未来を担う子供たちを育てる「保育士」
保護者に代わって子供の保育をする子育ての専門家
保育士とは「児童福祉法」にもとづく国家資格であり、子育てに関わる仕事をするうえでは欠かせない資格である。
年々増加傾向にある幼稚園と保育所の機能をあわせ持った「認定こども園」で働くうえでも必須の資格だ。かつては「保母さん」の名称で長く親しまれてきたが、平成11年4月の児童福祉法施行令の改正により「保育士」という名称に統一された歴史を持つ。現在では男性の保育士も珍しくなく、「保育士は女性の仕事」という印象は徐々になくなりつつあるのだ。
この資格を活かせる場所が多いこともメリットの一つである。保育園や児童養護施設はもちろんのこと、保育士の資格を有していれば全国に約4,300ヶ所存在する児童館や学童保育などでも活躍することができる。待機児童や共働き家庭の増加などから保育の需要が増え、保育士の重要性は日々高まっているといえる。また、保育士の資格は取得後に講習を受けたり再試験をして更新をする必要はない。一生ものの資格として取得にチャレンジするのもオススメだ。
保育士の資格を取得するには?
次の方法で保育士資格を取得し、保育士として登録することにより、保育士を名乗ることができる。
1. 厚生労働大臣指定の保育士養成施設に入学し、所定の単位を取得して卒業する。
保育士養成施設には、大学、短期大学、専修学校等があり、昼間部のほか、夜間部、通信課程もある。
2. 都道府県知事が実施する保育士試験に合格する。
保育士資格は国家資格だが、試験は都道府県ごとに実施される。また、保育士登録は都道府県知事が行い、それに関する事務は、都道府県知事委託登録機関の登録事務処理センター(全国で1ヶ所)が行う。
また、幼稚園教諭免許状を持っていて、3年かつ4,320時間以上の実務経験を有している人は、保育士試験の筆記科目である「保育の心理学」「教育原理」「保育実習理論」と実技試験が免除されます。
保育士の筆記試験と実技試験とは
筆記試験の科目と合格基準
1.保育原理 (100点)
2.教育原理・社会的養護 (50点・50点)
3.児童家庭福祉 (100点)
4.社会福祉 (100点)
5.保育の心理学 (100点)
6.子どもの保健 (100点)
7.子どもの食と栄養 (100点)
8.保育実習理論 (100点)
筆記試験はマークシート形式で出題され、100点満点のうち60点(6割)以上得点すると合格となる。(2.教育原理・社会的養護は各分野50点満点となり、各分野それぞれ30点以上の取得で合格。)保育士の試験は年に1度しか行われないが、科目別に合格が判定され、合格した科目に関しては3年目の試験まで有効となる。そのため、毎年全科目を受験する必要はなく、1度の試験で合格できなくても不合格だった課目に学習範囲を絞り、効率のよい勉強を行うのが試験合格の近道だ。
実技試験の科目と合格基準
1. 音楽表現に関する技術(歌や伴奏の技術など、豊かな音の表現を総合的にできるか)
幼児に歌って聴かせることを想定して2種類の課題曲を弾き歌いする試験である。楽器はピアノ、ギター、アコーディオンのいずれかで演奏しなければならず、ピアノ以外の楽器は用意されていないため持参しなければならない。また、試験会場内では音や声を出す練習はできないため注意が必要だ。
2. 造形表現に関する技術(情景や人物などを豊かに表した描写・色使いができるか)
保育の一場面を絵画で表現するこの試験は、提示された条件に従い鉛筆(シャープペンシル)と色鉛筆を使って画用紙に描写する。 生き生きとした色使いで、伝えたいテーマがしっかりと表現できているかが問われる試験である。
3. 言語表現に関する技術(基本的な声の出し方、幼児に対する話し方ができるか)
与えられた課題の物語を3分間でお話する試験である。台本や人形などの道具は使うことができず、子供でも理解できるような間の取り方や声量のほかに、テンポの緩急なども求められる。展開に関して特にきまりはないが、子供が集中して聞くことができるかが何よりのポイントだ。
筆記試験の合格者のみが実技試験を受けることができ、どの分野も保育士として必要な表現力を見るための試験である。上記の3種類から、受験申請時に選んだ2種類の両方で60点(6割)以上得点すると合格となるため、特に自信のある分野から選ぶとよいだろう。
筆記試験と実技試験の両方に合格した後、児童福祉法の規定に基づき保育士登録をすることで、晴れて保育士として仕事を行うことができます。