%。在宅勤務で週休2日なら90%、週休3日なら72%…と労働日数や働き方によって月給が変動する仕組みとなっているのだ。

こうしたガラス張りの仕組みの中で、各自が自らの意思で働き方を選択するため、不平不満は起こりようがない。加えて、こうした社内の決定事項は、常に全社員参加で決めるため、総意はしっかりと得られた上で成り立っている。全ては、各自が納得してはじめて取り入れられるのだ。経営者にとっては、煩雑極まりないが、働く側にとっては、個性を最大限に尊重してもらえ、まさに理想に近い状況といえる。

導入によって変わったこととは

signaltalk3「導入してまだそれほど時間がたっていませんが、いまのところ、この制度を活用する社員が劇的に増えたということはありません。ただ、新たに採用する人にも適用されるので、応募者がかなり増えています。現状では、従来通りのフルタイム正社員が多い状況です。やはり慣れ親しんでいる部分があるという側面が大きいのかもしれません。とはいえ、制度を全社員に適用したことで社内の空気がより自由な雰囲気に変わってきたなとは感じています」と栢社長。

ひたすらうらやましい限りだが、もうひとつ気になるのは、給与の基準となる評価の方法だ。人によって、どうしてもスキルに差はでる。仕事の早い人遅い人、クオリティの高い人、劣る人…。そうした差を考慮せず、一律に評価すると必ず不公平が生じてしまう。その点については、一体どう対処しているのか。

絶妙の仕事配分で回避するスキル差

「確かにそうした側面はあるでしょう。ただ、割り振りは、スキルを考慮するというよりも一人に大きな仕事をドカッと与えるようにしています。仮にその仕事を3人で分けて与えると各自の進行状況に作業が引きずられてしまいます。それをなくす意味でもそうしています。従って、基本的には、各自が決められた時間の中でどれだけ順調に自分の持ち分をこなすか。それがそのまま評価につながってきますね」と栢社長は、自由な働き方が実現するポイントを明かした。

仕事の進め方は、限りなく個人に裁量が委ねられているため、制度があることもそうだが、非常に自由きままだ。ある1日を切り取ってみよう。例えばAさんは自分の設定した仕事量を4時間で終え、帰社。逆に8時間で終える予定だったBさんは、調子がいいのでもう少し、と残業し10時間働く。もちろんOKだ。各自が最も効率よく働けるスタイルを実践する。それが「FreeWorking制度」なのだ。

もっとも、従来通りの時間単位での働き方もあえて選択肢として用意している。誰もがこうした働き方がフィットするとは限らないからだ。なんと業務委託契約という形態まで選択可能としている。あらゆる可能性を想定し、これ以上ないほどに、働く側に選択肢を用意することで、各社員が自分の力を最大限に発揮する。同社では、そこに期待し、最大限の環境を提供する。

この制度を成り立たせる最大の肝とは

signaltalk2働く側にとってこれ以上ない環境。もちろん、その恩恵を最大限に受けるには、それだけの責任を担うことになるのはいうまでもない。それがボーナス査定だ。全社員による360度評価で実施される査定法に不公平感はないが、それでも査定は限りなくシビアだ。場合によっては賞与に何倍もの差が出ることもあるという。つまり、この自由度の高い制度に胡坐をかき、力を出し切らなければ、その代償は懐を直撃する。その意味で、このボーナス査定が、制度実現の最大の肝といえる。

さらに加えるなら、同社が下請けをしないこと、上場はしない方針であることが、究極的な社員第一主義実現を下支えしているといえる。着実に理想の会社に近づく同社。それでも、創業から数年は、長時間労働も多く、離職率も高かったという。だが、「人が辞めるダメージは想像以上に大きい。長く勤めてもらって活躍し続けてもらうことが企業にとって何より大切と気づいた」その時から、栢社長は社員第一主義に舵を切った。

「経営者として未熟でしたね」と当時を振り返る栢社長は、いまの状況にも「まだ理想の1割です」とまるで満足していない。一体、目指す働き方の理想形はどんな形なのか。現状が完成形に近い気もするだけに、想像もつかないが、少なくとも代表が率先して、本気で社員の働き方の理想を追求している時点で、同社が社員にとって理想に近い職場となっていることは間違いないだろう。


SignalTalk Inc【会社概要】
社名:株式会社シグナルトーク [SignalTalk Inc.]
代表者:栢 孝文(かや たかふみ)
事業内容:1. インターネットを利用した各種娯楽提供、及び各種情報提供のサービス2. ソフトウェアの開発,設計,制作,販売
設立 2002年:米国にSignalTalk Corporationを設立(同年日本支社も設立)2006年:日本に株式会社シグナルトークを設立
資本金:1000万円
所在地:〒144-0052 東京都大田区蒲田5-8-7 蒲田K-1ビル 8F

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