インタビュー

68歳「きのとや」社長が語るロマンとは

投稿日:2015年11月11日 / by

連載第6回 きのとや 長沼昭夫氏

きのとや第6回の今回は、株式会社きのとや 社長 長沼昭夫後編です。後編では、長沼さん自身の「ロマン」を語っていただきます。さらに、若い人が聞きたいであろう、「夢がない、やりたいことがみつからない人へ」の言葉も。
さて、どんな言葉がいただけるのでしょうか?


北海道を菓子王国にしたい

--これからの長沼さんのロマンとは?

長沼 人に喜んでもらうことをしたい、と思っています。人生も残り少ないけど、まずは、きのとやグループで働いている社員のみんなに喜んでもらう、ということ。それとあわせてきのとやだけじゃなくて北海道全体が喜んでくれることはできないだろうか、と。

あるいは同業者、業界全体にとってもプラスになるようなことが何かできないかと考えています。洋菓子協会会長をしたり組合の理事長をやったり、物好きな男だなぁと思われてると思いますけど(笑)人のためになりたいんです。お菓子業界全体がハッピーになってくれればいいなぁ、という想いがあります。

--具体的なロマンはありますか

長沼 今のロマン(夢)は北海道を菓子王国にしようというロマンがある。さらに、札幌の駅前通を「スイーツ通り」にしたいという思いもある。札幌に観光目的としてスイーツを食べに来るお客さんは増えると思っている。駅前通のおしゃれ感を生かしてスイーツの名所にしていきたい。北海道ほどお菓子が似合う街はないと思っていてね、

お菓子王国にするためにはどうしたらいいかっていったら、お菓子を提供している我々お菓子屋さん自身が、もっと意識を高めることです。ひとりひとりがお菓子王国を目指す、みんながそれぞれよりおいしいものを提供していく、現状に満足しないでね。そうしていけばお菓子王国になるかなぁ、と。そういうロマンがあります。

さらに、例えば30年40年経った時に、世界からスイーツを食べに札幌に来るのが当たり前になっていたらいいなと思っています。私たちの業界ではパリに行ってスイーツを勉強するのが当たり前ですから。だから、札幌のスイーツをさらに素晴らしいものにしていくことで、札幌を目指す若いパティシエが増えたらなとも思っています。

マカロン

自分が何に向いているかなんて分かるわけない

ーー将来に悩んでいる若者が昨今多いように思います。彼らへアドバイスをください

長沼 よく若い人が言うよね、自分は何に向いているのか、何をやりたいのかわからないんですって。私はね、「そんなのわかるわけがないんだ」といつも言ってるんですよ。「あなたは人生経験何もないんだよ」と。あなたが何に向いているかなんて、若い頃にわかるわけがないって。

さらにね、「何をしたいかもわからない」っていうのもよくわかる。それは正直な気持ちだよなぁと。あなたのような若い19.20歳そこそこでおれはこれに向いている、と思う方が気持ち悪いよ。ありえない。わかんないんですよ。あなた自身の能力というのはこれから花開いていくんですよね。成長していくわけですよ、これから。今はつぼみもつぼみで、成長過程もいいとこなわけです。だから、私は、君たち若者は、何でもできると思うんや、何でも。何でもできる。どんな姿勢で仕事に取り組むかとか、どんな姿勢で生きていくかとか、そっちの方が大事だろうと思っています。

--長沼さんも職を転々とした後、きのとやを作っていますよね

長沼 そう。私自身もいろんな仕事をした。居酒屋さんの店長とかスーパーマーケットで大根を売っていたこともある。でもね、どこにいても現状に満足しないで自分自身を成長させようとしたよね。どんな場所でも、どんな時でも上を目指した。ある王手のスーパーマーケットに勤めていたときは29歳でその会社に入ったんで上司は私より年下なんですよ。だけど、全力で仕事をしたよね、全力で。自分自身を成長させようと決して手を抜かない、と。目の前のことに力を尽くす。今あなたの目の前にあることを全力を尽くしておこなうことがあなたを成長させることに繋がるんだよなぁ。

全ての責任は自分にあると考えられる人がプロ

--どのような方に魅力があるなと長沼さんは感じますか

長沼 雰囲気が明るい人、です。太陽というのはさ、自らが光を放つわけですよ、太陽に人は集まるんだよな、人は、向かうんだよ。太陽のような人がいいね。明るさだったり輝きだったりは、ポジティブな気持ちと貪欲さが必要だろうね。何に対しても好奇心をもつ、全力でやる、これがとても大事なことのような気がしてなりません。

--魅力ある人と関連しますが、どのような方をプロと呼びますか?

長沼 すべての責任は自分にあると考えられる人。これがプロです。人のせいにするやつはだめだね、なにか物事がうまくいかなかったり目標達成できないときに自分以外のものに責任転嫁する人は多いんですよ。これは自分のせいではない、とか言って。「すべての責任は自分にある」と考えれる人、そうあってほしいと思います。

さらにね、こういう人は成長します。しつづけると言っていい。自己責任論というか、自分に責任があると思える人は成長していきます。なぜなら、同じ失敗はしないから。次はどうしようこうしようと考えられるから。
ぜひとも、若い人にはそのような人になってほしいと思っています。

<編集後記>

長沼さんからは『若者達へ』の金言をたくさんいただきました。68歳の今でも、常に挑戦を続ける姿勢から出てくる言葉には説得力がありますよね。長沼さん自身も35歳の頃にこの「きのとや」を創業されたことを考えると、若者の可能性は本当に無限だと思います。日々を全力で、かつ、歩みをやめることなく自分を信じ続けられるか?
勇気をいただいた、そんな時間でした。


長沼氏
<プロフィール> 長沼昭夫 株式会社きのとや 社長

1947年、札幌市出身。北大水産学部卒業後、様々な職業や失敗を経て1983年に「きのとや」を創業。創業以来、業績を伸ばしつづけ、現在は、北海道洋菓子協会会長、スイーツ王国さっぽろ推進協議会長としての顔も持つ。

http://www.kinotoya.com/


山口氏
[著者情報]

氏名: 山口佳祐

所属: 中央大学法学部

「仕事とは何か?」という素朴な疑問のもと「地方で活躍する方々に会う」日本一周の旅を今年の夏に行う。人に影響を与えることを人生の目的とし、将来何をするか模索中の大学生。来年2月から3ヶ月間は世界一周の旅へ。
長崎日大高校~中央大学法学部2年
Twitter: @Naganichi54

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