インタビュー

女性活躍妨げる見落としがちな盲点とは

投稿日:2016年1月28日 / by 瓦版編集部

ランクアップ
岩崎裕美子代表

“長時間労働体質”の会社を辞め、(株)ランクアップを立ち上げた岩崎裕美子代表。目指したのは、なによりもまず、離職の引き金となった長時間労働のない会社だ。それは順調にクリアした岩崎氏。だが、なぜか女性社員のムードが暗い。女性が幸せに働き続けられる会社を目指しながら、なぜそんな事態が起こったのか…。インタビュー二回目では、女性が幸せに働き続けられる会社づくりの奮戦プロセスをお届けします。

岩崎さん写真1 (2)

粘りの末に理想の化粧品をつくりだす理想的なスタート

起業に際し、岩崎氏がまず着手したのが「圧倒的に差別化した製品開発」だ。売るものがなければ商売にならないのは当然だが、「差別化した製品」でなければ、また前職と同じ、長時間労働に陥る…。危機感を持ちつつ、持ち前のバイタリティで数多の化粧品製造メーカーを訪問した岩崎氏は、何度も玉砕しながら、ついに理想の化粧品をつくりだす。

苦労の甲斐あって、製品は着実に消費者に認められ、売り上げも順調に伸長。業績は快調に拡大する。立ち上げ期には、残業も少しあったが、終電まで働いていた前職と比べると「昼です(笑)」という午後8時前には、全員が職場からいなくなる。至って健全な労働環境のもと、岩崎氏の起業は、理想に近づき、うまくいっているかに思えた。

研修で発覚した思わぬ事実

ところが、衝撃の事実が発覚する。2泊3日の社員研修。「あなたが会社に貢献できること」というテーマで、社員が話し合う時だった。「そんなこと考えられない。認められてないし、貢献なんてできない…」。そういって女子社員が泣き出したのだ。長時間労働なし、ノルマもなし…。前職のことも踏まえ、社員には申し分のない労働環境を提供しているつもりだったが、まるで正反対の社員の本音が明るみになったのだ。

「かなりショックでした。私は研修に参加していなかったのですが、主催の方から電話があり、すぐに現場に駆けつけました。長時間労働をしなくていいし、ノルマもないのに、なぜ社員は暗いんだろう。以前から何となく不満のようなものは感じていましたが、まさか、それほどまでに社員に不満があるとは思っていませんでした。ワンマンだった私は、長時間残業をなくしただけで、会社のビジョンも示さず、社員のやりがいも考えていなかったんです…」と岩崎氏は当時を振り返る。

幸せに働き続けられる会社への再スタート

女性がいつまでも働き続けられる会社を目指し、前職での経験を活かし、十分に職場環境は整えたはずだった。ところが、それだけでは「働き続け」られても「幸せ」にはなれない。まさかの盲点だった。それでも岩崎氏は、ショックを引きずることなく、専門家のアドバイスも受けながら、すぐに軌道修正する。最優先にしたのは、社員に方向性を示すための価値観の共有だ。「挑戦」。もともと岩崎氏の中には宿っていた精神だが、初めて全社員の前で公表する。これが、女性が真に「幸せ」に「働き続けられる」会社への大きな一歩となった。

「起業にあたって、確かに長時間労働はなくしましたが、私がしたのはそれだけだったのかもしれません。なんでも私が決めていたので、社員はいろいろ言いにくく、やらされ感があったのです。だからいつもシラケたような空気が充満し、暗いムードになっていたのだと思います。『挑戦』というスローガンを掲げたことで、自分もやっていいんだ、というムードができ、徐々に活気が出始めました」と岩崎氏。水を得た魚のように積極的に挑戦する社員がいたことで、風土改革も加速。社員の思わぬ才能を見出すことにもなり、岩崎氏の“介入癖”は自然になくなっていった。

それまで、制度という意味では十分に整備されていなかった同社は、この事件を機に、しっかりとした土台構築に注力。人事評価制度も制定し、あいまいになりがちだった評価を明確にした。人事異動も増やし、産休や育休による欠員時の柔軟な対応が可能な体制作りも強化した。社長と社員のコミュニケーション機会も増やし、気軽に改善案を提案できる仕組みもつくった。

紆余曲折を経たが、いまでは、産休・育休制度もしっくりと風土になじみ、43人の社員中、ワーキングマザーが21人、その内管理職は7人と「女性が安心して働き続けられる会社」として、岩崎氏の理想に大きく近づきつつある。定時は17時30分だが、仕事が早く終われば17時に帰ってもいいという制度も機能し、定時どころか定時前退社も可能なほど、業務効率化も進んでいる。

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いまでこそ、全員がイキイキ輝く職場だが…

足かけ、8年。アンチ長時間労働を発火点に理想を抱いて起業しながら、ここに至るまでにはこれだけの歳月を要した。これを長いととるか短いととるかはともかく、覚悟をもって臨んでも、女性が幸せに働き続ける会社を実現するのは、一筋縄ではいかないということだ。それでも、岩崎氏自身が、41歳で高齢出産し、産休・育休制度を活用し、いまもバリバリとトップとして会社をけん引している事実は、働く女性のロールモデルとして、なによりも大きな“成果”といえるかもしれない。

理想に会社の次に目を向けるのは海外

見事に会社を理想に近づけた岩崎氏。だが、チャレンジ魂の塊の同氏は、こんなところで留まらない。ここまでは化粧品事業で辿り着いたが、これからは新たな分野へも積極的に進出する。文字通り、「女性が幸せに生きる社会をつくる」ことを実現する企業として、大きく飛躍、「ランクアップ」を目指す。

「化粧品事業はおかげさまで軌道に乗りましたが、女性を幸せにすることをテーマにこれからはさまざまな分野にも挑戦していきます。次に考えているのは海外展開です。社員にもどんどん新しいことにチャレンジしてもらい、前へ前へ進んでいきたいと思っています」。

長時間労働をなくせばいい。そう思って会社を立ち上げたが、女性が幸せに働き続けるためにはそれだけでは足りない。女性が「幸せに働き続ける」ことを考えれば、当然、そこに「やりがい」を欠くわけにはいかない。要するに、女性がいかにその力を発揮し、それが会社へ、社会への貢献と直結するのか。そこが、女性がいつまでも輝き、幸せに働き続けるための肝といえそうだ。

次回第三回では、実践編として「女性が幸せに働き続ける会社のつくり方」をテーマにお届けします。

◇第一回「残業厭わぬOLが、なぜ残業ゼロ会社を起業したのか」はコチラ


【会社概要】
maNaraホットクレンジングゲル| 公式 マナラ化粧品会社名:株式会社ランクアップ
設立:平成17年6月10日
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座3-10-7 銀座東和ビル7F
資本金:10,000,000円
代表取締役:岩崎裕美子
事業内容:オリジナルブランド「マナラ化粧品」の開発および販売

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